楽園づくり ~わが家のチェンマイ移住日記~

日本とタイで別々に生活してきた私たち家族は、チェンマイに家を建てて一緒に暮らし始めました。日常の出来事を綴っていきます。

タイの格差に思う

2011-08-30 23:01:53 | タイの政治経済

今日は日本で新しい首相が指名された日でした。政権交代後、失点続きの民主党に今さら期待する声は巷では少ないのですが、経済界からは、野田氏の、財政規律を重視する立場から、率直に現下の日本の危機的状況を訴えかける姿勢に期待する声もあがっているようです。

また思いつきで発言したり行動することのない実直な人柄に対しては「人間力が魅力だ」と評価する向きもあるようです。

パナソニック株も、ご祝儀で少々上がったようですね。

私自身は、今のところ千葉県民でしかも野田首相の地元なので、新しい政治のリーダーに親近感だけはもっています。しかし、閉塞感が限界に達していた日本の政治の目先だけは(ごく短期的に)変わるかもしれませんが、震災復興や原発事故の後始末、そして円高による産業界の苦境からの脱出は、どなたが総理大臣でも超難問として立ちはだかっている状況は全くかわらないと思います。さらに負債900兆円の財政問題は、ジワジワと国力を削いでいく方向に動いています。

言うまでもなく、これらの危機は、誰かの過失や怠慢で偶然起こった事態ではなく、大地震もそうなのですが、長い長い時間をかけて深いところで進行してきた、とても構造的な事態だからです。

私も間もなく年金受給者の仲間入りする年齢に差し掛かろうとしていますので、目の前のことよりも、10年、あるいは20年といった中長期にみた日本の経済状況と国家の財政状況に対して、目を向けざるをえません。

若い人の雇用の安定がなければ、年金制度もこれまで言われてきた以上のスピードで崩壊へ向かう可能性があります。

「いろいろ言うけど、この大国日本のことだから、本当に年金制度が壊れるなんてあるわけない。」と、実は10年前までは思えたかもしれません。でも昔厚生省が国民を脅すために使っていた「何人で何人を支えなければならない時代が来る」という妙な論理を使わなくても、今や支える人がいなくなる大危機が迫っているとも言えると思います。

若い人の危機=年寄りの危機、という時代なのです。

そんなことを考えていた今日、タイについての2つのニュースが目にとまりました。

ひとつは、日本語総合情報サイト@タイランドの、勤労者の賃金についてのニュース。もうひとつはバンコク週報に出ている、物価と賃金のニュースです。

 

タイの平均月収、政府が民間の倍

タイ中央銀行によると、今年5月時点の被雇用者数は政府部門が356万人、民間部門が1375万人だった。平均月収は政府部門が1万6414バーツ、自営などを含む民間が8063バーツと、政府部門が民間の2倍に上った。

業種別の平均月収は農業4900バーツ、製造業8250バーツ、建設業6322バーツ、ホテル・外食7490バーツ、金融・保険2万1328バーツ――など。

物価上昇に賃上げ追いつかず

 
政府系シンクタンク、国家経済社会開発委員会(NESDB)によれば、過去10年間、物価が年平均2・8%上昇したのに対し、最低賃金は年平均2・3%しか引き上げられておらず、このため、国民全体の7・8%、508万人が貧困から抜け出せないままとなっている。

「貧困者」は1カ月の所得が1人当たり1687バーツ以下とされている。

 また、最近の欧米の経済危機や自然災害の影響で、今年は「貧困者」が500万人増加する可能性があるという。

 

タイの賃金格差については、昔からいろいろ言われていて、それが一向に改善されていないことが、最初のニュースでも確認できます。前も書きましたが妻の妹夫婦はタイ中部の町で建設業の労働者として働いていますが、月収は男が7000バーツ、女は5000バーツ前後です。一方、公務員は月給以外にも何かと雑収入があることはよく知られているところです。

タイは食べるだけなら、犬でなくても、最後の砦のお寺もありますから、飢え死にすることはまずないでしょう。でも、屋台の30バーツの食事しかできない多くの大衆がいる一方で、一皿数百バーツ以上の料理を供する高級レストランに日常的に出入りする特権階級の人たちも着実に増えているのです。

特権階級でなくても、屋台などで食事したこともないという懐具合のよい若者が増えているのも事実でしょう。

日本人が年金を頼りに、タイでそれなりの生活水準を保つことができることは事実でしょうが、それもあと何年可能なのか、何の保証もありません。

私は、年金でタイに移住しようとするとき、二重の危険にさらされていくような気がします。すなわち、タイの賃金があがり、物価もどんどん上がって、今の10万円が5万円の価値しかなくなる時が来ることと、日本の年金がどんどん切り下げられて20万が10万になる時が来るかもしれない。

後者は制度的にありえない。年金額は物価にスライドするけれども、一旦受給しはじめたら、額は保障されていると考える人もいるでしょう。でも、世の中何が起こるか分かりません。

新しい政権が日本でも誕生しようというのに、何か希望の見えることを夢想する気分にはとてもなれないですね。

若者も働き盛りも、熟年世代も、そして老後を生きる人達も、すべて自助努力で生きていきなさいという、勝者には理想的かもしれませんが、敗者には地獄絵のような世の中にならないよう、リーダーにはがんばってほしい、というよりほかありません。タイも日本も。

人を蹴落とすのではなく、支え合うということの意味をもう一度考えてみたいですね。

 

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2 コメント

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うさぎさん こんにちわ (飲んべえ親父)
2011-08-31 14:57:41
チェンマイで暮らす日本人の中には年金予備軍の方達もたくさんおります。
私の友人のひとりが やはり今後のタイの成長と反対に年金額の目減りを考えています。
今 その友人は貯金を減らして食いつないでいますが、今後円よりバーツが高くなればタイでの生活は苦しくなります。
それを防ぐために今のうちにチェンマイで円を資産として残しておこうと考え
コンドミニアムの購入を考えています。
これは友人ばかりではなく私も考えている事項ですが。
話は変わりますが うさぎさん 私と出身地同じなんですね、びっくりしました!
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飲んべえ親父さんへ (うさぎ)
2011-08-31 20:42:00
こんばんは。実は生まれは千葉県ではないんです。仕事の関係で転居し、かれこれ10年近く県民をやってます。住めば都で、だいぶ愛着も湧いてきたところです。

資産作りという点では、今は土地などを買っておくと、資産の目減りは防げるかもしれませんね。チェンマイ出身で日本在住のタイ人の知り合いが、せっせと土地やモーバーンを買っています。その人は日本で儲けたお金のすべてをそこに注いでいる感じです。バンコクに土地を買って、家を建てては売ることを繰り返して、結構な資産を作りつつあるタイ人もいます。

でも日本人はご存じのようにコンドー以外は簡単には自分の所有にできないものですから、もっぱら奥さんの資産を増やすことになりますね。
子供がいる場合は、怪しい親戚さえいなければ、それでよいのだと思います。少なくとも、日本に貯金を残すよりは賢明かなと思いますけど、どうでしょうか。
わが家の場合は、タイの土地に投資するほどの貯金も資産もなく、家族が住む家と、おいしい食べ物があれば満足です。あと、ビールとワインとね。
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