眼鏡を壊したから弁償しろって、ありなの？

中学３年生の息子の、学校でのちょっとした事件の顛末です。

先週の木曜日のことでした。息子がすごく言いにくそうに、私に打ち明けました。「昼休みにバスケをやってたら、中１の男の子の眼鏡に僕の手が当たって、壊れちゃった。その子のお母さんが眼鏡代を弁償しろと言ってるんだ。２０００バーツくらいだけど、お父さん出してくれる？」

いつのことなのか確かめると、月曜日だといいます。３日間も黙っていたのです。きっと相当に悩んだ末、私に打ち明けたのだと思います。この話を聞いたときは、どう処置していいのか、私も少々迷いました。とりあえず、翌日相手と話し合いをしようと思いました。でもその前に、学校の先生に事の顛末を報告した方がよさそうに思えたので、先生に言うように息子に命じました。

そして翌金曜日の夕方、相手の中１の男の子と息子、それに私の３人が職員室に行きました。相手のお母さんは来ていませんでした。そこに居た先生に事情を話すと、校内トラブルの担当の先生はもう帰ったので、月曜日の朝９時に来てください、ということでした。それで今日、律儀に私は９時５分前に行きました。

校内トラブルの担当の先生というのはアメリカ人の英語の先生でした。私は「昼休みにバスケットボールで遊んでいて２人が接触し、相手の子の眼鏡が壊れました。相手のお母さんは弁償しろと言ってます。私はスポーツをしている最中のアクシデントなので、弁償の必要はないと思いますが、学校内での出来事なので、学校の裁定に従います。」と言いました。

それから２０分くらい待ちました。相手のお母さんは結局現れず、眼鏡を壊された本人が職員室に顔を出しました。彼は中国人で、タイ語はできません。英語も、どうやらあまり出来ないようでした。アメリカ人の先生は、中国語のできる先生を通訳として呼んで、職員室の外で彼に何やら話していました。

そのうちに私の息子も遅れてやって来たのですが、アメリカ人の先生は「スポーツ中のアクシデントだから、あなたの息子さんには弁償の必要はありません。」と私に言いました。ところが何を思ったのか、わが息子は「可愛そうだから、半分の１０００バーツでいいから払ってあげて」と言いました。

それはないでしょう。その場で私が息子を説得しました。もし、相手の男の子が貧乏で、新しい眼鏡を買うお金もないのなら、それは可愛そうです。半分と言わず、全額出してあげてもいいです。本当に。でも、彼は眼鏡が壊れた翌日に新しい眼鏡を新調していたのです。つまり、貧乏なわけないのです。だったら、学校の裁定に従って、弁償の必要はない、と言うことを息子に説明しました。お金を出すということは、学校のルールとは違うことをすることになるのです。

実は、こういうケースでは日本ではどのように扱われているか、事前に調べていました。当然ですが、日本の常識でも、こういうスポーツ中のアクシデントで弁償の必要はないようです。私はタイ人はどう考えるのか、少し興味がありました。

職員室に居たタイ人の女の先生たちは、結論をはっきりとは言いませんが、「アクシデント」ということをやたらと強調していました。そして、「この学校はインターナショナルな学校だから、こういう場合の裁定もインターナショナルなものですよね」とアメリカ人の先生に確認していました。

担当のアメリカ人の先生は、結論を告げるまでは一切何も私にコメントしませんでした。でも、顛末を聞いた瞬間に結論は出ていたようです。中国人の生徒を私とは離れたところに連れて行って、話し合いをしていました。でも英語がほとんど通じなかったらしく、職員室に戻ってきて、タイ人の先生に「中国語のできる通訳を呼んでくれますか？」

相手の親がどう思っているかは知る由もありません。ただ私には息子が「眼鏡代の半分出してあげて！」と言ったことが少し引っかかっています。それは単なる優しさからなのか、それとも、気が弱いのか？私はどういう場合でも、気は強い方がいいと思っています。それは私のこれまで生きてきた価値観です。息子には、主張するときはきちんと主張する気の強い男の子になってほしいのです。

ブログランキングに参加しています。よろしかったら、お手数ですが引き続きクリックをお願いします。