翡翠色 オパール色 風の声

おひとりさまの人生 感じて 考えて 味わって(?)
草花とメダカに癒され生きています

ボリビアへ6 ~山の彼方~

2008-08-29 | 旅、風の声に誘われて
        この場所に座って、カップ蕎麦を食べていました   雲が近いです


ボリビア酸欠の旅の6話です。
(初めていらした方は、カテゴリーの「旅」からパート1~5もご覧下さいませ)


怒濤の宴会の翌日、村でお世話になっていた方のお宅に向かうと、何やら面妖な香りが・・・


              むむっ


家の前にはロープが張られ、昨日のシチューとなった、リャマの毛皮と肉が干されていました。
山の風に晒されて、水分の抜けたお肉は、保存して、
作物が穫れない季節の貴重な蛋白源となるのでしょう。
自給自足の生活。
自分の身を、自分で立てられるというのは、なんと凄くも素敵な事でしょうか!



お料理はお母さんが担当。
冬の寒さで凍らせて、水を抜いて干した、カチカチのジャガイモが、彼等の食事の中心。
煮ながら戻すと、いい出汁の出たスープになります。(これは食べました)


アンデスの人々はコカのお茶を沢山飲みます。
コカ・コーラのコカ(現在は入っていません)、コカインのコカです。
榊のような葉っぱを干したものを、数枚カップに入れて、お湯を注げばできあがり。
男の人達は、お茶にせずに、この葉をガムのように噛んだりもしていました。

気圧の違いによる脱水予防の為に、私もコカ茶をよく飲みました。
緑茶をもっとやさしくしたような味。
そして、少し麻薬作用があるのか、これを飲むと頭がシャキッとして、
高山病になりにくいのは、間違いありませんでした。
とても美味しかったのですが、途中で麻薬犬のチェックでひっかかるので、
持ち帰りは断念。。。




上の写真で眠そうだった子供。いつも妙な東洋人一行に興味津々。やんちゃざかりの甘えん坊さんでした。


実はとある調査のため、祭りでピーヒャラやっていた人達の髪に触れる機会があったのですが、
おそらく生まれてから1度も髪を洗った事ないと思われる人が沢山いました。
お風呂もないし、水浴びをするには寒すぎるし、多分身体を拭く程度なんだろうと思います。
でも、高地の強い日差しを受ける肌を、洗い過ぎてはいけないのではないかとも、思うのです。
肌の色だって、体内の細胞を守る為に、褐色になっているのですから。




   村の最高齢のおばあちゃん、85歳。 意外にも世界中、高地はご長寿が多いんですよね。


食べる物も、着る物も、ライフスタイル全体が、その地の理にかなったもの。
ちゃんとバランスがとれているんでしょうね。
だからこそ、昔ながらの生活を変える必要がなかったのではないかと思います。


私たちがこの村を去る前に、小学校の子供達が、踊りを披露してくれました。
カセットテープで、ドンドコ、ピーヒャラ!
私たちは、息も切れ切れでしたが、子供達は山に住む何か違う生き物のように、元気いっぱいでした!

子供達に将来の夢を聞いてみると、お医者さんと学校の先生になりたいという声が圧倒的に多く、
それはそれで、この集落の切実な一面をかいま見た気がしました。



子供達が踊っているのは、小学校の校庭。
ここはおそらくこの集落で、一番眺めのいい場所です。

こんな風景を見ながら育って行ったら、自然というものを、身近に感じて、
敬い、そして共存していく事の大切さを、身をもって覚えて行くのでしょうね。



      小学校から見える風景 段々畑と集落と、遥かな山並み


アンデスの暮らしは、地球上で考えると、かなり極限に近い生活だと思います。
日本人の感覚でとらえると、あまり楽ではない生活。

でもね、そこで大半の事が完結して、その生活の中で、沢山の幸せがある事を、
この天空の集落の人達の笑顔に教えられました。

私の価値観の中の「幸せ」は、みんなここにありました。
自然と共に生きて、家族や仲間や動物や作物と共に、次への命を繋いで、自然の中で天寿を全うする。
理想です・・・

