搾乳時に乳頭をきれいにすることは、環境性乳房炎の新規感染を減らします。
搾乳時に、乳頭をきれいに拭き取ることを心掛けましょう。
乳頭を拭き取る目的
乳頭表面のふき取りが不十分で、汚れが多く残っていると、搾乳中に、乳頭口からの細菌侵入が多くなります。
乳頭表面の細菌数を減らすことが大事です。
乳頭の拭き取り方
1.前準備
手は無数のシワがあり、シワの奥に入り込んだ汚れを完全に洗い流すことは不可能です。
写真一は、手を石鹸で洗い、培地に手をつけて培養したものです。手には多くの細菌が存在していることが分かります。
搾乳手袋は、手が汚れた場合でも、汚れを簡単に洗い流すことができます。搾乳手袋を身に付けて、搾乳を行いましょう。
2.乳頭の拭き取り
乳頭を拭くときは、シワの奥深く入った汚れをタオルでねじるように拭き取ります。
特に乳頭先端は汚れがこびり付いてるので、念入りに拭き取りましょう。
拭き取った後は、乳頭表面を汚さないように、乳頭に触れないようにします。
そのため、四本ある乳頭のうち、搾乳者から見て遠い位置にある乳頭から拭き取りましょう。(画像2)。
手前の乳頭から拭くと、奥の乳頭を拭く時に、きれいに拭き取りした手前の乳頭に触れてしまう可能性が高いからです。
3.ペーパータオルで乳頭の乾燥
乳頭表面の水分を取り除くことは、ライナースリップを減らすだけでなく、細菌数を減らすことにも繋がります。
乳頭を拭き取った後、使い捨てのペーパータオルなどを使用して、水分を取り除きましょう。
4.ミルカーの装着
ミルカーを装着する時、乳頭を指で引っかけて誘導すると、乳頭を汚してしまいます。シエルだけを持つようにしましょう。
プレディッピング
環境性乳房炎の有効な予防法として、プレディッピング(ミルカー装着前のディッピング)があります。
図1は、プレディッピングを取り入れた搾乳手順を示しています。プレディッピングを行うに際しては、いくつか注意する点があります。
◆乳頭が目で見てきれいである。
◆ディップ液残留の危険性があるので、認可されたプレディッピング専用液を使用し、しっかりと拭き取る。
◆乳頭表面の細菌を減らすため、プレディッピング後、約30秒放置する(コンタクトタイム)。
◆前搾り⇒プレディッピング⇒拭き取り⇒ミルカー装着までを60~90秒で行うなど、泌乳生理を阻害しない搾乳を心掛ける。
内容に関してご不明な点がありましたら、普及センターにご連絡ください。