私がウェザー・リポートのベスト盤として挙げているものに『ライヴ&アンリリースド』があります。1975~83年までのライブ音源から、オリジナル・アルバムに収録されなかったものを集めた2枚組みです。
ウェザーリポートの(セールスとしての)最盛期の音源ですから、当然ながらジャコが在籍していた頃の演奏も多数入っており、私はそれだけでも嬉しいのですが、アルフォンソ・ジョンソンが在籍していた時代のアーシーな空気もなかなかです。
そんな中、ウェザー・リポートがワールド・ミュージックにシフトした80年代のボトム・ラインを支えたヴィクター・ベイリーとオマー・ハキムの演奏も個性的であり、このアルバムの中でも際立った存在感示しています。彼らの演奏はDisc-2の#2《Where The Moon Goes 》、#4《Two Lines》。
《Where The Moon Goes 》はオリジナル・アルバム『Procession』(スタジオ作)に収録されていますが、この時はゲスト・ヴォーカルにマンハッタン・トランスファーを迎えて録音されました。『ライヴ&アンリリースド』ではザヴィヌルがヴォコーダーで多重ヴォーカルを再現しています。
しかし、ここでの聴き所はザヴィヌルのヴォーカルや、ショーターではなく、オマー・ハキムのドラミングです。前置きが長くなりましたが、そのライブの映像がYouTubeにアップされているのを発見しました(悔しいですが一部分のみ)。ザヴィヌルもハキムも楽しそうです。
ジャズ批評のベース&ドラム特集でハキムを「千手観音大暴れ」と評したことを思い出しました。この映像が残っているとすればこの曲だけでも全編通しで見てみたいものです。