自燈明・法燈明の考察

永遠の指導者―牧口常三郎会長考①

 さて、安倍総理の自信施策であった「安倍のマスク」ですが、昨日になり、何やらきな臭い話が出てきましたね。


 この話題では、Googleマップのストリートビューの画像も直ぐに取り上げられ、その会社の窓には公明党のポスターが貼られていました。まあ何やら怪しげできな臭い話なのですが、この新コロナウィルスの騒動の中で、この真相は風化しもみ消されてしまうのかもしれません。

 「政治を監視せよ!」という言葉を金科玉条の様に言いながら、実際の政治には一切監視する思考が出来ない。これは「ダブル・スタンダード」な精神構造を現わしていますが、何故、創価学会の活動家になると、この様なダブルスタンダードの思考を普通にしてしまうのか、そこには創価学会の持つ組織的な思想の問題点の影響があるのです。

 今回はその問題点の一つである、「永遠の指導者の問題」について少し書いてみたいと思います。

 かつて創価学会の第二代会長の戸田城聖氏は「青年は政治を監視せよ!」と厳命しましたが、今の創価学会の現場活動家の中で、本当に政治を監視する人間がどれだけいるのでしょうか。今の創価学会にとって、公明党は信仰する上で重要な「ツール」です。そこにもし何かしらの不具合があれば彼らの信仰活動にとって重大な影響を与えるのは必定で、その為に多くの創価学会の活動家は「心理的な合理化」という人の心の働きのため、こういった問題には無意識に目を瞑ってしまうのでしょう。

1.永遠の指導者
 創価学会では2002年3月28日に会則を変更し、以下の前文を新設しました。

「『三代会長』に貫かれる師弟不二の精神と広宣流布実現への死身弘法の実戦こそ『学会精神』であり、永遠の規範である」

 つまり初代から三代までの会長の精神こそ創価学会の永遠の規範であり、この創価学会の初代から三代会長の3名は「永遠の指導者」であると言うのです。まあ宗教団体として「永遠の指導者」を制定する事を、ここでとやかく言う事はしません。何故ならそれは組織としての自由裁量の範疇ですから。ただ問題は「創価学会ではこの永遠の指導者の歴史を会員に教えていない」という事です。

◆初代、牧口会長について
 創価学会では牧口会長の姿について「牧口先生は、日本人の島国根性を痛烈に批判。日露戦争を目前にした国威高揚の時代にあって、「十五億万の一世界民たることを自覚する」と、世界市民を志向していました。そして、世界は「軍事的競争」「政治的競争」「経済的競争」の時代から「人道的競争」の時代へと移らねばならないと訴えました。」(引用元:SOKAnet 初代会長 牧口常三郎先生)と述べていて、牧口会長は世界的な視野に立った人道主義者だと教えています。



 確かに牧口会長の人間性は大人物としてのものを具えていたと思います。しかし創価学会が教える牧口会長観には重要な視点が抜けています。それは彼の人も「明治時代を生きた人」であり、けして現代の観点の「人道主義者」では無いという事です。具体的な例として、今回は牧口会長が関与した「赤化青年の完全転向」について紹介します。

・長野赤化教員事件
 この事件についての関与を、牧口会長は当時の創価教育学会の機関紙「新教」の1935年12月号に、「全国数万の赤化青年転向指導のために」として寄稿していたのです。

 この事件とは1933年(昭和8年)2月4日から半年あまりの期間、長野県で多数の学校教員が「治安維持法違反」で検挙された事件で、弾圧の対象となったのは日本共産党、日本共産青年同盟、日本プロレタリア文化連盟関係の団体や、労働組合、農民組合など広範に及びました。特に日本労働組合全国協議会(全協)や信仰教育同盟準備会の参加にあった教員組合員への弾圧は大規模であり、全検挙者数608名のうち、230名が教員だったのです。

 牧口会長はこの事件への関与について「新教」で述べています。

「赤化事件に関係した禍によって郷里の教育家からいつまでも疑ひの目を以て見られ、悲惨な生活を送って居る在京者の四君が不思議な因縁によって本会の正会員となり、半歳余り創価教育学の科学的研究から、遂に宗教革命にまで徹底した結果、茲に完全なる転向が出来、明朗勇敢なる生活に復帰したことを赤裸々に郷党に報告して謝罪すると共に同境遇に苦悩しつゝある百余名に光明を与へんとする目的を以て、それらの四名と共に余は某県に旅行して左の如き講演をして帰京した。」

 要はこの長野赤化事件に牧口会長が関与した事で、ここでは四名の青年が共産主義から転向、創価教育学会に入会したというのです。ここでは四名となっていますが、創価大学の「宮田幸一のホームページ」を見ると、具体的には以下の6名がこの事件の関係から入会した様なのです。

