現在固定ではTS-2000SX & CALSAT32 & CSATmateでサテライト自動運転(周波数制御とドップラー補正)を行っていますが、サブシステムとして及び移動運用に使用するためFT-847で同様のシステムを組むこととしました。自分の備忘録のためシステム構築のプロセスを以下にまとめました。なお、この記事ではCW/SSBリニア衛星での運用を主内容とします。また、この記事の内容は私の経験によるため、間違いや思い違いがあると思います。お気づきの点はコメントを頂けるとありがたいです。
Ⅰ FT-847とパソコンをつなぐ
(1)FT-847側の設定
ボーレートの初期値が4800bpsとなっているため、これを9600に変更する。(図参照)
リグのSATボタンを押してサテライトの設定することは不要。あとはソフトウエアが行う。
(2)パソコンとリグをつなぐケーブルを用意する
リグの取説には背面のCAT端子にRS-232Cケーブルをつなぐように指示されている。デスクトップパソコンにはD-Sub9ピンの端子があることが多いので両端D-Subのケーブルを使う。移動運用で使うのはノートパソコンでRS-232Cの端子はないのでUSBに変換する必要がある。私は、USBシリアル変換ケーブル(クロス)をアマゾンで購入した。もう少し安価なものもありそうです。
(3)ドライバのインストール
ケーブルに付属するCD-Rを使用してドライバをインストールする。インストール後再起動。
デバイスマネージャーを開くとポートが追加されている。このCOM番号を覚えておく。
(4)USBシリアルケーブルでパソコンとリグを繋ぐ。
Ⅱ パソコンへのソフトインストールと設定
(1)CALSAT32
衛星の位置計算のソフトウェアで最もよく使われ、優秀。JR1HUOさん作。画像をクリックするとHPにリンクします。
①ダウンロードしたらファイル → 観測点の設定をする。
アイカラーのホームページは住所を入れるとGLと緯度と経度が分かるのでこれを利用する。
②衛星グループの設定を行う。一覧表から現在安定して使用可能な次の衛星をリストに加えた。
グループA RS-44 XW-2A JO-97 FO-29 CAS-4A CAS-4B
グループB XW-2F HO-113 FO-99 等
③ファイル→軌道要素ファイルのデータ取得を行い、ダウンロードが終わったら追加更新しておく。
④このソフトウエアだけで周波数制御とドップラー補正ができるが、次に述べるCSATmateにその役割を負わせるため、ここでは割愛する。
(2)CSATmate
CALSAT32を親としてリグコントロールを行うソフトウエア。JE4IVNさん作。CALSAT32を立ち上げてから起動する。下の画像をクリックするとHPにリンクします。
(1)ダウンロードし、CALSAT32を立ち上げてから起動する。
(2)「設定(M)」をクリックして下記のように入力する。
①CALSAT32のお世話になります
②レジストリ方式
③サテライト対応機を制御
④FT847 VFOボーリング500ms
⑤パソコンに追加したCOM番号を指定する。
⑥ボーレート 9600bps(リグと合わせる)
⑦リグの初期モード 受信側USB 送信側CW
(3)「衛星追加/変更/削除(A)」をクリックして下記のように入力する。
★衛星の登録周波数
衛星名 UP Down MIdth Beacon
CAS-4A 435210 145880 20 145855
CAS-4B 435270 145915 20 145910
XW-2A 435030 145665 20 145660
RS-44 145935 435610 60 435605
FO-29 145900 435800 100 435795
F0-99 145900 435880 30 437075
JO-97 435100 145855 20 145840
EO-88 435015 145960 30
HO-113 145855 435165 30 435575
PO-101 437500 145900 Tone141.3
SO-50 145850 436795 Tone67.0
(4)衛星の登録画面で設定完了(Q)をクリックして閉じる。
(5)環境設定画面で設定完了(Q)をクリックして閉じる。
Ⅲ CTESTWINの設定
(1)私の場合、CWの運用が大半なのでパソコンからCWを自動送信ができるようにCTESTWINというコンテスト用ソフトを使います。ダウンロードはこちら
周波数表示を145/435MHz や 435/145MHz にするにはどうしたら良いか不明。今のところ送信周波数を設定している。
(2)CW → CWパラメータ設定 から次のように入力
①F5 「CQ JE0KBP JE0KBP K」
②F6 「$c $g $g」$c=受信したコールサイン、$g=挨拶、$g=レポート
③F7 「$q TU JE0KBP K」$q=訂正した場合の再送信
④F8~F12は任意
⑤CWポートはUSBIF4CWにチェック FT847はシリアルポートが1個のためCOM指定はできない。
