人権擁護法案は誰の人権を擁護するのか？

今テレビのニュースでは「ライブドアVSフジテレビ」「マラッカ海峡の海賊」「竹島問題と竹島の日制定」などが連日のように報じられていますが、世の中、もっとすごいニュースがあるにもかかわらず、テレビではほとんど報じられていない事があるのです。その一つが「人権擁護法案」です。


人権擁護法案とは、「人権の侵害により発生し、又は発生するおそれのある被害の適正かつ迅速な救済又はその実効的な予防並びに人権尊重の理念を普及させ、及びそれに関する理解を深めるための啓発に関する措置を講ずることにより、人権の擁護に関する施策を総合的に推進し、もって、人権が尊重される社会の実現に寄与する」ことを目的とした法案です（こちらのサイト参照）。単純に言えば、差別を根絶するための法律案です。


では、どんな方法で差別をなくすと言うのでしょうか？　この法案は、差別をなくす、もしくは防ぐためのプロセスが問題視されているんです。

①まず、政府が人権擁護のために新たに創設するとされる「人権擁護委員会（全国であわせて２万人にも及ぶ規模の組織になる予定です）」が、不当な人権侵害を受けた本人や、その現場を目撃した人などからの通報により、人権侵害又は「人権侵害を誘発・助長する恐れのある」発言や出版などに対し、調査を行います。

②もし人権侵害などが疑われた場合、委員会は関係者に出頭を求めたり、証拠品の提出、立ち入り検査を行うなどの措置を取ることができます（警察では捜査令状が必要になりますが、人権擁護委員会の場合は必要ありません）。

③もし、関係者から捜査の協力が得られない場合、委員会はある程度の罰則（氏名などを含む個人名の公表など）を課すことが出来る権限を持っています。

このようなステップを踏んで、差別や人権侵害を次々に根絶していこうと言う訳なんですね～


しかし、ちょっと待ってください。この案で一番疑問なのは、「人権擁護委員会の構成員はどのような基準で選ばれるのか？」という事です。人権擁護委員会は、人権擁護法（案）のもとで警察以上の強い権限を持っている組織なのですよ!?


人権擁護委員長もしくは委員は、「人格が高潔で人権に関して高い識見を有する者であって、法律又は社会に関する学識経験のあるもの」でなければなりません（法案第９条参照）。　…こんなにアバウトな選考基準で、２万人規模の強い権限を持った組織を作るんでしょうか（笑）。弁護士や裁判官、医師や看護師などといった専門職は国家資格を有していなければなることが出来ませんが、人権擁護委員の場合は国家試験なしで、スバラシイ人格を持たれた方であれば即採用っ！　なんですね…


そんな曖昧な基準で選ばれた人たちで構成された人権擁護委員は、差別の認定を第三者のアドバイス無しで独断で行う事が出来たり、不当な差別を行ったものに対して礼状無しで家宅捜索を行う事が出来たり、個人名などの個人情報を一般公表する事が出来たりするわけです。その上、差別そのものが行われていなくても、人権擁護法案の目的にもあるように、予防的措置をとることも可能なわけです。　・・・これって治安維持法ですか（汗）？　これを使えば言論統制もお手の物ですな♪


もともとこの法案は、国連からの勧告を受けて作られたものなのだそうですが（こちらのページ参照）、法案を作成していくうちにたくみに言論統制で来ちゃうようなシステムを挿入しちゃったようですね。人権を擁護することそのものは僕は賛成ですが、この法案には反対です。この法案が施行される事によって、人権は擁護されるどころか、新たな人権侵害を生んでいく事にもなるからです。こんな法案、誰が考えたんでしょうなぁ（古賀誠氏がすごくプッシュしてるようですぞ！）…


無論、国会議員さんの中にはこの法案に異議を唱えていらっしゃる方が多数いるようで、自民党でも昨日、この法案の承認を見送った模様です（こちらの記事[共同（四国）]参照）。民間の団体も次々と反対声明を出しています（こちらの記事[朝日]参照）。しかし今現在は、自民党の古賀誠氏が威信をかけて多数の賛成派議員を動員したため、3/10には反対：賛成が7：3だったのが、4：6にまでなってしまったという話もあります（こちらの記事参照）。


人権擁護法案については、以下のサイトさんのほうが詳しいと思いますのでご参照を…
■人権擁護（言論弾圧）絶対反対！
■サルでも分かる？人権擁護法案
■ビラ配りまとめサイト
■フラッシュ１
■フラッシュ２
■人権擁護法案について（デスノート風）