 ●矢島周平
(創価教育学会幹事)
 ●渋谷信義
(創価教育学会『新教』編集部)
 ●小林済
(創価教育学会『新教』編集部)
 ●土岐雅美
(創価教育学会研究員)
 ●石沢泰治
(創価教育学会研究員)
 ●高地虎雄
(創価教育学会研究員)

 ここの筆頭にある「矢島周平氏」は、人間革命に名前を変えて登場している人物で、戸田会長が理事長を退いた時に、理事長に就いた人物で、後に宗門へと転向しています。ちなみに創価学会ではこの矢島氏についての詳細も、会員には当然、一切教えていません。

 さて、かれら共産主義に傾倒した青年達を、牧口会長はどの様に転向させたのか、その事について創価学会の資料には以下の様に書かれていました。

「その矢島は昭和10年の正月、親友に連れられ、牧口常三郎と会った。
『私は法華経の修行者で。もしマルクス主義が勝ったら、私は君の弟子となろう。もし法華経が勝ったら、君は私の弟子となって、世のために尽くすのだ』
 矢島は度肝を抜かれ、3日とおかず牧口宅を訪ねる。
 3カ月ほど続いたころ『恐れ入りました。長い間ありがとう存じました』。
 帰ろうとする矢島を『待ちなさい。初対面の時の約束を、よもや忘れはしないだろうね』と牧口は制した。
 矢島は学会員となった。
 それから間もない日、牧口は警視庁の労働課長と内務省の警備局長のもとへ彼を連れて行った。
 共産思想から転向したことを伝えてから念を押した。
『ご安心ください。今後、矢島君は、法華経の信仰に励み、国家有為の青年となります』」

 長野赤化事件は昭和八年に勃発しました。ここではその渦中の人物であった矢島周平氏が牧口会長に面談したのが昭和十年となっています。彼は昭和8年2月17日に検挙され、7月31日に退職となっています。その後昭和十年に渋谷信義氏に連れられ、牧口常三郎に面会し折伏され、それから三か月ほど後に創価教育学会に入会したといいます。そして牧口常三郎は、その矢島氏を警視庁の労働課長、また内務省の警備局長の下に連れていき、彼が立派に共産主義から転向した事を伝えたのです。

 新教では「某県」と書かれていますが、それは長野県の事であると容易に推測できます。また「同境遇に苦悩しつゝある百余名に光明を与へんとする目的を以て」とありますが、これは恐らく赤化事件で検挙された仲間たちを折伏へと行った事でしょう。この事について、新教ではこの文書の後段で以下の様に述べている。

「吾々は先づ内務省警保局、警視庁労働課長等を数回訪問、関係教育家等と懇談して少からず感動を与へ、内務省より郷里の警察部へ特別電話までかけて貰ったこととて、万事に都合よく完全に予定の目的を達したものである」

 つまり牧口会長はこの長野赤化教員事件への関わりは、矢島周平氏との出会いを切っ掛けとして始まったという事、またそこでは当時の内務省や警察庁の協力を得ていたというのです。また牧口会長は警視庁労働課に訪問した際、完全なる転向(共産主義からの転向)について話し合った事を述べているのですが、そこで「三か条」として転向で求められる事を挙げています。

一、皇室中心の国体観念と合致し、虚妄なる観念論的日本精神でなくて充実したるそれたる事。

二、あくまで合法的手段の生活をなすこと。

また「これだけならば気の抜けたビールのやうなもので、毒にはならぬが、薬にもならぬといふ非社会的の個人主義で、教育者としては最劣等級のものといはねばなるまい。」として、次の一つを加えて論じています。

三、自己一身を衛れば足るといふ消極的の個人主義の生活を脱し、積極的に社会の指導に任ずるといふ愛国心に燃える事。

 ここでは自己の一身を守るというだけではなく、積極的に社会の指導に任ずるという「愛国心」を持たなければならないと言い、この「愛国」とは前段にある明治時代から続く皇室を中心とした日本国体概念を持つ日本社会ということを言います。

 そしてここで「皇室中心の国体観念」と「愛国心」を述べ、それを持たせる為に、創価教育学会の信仰があると述べているのです。

 この考え方は、ある意味で明治時代の人間では当然の概念であり、牧口会長の当時の考え方も、その社会の概念の上にあったというのが、この事から解ります。だから現代流の「人道主義者」という事だけで、牧口会長を語る事は難しいと私は思うのです。

 また興味深いのが、牧口会長は後に神札を受けず、軍部政府の思想統制に反対し、治安維持法により検挙・投獄され、獄死をしましたが、昭和初期の牧口会長は、同じ治安維持法で弾圧されている共産党の党員をオルグする為に、内務省や警察庁と協調した行動を取っていたのです。これについても、今の創価学会では一切、会員には教えていない歴史なのです。

 こういった創価学会の歴史の奥深くにある「ダブル・スタンダード」の概念が、今の創価学会の活動家達の思想のベースになっていると、私は考えているのです。だから創価学会の「本当の姿」を理解するためには、そういった歴史についても、まずは理解する必要があるのではないでしょうか。



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