アサド政権、塩素ガスとサリンを使用…米分析
【ワシントン、ニューヨーク】米政府は14日、シリアのアサド政権が今月7日に使用した化学兵器は、塩素ガスと
猛毒の神経ガス・サリンだったとの分析を明らかにした。
米政府はアサド政権がサリンなどを依然保有しているとみており、再び使用すれば、さらなる攻撃も辞さない構えを見せている。
米英仏3か国は、シリア時間の14日未明(日本時間14日午前)、アサド政権による化学兵器使用への制裁措置として、
シリア国内の化学兵器関連施設などを攻撃した。米政府高官は14日、これに関する報道関係者への説明の中で、「塩素ガス使用に
関する情報が多いが、サリン使用を指し示す重大な情報もある」と明言した。
同高官によると、ダマスカス郊外東ゴータで使われた化学兵器の被害者には、瞳孔の収縮や中枢神経系の障害などの症状が
見られた。こうした症状や状況からみて、塩素ガスに加え、より殺傷力の強いサリンが使われた可能性が高いとしている。
アサド政権軍は昨年4月にもサリンを使ったとみられている。これに対し、トランプ米政権は巡航ミサイル「トマホーク」
59発で攻撃。
米英仏軍は14日の合同作戦で、シリア国内の3地点に対しトマホークなど105発を発射し、首都ダマスカス近郊の
化学兵器研究施設などを破壊した。
攻撃後、マティス米国防長官は、追加的な軍事作戦の予定はないと明らかにした。
一方、ペンス米副大統領は14日、「米国はさらなる行動をとる用意があり、化学兵器をもし再び使えば、代償を払うことを
アサド政権に思い知らせる」と警告した。訪問先の南米ペルーで記者団に語った。
アサド政権を支援するロシアは14日、国連安全保障理事会の緊急会合を要請。米英仏の攻撃を「国際法や国連憲章に違反する
侵略行為」と非難する決議案を提出した。採決の結果、安保理メンバー15か国のうち賛成はロシア、中国、ボリビアの3か国に
とどまり、決議案は否決された。
米国のヘイリー国連大使は「攻撃は、将来の化学兵器の使用を未然に防ぐためだ」と正当性を強調した。
米ホワイトハウスによると、トランプ大統領は14日、英国のメイ首相、フランスのマクロン大統領とそれぞれ電話で会談し、
米英仏によるシリア攻撃の成功を確認するとともに、アサド政権による化学兵器の再使用を抑止するため、引き続き連携する
方針で一致した。
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<2017年4月 アサド政府軍の攻撃>
シリア空爆、サリン使用か=トルコ当局
【イスタンブール】シリア空爆で4日に死亡した3人を検視した結果、死因は化学兵器禁止条約で保有が禁止されている
有毒神経ガスのサリンだったとみられる。トルコ保健省が6日明らかにした。
トルコ当局は国連の専門家の立ち合いの下、シリア北西部ハンシャイフンの空爆で被害に遭い、治療のためトルコに搬送された後で
亡くなった3人の検視を行った。
同日の空爆では少なくとも85人が死亡した。
保健省は発表文で、検視結果によると被害者は死亡前に内出血と肺水腫を起こしており、こうした症状がサリン中毒を示唆すると
述べた。他の神経ガスや有毒ガスではなくサリンだとみる理由など、それ以上の詳細は明らかにしていない。