先日、『作/演出 松尾スズキさんの<<ふくすけ>>』の初日に行ってきました

ズッシリおなかの頭のこころの奥に沈み込む<<ふくすけ>>にとりつかれて、
何も書くことができませんでした。
これを1991年に初演したということも<<ものすごい>>けど、
1998年の再演以降<<いま>>この時代に再演する、
というところもすごい。

東京公演/2012年8月1日(水) ~ 9月2日(日) Bunkamuraシアターコクーン
大阪公演/2012年9月6日(木) ~ 9月13日(木) シアターBRAVA!

上演時間/2時間45分(1幕・1時間25分/休憩15分/2幕・1時間05分)

出演/古田新太/阿部サダヲ/多部未華子/皆川猿時/小松和重/江本純子/宍戸美和公/
村杉蝉之介/平岩紙/少路勇介/オクイシュージ/松尾スズキ/大竹しのぶ
青山祥子/赤池忠訓/井内ミワク/井澤崇行/井上尚/井本洋平/延増静美/
菅井菜穂/鈴真紀史/竹口龍茶/中尾ちひろ/羽鳥名美子/町田水城/矢本悠馬



1991年悪人会議プロデュースとして初演された作品。
悪人会議とは、松尾スズキさんと、
<劇団「パラノイア百貨店」(今はない)>の岡本圭之輔さん
当時劇団「WAHAHA本舗」のメンバーだった村松利史さんにより結成されました。
パラノイア百貨店は、スプラッタ・ホラーの劇団で山崎一さんとかがいらしたところです。
ホラーが苦手な私は残念ながら経験していません。
前列で舞台を観ると、すごく大変で怖かったが楽しかったと聞いたことがあります。
怖くて・・・楽しい
怖いのに楽しい
・・・ない
1998年には日本総合悲劇協会公演として再演されます。
<日本総合悲劇協会(略称ニッソーヒ)>とは、
大人計画がプロデュースする演劇ユニットのことです。
大人計画以外の役者さんも出演しています。

<<奇形児、薬害、宗教ビジネス、テロ・・・>>
『悪』もまた人の姿である。
本性を剥きだしにして、捻じれた愛を追いかける。
やっている方も、ものすごい体力と精神力が必要な舞台だと思いますが、
それを<<受ける>>観る方にも、体力と精神力が必要です。

コンプレックスを抱える男エスダヒデイチ(古田新太さん)は吃音という設定。
劇団☆新感線の古田新太さんが、この作品では、
妻に翻弄される冴えない中年男性を演じていています。
行方不明になった妻マスを、14年も探し続けているという設定です。
精神のバランスを崩し失踪する妻エスダマス(大竹しのぶさん)。
裁判所の登場のシーン、ビックリしました。笑ったけど、怖かった。
薬害で奇形児として生まれたフクスケ(阿部サダヲさん)。
奇形児として生まれ、奇形人間しか愛せない異常な製薬会社の御曹司に、
青年になるまで監禁されていたという設定です。
古田さんの演じるエスダを、
その妻への純愛にほだされ、手助けするホテトル嬢役は、多部未華子さん。
現在連続ドラマも放映中(浪花少年探偵団)で、大忙しです。
6月半ばまでは『サロメ』に出演していたのに、いつ稽古?いつ撮影?

とある病院の怪しい警備員コオロギ(オクイシュージさん)は、
盲目の妻サカエ(平岩紙さん)に歪んだ愛情を抱いています。
テロリストであるコズマ三姉妹(小松和重さん/江本純子さん/宍戸美和公さん)は、
全く食べれない状態から、歌舞伎町の風俗産業で一発当て、飛ぶ鳥を落とす勢いです。
ひょんなことでマスと出会い、
生み出された<一度死んで生まれなおすゲーム>輪廻転生プレイが大ヒット。
ふくすけを監禁していた製薬会社社長ミスミミツヒコ(松尾スズキさん)は逃走中。
マスはエスダヒデイチとの間に、13年目にしてようやく出来た子供が死産。
この死産の原因は、ミスミ製薬の薬品事故でした。
しかもミスミ製薬の社長ミツヒコ。彼自身は奇形フェチだったのです。
表向きは死産だと偽らせ、実際にはその子供達を引き取って地下室で育てていたのです。
フクスケは、その奇形児達の一人でした。

