エウアンゲリオン

新約聖書研究は四福音書と使徒言行録が完了しました。
新たに、ショート・メッセージで信仰を育み励ましを具えます。

次へ託す王の祈り

2024-06-07 | メッセージ

歴代誌上29:10-20 
 
ダビデの最後の祈りだといいます。神に愛され、ここまで守られてきました。イスラエル王国の礎を築き、栄光の国を確立しました。この王国あってこその、神の国の理想です。そこにはまだ神殿がありませんでした。数々の地を流してきたダビデではなく、その後継者ソロモンこそ、神殿建設に相応しいとされたというのです。
 
しかしダビデは、この神殿の設計図をつくっています。建築素材も手配し、献品という形で集め、準備しました。全くすべてが寄贈されたというわけではないとは思いますが、人々の協力の大きさは知ることができるでしょう。ダビデの祈りは、まず神を称えます。主権者であり、全所有者であり、支配者である主を見上げます。
 
イスラエルの神は、全地の主であることを宣言します。イスラエル全会衆の目の前で、神を称えているわけです。すべての民を一つに結んだことを意味することになります。続いて、神殿のための建材に目を向けます。膨大な献げ物も、神の前には無に等しいこと、そもそもこれらの物そのものが神の創造物であり、神からもたらされたものなのです。
 
それを思うと、本来の意味で献げたなどとは言えなくなります。そして人の空しさ、人力の頼りなさを挙げます。主の前に人は寄留者に過ぎないこと、一時的な滞在者でしかないことを告白するのです。それが、こうして多量の献品をしたとしても、大したことではないというのです。しかし、民がこれらを心から献げた、その真心を主はご存じでしょう。
 
「進んで献げるのを、私は喜びのうちに見て」いたというダビデの心が、なんだか私はうれしく思えます。イスラエルの民は、主に懸命に献げようとしました。この思い、つまり民の信仰が、これで終わりということなく、これからもどうか続きますように。この願いは、その後の時代の教会の、そしていまの牧師たちの祈りでもあることでしょう。
 
ダビデがソロモンについても、後継者として王国の繁栄に貢献できるように、と祈るその願いは、いまの時代であっても、教会の後継者のための祈りにも重なってきます。ダビデを欠陥のない英雄のように描きたい歴代誌です。人間臭さを取り除いて記述しているわけですが、それだけに純粋に願う私たちの気持ちを重ねたい気もします。


わが子ソロモンが、
あなたの戒めと定めと掟を守って何事をも行い、
私が準備した神殿を建てることができるよう、
誠実な心をお与えください。(歴代誌上29:19)

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