                


セスナに乗ってアンデスのどこまでも続く山並みを見つめながら、何度も思った言葉がありました。




   山の彼方の空遠く 幸い住むと 人の言う ・・・





おとぎ話みたいだけど、こんな場所も地球には、あるんです。
地球の裏側で、彼等のいつもの暮らしが今日も変わらずに営まれている事、日本にいると夢みたいです。




   セスナから見下ろす、アンデスの山・・・気が遠くなるくらい、どこまでも山です


                長らく御清聴(?)ありがとうございました
                ボリビア酸欠の旅話はこれで完結です・・・たぶん




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6 コメント

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お返事 >山の彼方 (翠のお返事)
2008-08-31 14:30:36
なんとかボリビアの旅も着地。
ちょっとした脱力状態です。
自分の中の大さなテーマまで行き着いてしまったからかな。
自分でも、力が入り、びっくりしています。
でも、何かの形で書き留めておけて、とてもよかったです。

ともあれ、読んで下さった皆様、感謝感激でございます。
普段は旅に出ても無精で、あまり写真を撮らないのですが、
なんとかまた、マヌケな旅話とへっぽこ写真を発掘して、
和みのひと時(!?)お届けしたいと思います。

お返事を書く前に飲み物をと思い、
冷蔵庫から紅茶のポットを出してカップに注ぎ、
次に牛乳を入れるつもりが、横にあったアイスコーヒーをトポトポ。。。
途中で気がつき、仕方ないので、それに牛乳を足して温めた物を飲みながら、今、これを打っています。微妙な味。
高尚な事を言ってみても、相変わらずのマヌケな私。。。
まぁ、普通か。。。


 やくさん、コメントありがとうございます

物を持つ事でのストレスは、確実にあるのではないかと思います。
もちろん物質的な豊かさも、豊かさのうちだとも思うんですよ。
でも、どこかで分水嶺を過ぎている感じですよね。
東京に暮らしていると、そんな気がしてきます。
シアワセは、色々ですね。
少しでも、私の記事がお役に立てたなら、とても嬉しいです。

コカ茶はおいしいんですよ。
徹夜仕事の時に、あれがあったらと、いつも思います。


 ぼんぼりんさん、コメントありがとうございます

厳しい自然の中では、家族やまわりの人達と協調しないと、
人は生きていけないんですよね。
そこから智慧も生まれるし、次世代も生きる力を付けて行く。

ぼんぼりんさんの丁寧な暮らしぶりを拝見していると、
相通じるところ、沢山あると感じます。

シンプルな生活は、物事を判りやすくしてくれるので、
時々こうして旅に出ると、自分の頭の中の基準が、
明確に見えて来ると思います。


 早紀さん、コメントありがとうございます

もしかして、世界一高い小学校!?
そうだったら、すごいなぁ。

旅の思い出は、おばあさんになっても楽しめる宝物です。

日本も良い所、沢山ありますね。
昨秋、福岡の小さな農村の祭りを訪れ、お神楽を見ましたが、
日本にもこんな場所と人々がいたのかと思う程、
感動的な光景でした。
四季も美しいですし、食べ物もとびっきりおいしいですし。
日本という国も、大好きです。
秋風に、旅心がうずきます。


 みくあさん、コメントありがとうございます

言葉が通じない彼らの胸の内を計る術もありませんが、
ここが天国だとか地獄だとか、考える必要すらもない暮らしが、
天国なのかもしれないです。
小さな循環型社会を理想とするのは、
冒険心の強い人間の本能に反しているのかも知れませんが、
あまりの情報社会に生き、まわりにがんじがらめになって生きていると、
やはりこういう世界にほっとしてしまうんですよね。
幸いにも、この村でテレビやインターネットをみかけませんでした。
それが天国である一因であるのは、間違いないだろうと思います。


