顧客の目を引き、心を動かし、店の狙いがうまく発揮できている売り場を「効用の高い売り場」、逆にそれを阻害する様々な要因を抱える売り場を「効用の低い売り場」ととらえてみる。阻害要因を1つ1つ取り除いていくことが、売り場の改善に結びつく。
「効用の低い売り場」の代表的な例は以下のとおりである。
サービスに関わるものでは、バックヤードの市が悪く商品在庫の確認が遅くなりお客をイライラさせてしまう、レジ位置が悪く清算を待たされる、などだ。商品陳列に関しては、脈絡がなく単に並べているだけで購買意欲がわからない、探しづらく煩わしい、商品陳列が乱雑で陳列台からはみ出している、などがある。
売り場環境に関連したものでは、必要以上の音量で落ち着かない、来店客とかけ離れた内装、デッドスペースの多い売り場、などがあげられる。このような様々な阻害要因はすべて排除する必要がある。
こうしたマイナス要因を産む原因となっているのが、売り場のアンバランスである。販売スタッフ、商品、在庫、環境、発信する情報など、全てが売り場という1つの器に入り、バランスよく連携し機能して初めて魅力を発揮する。売り場には、しっかりとしたアイデンティティーが必要なのだ。
バランスの良い売り場作りにつながる根本にあるのがコンセプトである。ここでいうコンセプトとは、店舗の政策であり方針を指す。
店はどういった顧客にどのような生活提案をしたいのかを明確にすることが大切である。これにあわないものは排除する。コンセプトは売り場がいかに魅力を発揮するか、具体的に表現していく基となる。
勿論、コンセプト以前の店のモラルに関わる障害は問題外だ。例えば照度が不足し暗い、清掃が行き届かなく汚い、バックヤードから臭う、障害物が多く見づらい、什器やモノが通路にあふれ歩きづらいなどだ。
コンセプトを明確に設定すれば、そんな障害を取り除かなければならないかハッキリする。顧客の目に触れない部分が整備されていくほどに、目に見える売り場の輝きも比例して増してくるのだ。