⑥その他はデフォルトでいいと思います。
⑦保存ボタンで分かりやすい名前をつけて保存する。
⑧OKボタンで閉じる。
Ⅳ 実際の運用
(1)リグとパソコンをUSBシリアルケーブルでつなぐ。
(2)USBIF4CWでリグとパソコンをつなぐ。
(3)リグ、パソコンの電源を入れる。
(4)CALSAT32を起動して衛星(例えばRS-44)を選ぶ。
(5)CSATmateを起動する。
FT847が自動的にSAT-Modeになり、RS-44のUP/DOWN周波数、受信USB/送信CWが反映される。
ディスプレイの右上にCAT表示がでる。
SatNameをクリックすると衛星設定値(周波数等)が表示される。
(6)CTESTWINを起動する。
「マルチチェック無し」を選択。
「CTRL+R」でランニングモードにしておく。
(7)ループを取るためにCSATmateのoffset値を調節する。
下は参考値(リグやPC、衛星の位置によって変化する)
衛星名 RS-44 CAS-4A/B JO-97 XW-2A FO-99 FO-29 HO-113
CW→ 0 2200-4400 3300-4100 2000 1900 -700 - 0 200
SSB→ -700 1500-3700 2600-3400 1300 1200 -1400 -700 -500
◎offsetの+を左クリックすると100HzUP、右クリックすると10HzUP、ーを左クリックすると100HzDOWN、右クリックすると10HzDOWN
衛星が可視圏内に入り、10°~20°程度に上がったら短点を1,2回打つ。ループが聞こえるように+ーを調整する。SSBの場合はCWからマイナス700Hzほどに調整。
(8)CTESTWINで「CTRL+F5」を押すと連続CQ送信。
(7)呼んできたらコールサインを入力してENTER 「$c $g $g」が自動送信される。
(8)CALSAT32のAZを参考にアンテナローテーターを調節し、自分の信号が聞こえることを確認する。
(9)CQを出している局を呼ぶときはF11で自分のコールを送信、F12で「R 599 TU」を送信。
(10)CTESTWINに記録したログをハムログにデータ移行する。
Ⅴ 運用面の留意点、課題等
(1)COMポートが外れる現象に悩みました。運用によって回り込みが発生する可能性があります。各ケーブルにパッチンコアを装着するとともに、ケーブル類はなるべく短く、交差しないようにしたほうが良い。デュープレクサーをバンドパスフィルターとしてアンテナ系にれたほうが良い。CW/SSB衛星で私は常に5Wで運用しています。大パワーは必要ないと思います。
(2)固定のシステムに比べ、アンテナがプアーなためかリグの操作法や特性を把握できていないためか、ループが取りにくいです。今後の課題です。
(3)FT847のCW音が送受信のたびに「ボッボッ」と鳴るのが気になります。これはサテライトでも通常のHF-CWでも同じです。短点/長点の直流音の間に雑音が入るのは仕様でしょうか?リグの取説にあるCWディレイタイム、サイドトーン、ウエイトなどを調整しましたが改善されません。
(4)CSATmateのoffset値が不安定です。3000Hzくらいでループ音が聞こえるようにしてもしばらくすると4500Hzに上がったり、また下がったりします。TS2000ではこのような現象は見られないので運用中もoffset値を動かすことが多く送受信に集中できない。今のところXW-2A,CAS-4A,JO-97のようなU/V衛星で頻繁。
(5)返りのループ音が「ピョッ・ピョッ」と聞こえ「ピー、ツー」のように真っ直ぐな直流音にならないことがある。
Ⅵ TS-2000SXとの相違点
(1)リグとパソコンの接続
①FT-847はRS-232Cクロスケーブルで接続するが、TS-2000はRS-232Cストレートケーブル。
②通信速度(ボーレート)の設定。FT-847は変更が必要だが、 TS-2000の初期設定は9600なので設定不要。
(2)実際の運用
①パソコンとリグのCOM番号が同じになっている状態で、CALSAT32 → CSATmate と立ち上げればTS-2000の電源がONとなり、衛星周波数等も設定済みとなる。FT-847は電源スイッチが機械式スイッチ(押し込むことでON)なので、先に電源を入れておく必要がある。
(3)ソフトウエアの設定
①CSATmateオフセット値が異なる
衛星名下の数値がCSATmateのoffset(CW )、SSBの場合はマイナス700Hz
RS-44 1200 |
CAS-4A/B 1600-1900 |
JO-97 2300 |
XW-2A 1600 |
FO-99 1900 |
FO-29 400 |
(4)その他
①FT-847は430MHz端子がM型、TS-2000はN型 アンテナから来る同軸ケーブルのコネクタ注意。
ぜひ、ファイル化していつでも公開できるように
しておいていただけると有難いです。
認めていただき大変嬉しいです。
まだ、未完成で不確かな部分がありますので改訂していきます。少しでも誰かの役に立つ記事にしたいと考えています。