イギリスの期待の俊英ケン・マクラウドの通算１０作目の邦訳がこれ。サブタイトルにA Space Operaとあるように、ハードＳＦの要件をしっかり満たしながらも、スピーデイな冒険小説になっているのだ。２１世紀後半にアメリカの軍用ＡＩが自己アップデートにより意識を獲得し、特異点（シンギュラリテイ）を突破。ネットにリンクして生活していた人類の大半をネットワークに吸収し「強制昇天」させてしまった。それから３００年後、特異点を突破したＡＩ知性は「後人類」となって、どこかえともなく消え去り。「強制昇天」戦争に生き残った人類の末裔は超高速航行（ＦＴＬ）を手に入れ多数の惑星に植民していた。ＫＥ（啓蒙騎士団）ＤＫ(共産主義者）ＡＯ（アメリカンオフライン：農夫）の３大勢力に属さず、家族経営の会社を運営し、偶然発見したワームホールネットワークを独占運営するカーライル家の一員である、ルシンダカーライルがこの物語の主人公。新たなワームホールネットワークの出口を探検に行った、ルシンダは３００年前に太陽系から脱出し、既存ネットワークとは没交渉のなっていたエウリデイケ世界を再発見した。そこには未知の「生きた」異星人遺跡が残っており、そこから歴史の謎に迫る物語が急速に展開する。ストーリーの展開が速くついて行くのが大変だが、技術的背景もしっかりしていて「納得のいく」内容。最終的にはコンピューターにアップロードされた意識と人間性の問題を投げかける内容だ。
実際にはテクノロジーの部分で躓きそうですが、要約読ませていただくと、手にとってみたくなりました。
ハードSFとプログレの大曲は苦手なんですが、この本は読んでみようかな。
守備範囲が相変わらず広いですね。
もし、冒険系の小説がお好きでしたら、私の守備範囲で言えばダン・シモンズの「ハイペリオン」４部作がお勧めです。勿論本書も悪く無いです。
それにしても、いつもチェックしていただいて有り難うございます。いつか、お店にもおじゃましたいです。