 はづきさん、コメントありがとうございます

ジャガイモの保存食は、少し形は違いますが、
アイヌ民族の保存食にもあると、帰国してから知りました。
原理は、切り干し大根や凍み豆腐と同じです。
水を抜ききるのに、踏んづけるところが、ちょっとひと手間ですけどね。
日本に送ってもらい、スープにして食べましたが、
皮付きポテトがおいしいように、皮の滋味がイケていましたよ。

アンデスの自然も、人々の生活も、速度の違こそあれ、
きっと少しづつ変わって行くのだと思います。
変わらないでと願っても、彼らのシアワセの形は、また違うのでしょうね。

私もシアワセの形、年とともに少しづつ変わって来ています。
でも、それが何なのか考え、近づいて行く事が大切かなと、
はづきさんに言われてみて、あらためて思いました。
ホント、ありがとうね。
返信する
6話も、ありがとう、 (はづき)
2008-08-31 01:42:08
綿菓子のような雲を、割りばしで、ヒョイっと、掴んで食べられるのではないかと、思うほど、近くですね

じゃがいもの冷凍は、出来ないと、思ってたのは、この、国では、通常なんですね

コカ、これが、高山病の、特効薬だったんですね~

髪を、洗ったことがない、などなど、衣食住すべてが理にかなってのことなのだと・・・

アンデスの山々を、私など、一生かかっても、
観ないであろうと、思える数々のアップを、、翠さんの、おかげで、こうして、眼に出来たこと、そして、この、出会いにも、感謝です、

たくさん楽しませてもらいました、勉強にも、なりました。ありがとう!

翠さんの中の「幸せ」少しでも、近づけること、祈っています
返信する
ありがとうございます (みくあ)
2008-08-31 00:26:24
翠さん こんばんは☆

貴重な旅のお話しを読ませていただきありがとうございました。

幸せってなんだろう・・・改めて多くのことを思い考える機会を与えていただくことができました。
子供たちに夢があることが素敵に思いますし、老婦人のお顔がとても穏やか・・・

天空の集落は、もしかしたら地球の中で「天国に近い場所」であり、思いの点でも、とても近い処なのかもしれませんね。

今日は多くを語らず、翠さんからご紹介していただいた旅のお話しの中にソッと身を置くことにします。

本当にありがとうございました☆

返信する
素敵なお話ありがとう! (早紀)
2008-08-30 13:49:03
 わあ~すごい景色!小学校が天国みたいですよね

 世界中、さまざまな地域に景色があり、人々がいて・・・翠さんの経験、素晴らしいですね

 でも、日本も素晴らしいですよね。かのアインシュタインは日本が大好きで「この国が地球に存在していることが祝福だ」とおっしゃったとか

 日本の良さも大切にしたいですね

 旅話・・・また、お願いします
返信する
^^ (ぼんぼりん)
2008-08-30 13:37:17
こんにちは~翠さん
翠さん 完結はさみしいな
異国の地の旅物語とても楽しかったです。
翠さんと一緒に旅したみたいでしたよ。
いろんなこと考えさせていただきました
翠さんありがとう
自然と共に生きて 家族や仲間や動物たちとの暮らし
便利になりすぎて忘れてしまったこと沢山あります。
だからといって今の生活を変えられない私達は 本当は豊かではないんだなって想いました。
この子供達の笑顔を胸に刻んで忘れないようにしたいなぁ
本当の豊かさを再確認させていただきました
翠さんまた 旅話してくださいね
返信する
いい話や~(しみじみ・・・) (やく)
2008-08-29 20:03:17
便利になればなるほど、あれもこれもってやらなきゃならないことも増えて、結局満たされずにストレスばかりがたまります。
便利で物であふれた豊かさってどれほどのものだろう・・・

翠さんのボリビアのおかげで、自分の焦りみたいなものがとれた気がします。

ここで飲むコカってすごくおいしんでしょうね。すっきりしたい理由が違うんですもんね。
できるものなら味わってみたい
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