ICタグを使ったタウン情報提供、きめ細かな物流サービスなど先進的な実証実験で使われるucode(ユーコード)。既存のバーコードなどとの違いは何か、どんな優位性があるのか。開発者である東京大の坂村教授に聞いた。
Q ユーコードとは?
A 現実の世界にある物や場所と、バーチャルの世界にある膨大な情報と結びつける手段だ。コンピューターネットワークがなかった時代の産物であるバーコードは13ケタの数字にメーカー名などの意味が入っている。ユーコードは2の128乗ある番号でそのものには意味はないが、ネットワークにつなげることで、大量勝最新の情報にアクセスできる。
Q 東京・銀座でタウン情報提供実験でも使われているが?
A 物だけでなく、場所にもつけられるのが特徴。ここはどこ、ということだけでなく、店や建物の歴史など大量の情報を受け取れる。ユーコードには他のユーコードとの関係性、近接しているといった情報も持たせられるので、ユーコードをたどって目的地まで誘導することも実験する。
Q 媒体はICタグを使うのか?
A 媒体は問わない。廉価にしたければQRコードのような紙媒体でもいい。銀座の実験のように場所をきめ細かく指定するならば、数十センチという近距離通信のICタグ、半径3~5mの赤外線マーカー、10mくらいの無線マーカーといった3つを組み合わせればいい。
ビジネスにも使う動きがある。総務省や民間企業が取り組む物流の実証実験を年内に始める。これは今の郵便番号をもっと細かくして、建物の一室や棚にまで指定できる物流サービスだ。
Q 産官学で取り組む狙いは?
A 信用できるインフラという認識を広めたい。公共の場所では官に責任を持ってメンテナンスしてもらい、ビルの中では民が整備する。こうしたすみわけができればいいサービスになるはず。
Q 現状、どの程度の企業が使っているか?
A 国内だけでも実験と実用をあわせ数百社が採用している。内部管理用として使い例が多く、目立たないかもしれないが、最近はびっぴん管理などに使う例も増えてきた。
Q ユーコードの弱点は?
A ネットワーク環境のないところで使うのは苦しいが、いまやネットワーク環境は常識。現行の携帯電話ではスピード不足だが、それも今後、携帯電話でも常時接続ブロードバンド化などが進めば解決するので、長期的には問題ない。
Q 導入コストは?
A 管理費用は非常に安い。48ビット分でいえば10万円、256ビット空間では100万円程度。管理するUIDセンターは非営利組織(NPO)で、同じ番号を発行しないということだけ管理している。現状のセンターの管理費は数億円の下のほう。
Q コードの数は足りるのか?
A 1日の1兆個のものにユーコードをふると、1兆年続け、それを1兆回繰り返せる。世界中の企業が使っても足りる。