日本人の起源

遺伝子・言語・考古・歴史・民族学などの既存研究成果を統合し、学際的に日本人と日本語の成り立ちを解き明かす

目次

2016年03月30日 | はじめに・目次
0.はじめに

Ⅰ.世界的視点
 1.人類拡散史
 2.Y 染色体とミトコンドリア DNA ハプログループ
 3.移動ルートと人種形成
 4.ホームランドと人種系統樹
 5.言語について
 6.言語の分布と盛衰
 7.人種・民族・言語・遺伝子
 8.語族より上位の系統とY染色体 Hg
 9.環境変動
 10.まとめ

Ⅱ.日本人と日本語のルーツを探る(人類学から)
 1.明らかになった日本人のルーツ
 2.日本人のY染色体Hg-1
 3.日本人のY染色体Hg-2(タイプ各論)
 4.日本人のミトコンドリアDNAHg、日本人は北ルート系モンゴロイド
 5.Gm遺伝子、形質人類学
 6.JCウイスル
 7.ATL のレトロウイスル(HTLV)

Ⅲ.日本人と日本語のルーツを探る(考古・民族から)
 1.東アジアの民族誌
 2.岡正雄氏の日本列島種族論
 3.先土器時代から縄文時代の開始まで
 4.縄文農耕
 5.円筒土器と遼河文明
 6.弥生時代の開始


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はじめに

2015年02月01日 | はじめに・目次
「日本人の起源」と聞くとだれしも少なからず興味がわくと思う。我々日本人はどのような成立過程を経ているのであろうか。
 私がこの問題の取り組もうと思ったきっかけは日本国内における言語、文化、人間の相違があまりのも大きいことである。言語についていえば東京方言と関西方言のアクセントは全く正反対である。さらには東北や出雲の「ズーズー弁」も奇妙である。沖縄の人は本土の人に対し少なからず違いが認められる。縄文系、弥生系の顔といった区分をされる場合もある。考古学者の江上波夫氏いわく「日本人の顔つきの多様性は世界一」ともいう。これらの差異は一体どのように形成されたのであろう。
 この問題を解くにあたり「日本人は混成民族である」という前提をおさえておく必要がある。このように聞くと奇異なことのように思えるかもしれないが、世界の民族は大かた混合を経ているのである。日本人はアジアの東の極にある地理的条件から、古代より多種多様な系統の人類集団が、流入・混合してきたのである。
 しかしながら日本人の起源・形成過程を明確に論じた研究はあまり存在しない。民族、言語、歴史、考古、形質人類学の各分野においてそれぞれに解明に取り組む試みはなされてきたが、各分野が独立しており、総合的に研究された例は少なかった。さらに近年の分子遺伝学の発展により人類学においても遺伝子から集団の特性を知ることが容易になった。人間の起源を探る上で遺伝子は揺るがぬ直接的証拠となる。
 本論では遺伝子、言語、歴史、考古学、民族、形質人類学などあらゆる観点から日本人の起源を多角的に解明していくことを目的とする。いままで明かされてこなかった日本人の形成の謎を解き明かすことをめざす。

本研究の方式について
 本研究は独自研究という性格上、オリジナルデータを採取しておらず、実験、分析、シミュレーションなどを自ら行っていないことをご了承いただきたい。様々な分野の先生方の書かれた文献を拝読し、全てを最もうまく説明がつくような形で結論を導き出すことを目的としたものである。

方法
 本研究の方法について簡単に述べておく。まずは世界の諸言語、諸民族についての知識の整理を行い、世界の諸民族のY染色体Hgの一覧表およびY染色体Hgの系統を参考に、その移動経路、分岐年代、言語との関連等を探った。世界の人類学的知識を増やし、総合的視点で移動経路や民族移動の解明に取り組んだ。
 加えて諸書籍、文献を読むことで日本人の及び日本語の起源について言語、遺伝子、考古、歴史などの各分野における先行研究、提唱されている諸説を学び、一見無関係に見えるそれらを統合的に組み合わせることで世界的視点からその形成過程について総合的に考え、最も適当と思われる結論を導いた。遺伝子人類学、言語学、歴史学、形質人類学、考古学、民族学など様々な角度から学際的、学問融合的アプローチを試みた。


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