兵士がイエスを侮辱した様子については、マタイはマルコと大きく変えることはしていません。外套を着せる前に最初の着物を脱がせたはずだという論理的な補足を加えるのはマタイらしいのですが、この脱がせるという語は逆に着せたという語だという写本の説があるというので、微妙な判断になるかもしれません。他には、イエスに葦の棒を持たせたことが違うのも、細かなことと言えましょう。修正は、服の色です。マルコは紫だったのが、マタイは「赤い外套」(マタイ27:28)に換えています。正確に言えば、緋色です。紫は最高級の色なのでどこか不自然な設定だとマタイは考えたのではないかと思われます。ローマ兵は緋色の外套を羽織っていました。だからこのほうが自然です。
兵士たちは「ユダヤ人の王、万歳」(マタイ27:29)と言いました。それは、なぶるための言葉でした。聞くに堪えない言葉でした。はたして、「お前がユダヤ人の王なのか」(マタイ27:11)という問いに対して、読者は、この兵士たちは別の意味で、この言葉を発するのでしょうか。
兵士たちは「ユダヤ人の王、万歳」(マタイ27:29)と言いました。それは、なぶるための言葉でした。聞くに堪えない言葉でした。はたして、「お前がユダヤ人の王なのか」(マタイ27:11)という問いに対して、読者は、この兵士たちは別の意味で、この言葉を発するのでしょうか。