しかし、だからと言って残り7割の企画が無駄になるわけではない。「ハズレ企画」が存在しているからこそ、売れる企画が際立つのである。
例えば毎月ダイレクトメールを会員に送っている健康食品会社があったとする。毎回、新商品を掲載しているが、そのなかで毎月必ず商品を購入するお客様は1割いれば良いほうである。それよりも「毎月は買わないけれど、気に入った商品は購入する」という、「準有料顧客」の購入回数を増やす方が、より売上の伸びしろがあると考えた方がいいのである。
このようなお客様の購入機会を増やすためには、企画にメリハリをつけてあげることが重要である。参加する企画、参加しない企画という基をお客様の中で成立させることで、お客様に商品を定期的に購入してもらう習慣を身につけてもらうことができる。
もちろん、企画のヒット打率が3割であれば、7割の企画は手を抜いてもいいと言っているのではない。自然体で企画作りに取り組んでいたとしても、ある程度、ヒット企画とハズレ企画は生まれてしまうものである。
しかし、ハズレ企画になったことで、落ち込んだり、あせったりする必要はない。ハズレ企画はヒット企画を際立たせてくれるし、お客様に定期購入をさせる重要なテンポ作りになってくれるのである。
また、企画作りのヒット率は翌年へ持ち越すことができるのも特徴である。事例で言えば日本テレビの「24時間テレビ『愛は地球を救う』」のマラソン企画を思い出して欲しい。
あの企画も、たくさんの番組ない企画の中で生き残ったヒット企画の一つである。毎年、ランナーが変わったとしても高視聴率が保障されている恒例企画であり、番組スタッフ側もマラソン以外の企画作りに集中することができるので、残った他の企画に力を注ぐことができるのである。
7割の企画がはずれたとしても、翌年は残り7割の企画のなかから3割のヒット企画を生み出せばよい。ヒット企画を毎年3割ずつ積み重ねて恒例企画を作ることができれば、全体的にクオリティの高い企画を1年間通じて開催することができるのである。