タイの中でも最も激しいことで有名なチェンマイのソンクラーンはほぼ昨日で終わりました。公式には13日から15日となっているようですが、昨日もあちこちで水賭け合戦が行われていました。一般に「水賭け祭り」と呼ばれているソンクラーン期間には、タイの仏教でも重要な儀式が行われます。
昨日4月16日は「สรงน้ำพระ(ソング・ナーム・プラ)」と呼ばれる、お寺での水賭けの行事を見てきました。「ソング・ナーム・プラ」とは、日本語で言うと、「仏様の水浴び」あるいは「お坊さんの水浴び」とでも訳せばいいのでしょうか。
水賭け祭りの期間は、一般人はまるで鉄砲でも撃ち合っているかのように相手かまわず水を掛けることが許されますが、お坊さんには水を掛けてはならないことになっています。ところがお寺で行われる「ソング・ナーム・プラ」の行事では、一般人もお坊さんに水を掛けますし、お坊さん同志、また一般人にも水を掛けます。ただし、やり方がちょっと違いますけど。
訪問したお寺は、もちろん息子がお世話になっている、チェンマイ空港にほど近いワット・ラム・プンです。チェンマイだけでなく、各地から信心深い人たち700人ほどが集まりました。
プラ(お坊さん)の読経や信徒代表によるタンブンのあと、お寺で一番偉いプラが会場内を歩き回り、人々に水を掛けていきます。
カメラをプラに向けたまま近くまで行ったので、これは私に水がかかる寸前の映像です。この水掛けはソンクラーンとは関係なく、日常的にお寺でプラが信徒に対して行っている儀式です。「ナーム・モン」といって、人々の穢れを洗い流す有難い儀式です。
このあと会場内は俄かにリラックスしたムードに変わり、いよいよプラに水を掛ける儀式の始まりです。
始めはお寺のプラたちが、会場内に配置した仏像に水を掛けていきます。自分たちよりも先に、まず仏様に水浴びをしてもらうのです。
大人のプラのあとは、会場の近くで2時間も待機していたネーン(子供のお坊さん)の登場です。白い仏像に水を掛けているのが我がネーンです。
ネーンに続いて今度は女性の登場です。女性はお坊さんにはなれないのですが、ご覧のように剃髪して白装束でお寺に住んでいる女性を、タイでは「แม่ชี メーシー」と呼んでいます。一生をお寺で、信仰に生きる女性です。
仏像への水賭けの次が、お坊さん同士の水掛けです。もちろん子供たちもプラに水を掛け、また掛けられます。でも、水かけ合戦とは違います。基本的には手と肩に水を掛け、頭には掛けないようです。
車いすに乗った高齢のメーシーも、手助けする若いメーシーの手によってプラに水を掛けていました。
プラ→ネーン→メーシーと続いた後、最後は一般信徒が水掛けに参加します。水を掛ける相手は、仏像→プラ→ネーンとなり、メーシーや一般人同士が水を掛け合うことは決してありません。あくまでも「お坊さんの水浴び」なのです。
我がネーン(右側)も手を中心に水を掛けてもらっています。でも中には、ネーンに頭から水を掛ける不届きな信徒もいました。ネーンを含むお坊さんに対しては、肩までにとどめるべきなのだそうです。
乳がん手術の後遺症で右手が腫れている妻(中央)も、お坊さんたちの水浴びに参加しました。もちろんお坊さんからのお返しがあるので、全部で100人くらいのプラとネーンに水を掛け終わったときは、妻も頭を除いて全身水浸しでした。
さて最後の写真は、椅子に座ってアップナーム(水浴び)の儀式を受けるネーンたちの背後に迫るプラ。オレンジ色のポリバケツの中にはたっぷりの水が入っています。もうこうなると、街で行われている水掛けと何ら変わりませんね。お坊さんの中でたった一人でしたが、俗世間の水賭け祭りの醍醐味から解脱できないプラがいたようです。
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