登場人物たちは心身の何かが欠落しています。
歪んだ部分を持った人が、
持った人と関係し合うことによって、物語が暴走していくのです。
この作品がセンセーショナルで、どこか他人事だった時には、
もしかしたら、こんなふうに何日も抜け出すことができなくなるような重さを、
持たなくてもよかったかもしれません。
震災があり、原発の問題があり、
やさしさやあたたかさ、人とつながることの大切さを感じるいま、
それと同じくらいに、動機が理解できない異常な犯罪の報道に驚かされます。
「人間が描かれている」舞台。
「ほとばしる悪意」が動きまわる舞台。
その舞台と現実が近寄ってしまったからこそ、
ここで何を感じるのか、何を受けとるのか。
そんな意味のある舞台になっている気がします。

古田新太さん、阿部サダヲさん、多部未華子さん、皆川猿時さん、小松和重さん、
江本純子さん、宍戸美和公さん、平岩紙さん、大竹しのぶさん・・・
何もかもを、使って<<くる>>役者さんたちが、投げてきたもの。
松尾スズキさんという演出家が投げてきたものは、
ものすごく重い、剛速球で、
未だ私の心のおなかの底で、煙を出しくすぶっています。
まいりました





ズッシリおなかの頭のこころの奥に沈み込む<<ふくすけ>>にとりつかれて、
何も書くことができませんでした。
これを1991年に初演したということも<<ものすごい>>けど、
1998年の再演以降<<いま>>この時代に再演する、
というところもすごい。

東京公演/2012年8月1日(水) ~ 9月2日(日) Bunkamuraシアターコクーン
大阪公演/2012年9月6日(木) ~ 9月13日(木) シアターBRAVA!

上演時間/2時間45分(1幕・1時間25分/休憩15分/2幕・1時間05分)

出演/古田新太/阿部サダヲ/多部未華子/皆川猿時/小松和重/江本純子/宍戸美和公/
村杉蝉之介/平岩紙/少路勇介/オクイシュージ/松尾スズキ/大竹しのぶ
青山祥子/赤池忠訓/井内ミワク/井澤崇行/井上尚/井本洋平/延増静美/
菅井菜穂/鈴真紀史/竹口龍茶/中尾ちひろ/羽鳥名美子/町田水城/矢本悠馬



1991年悪人会議プロデュースとして初演された作品。
悪人会議とは、松尾スズキさんと、
<劇団「パラノイア百貨店」(今はない)>の岡本圭之輔さん
当時劇団「WAHAHA本舗」のメンバーだった村松利史さんにより結成されました。
パラノイア百貨店は、スプラッタ・ホラーの劇団で山崎一さんとかがいらしたところです。
ホラーが苦手な私は残念ながら経験していません。
前列で舞台を観ると、すごく大変で怖かったが楽しかったと聞いたことがあります。
怖くて・・・楽しい

怖いのに楽しい

・・・ない

1998年には日本総合悲劇協会公演として再演されます。
<日本総合悲劇協会(略称ニッソーヒ)>とは、
大人計画がプロデュースする演劇ユニットのことです。
大人計画以外の役者さんも出演しています。

<<奇形児、薬害、宗教ビジネス、テロ・・・>>
『悪』もまた人の姿である。
本性を剥きだしにして、捻じれた愛を追いかける。

それを<<受ける>>観る方にも、体力と精神力が必要です。

コンプレックスを抱える男エスダヒデイチ(古田新太さん)は吃音という設定。
劇団☆新感線の古田新太さんが、この作品では、
妻に翻弄される冴えない中年男性を演じていています。
行方不明になった妻マスを、14年も探し続けているという設定です。
精神のバランスを崩し失踪する妻エスダマス(大竹しのぶさん)。
裁判所の登場のシーン、ビックリしました。笑ったけど、怖かった。
薬害で奇形児として生まれたフクスケ(阿部サダヲさん)。
奇形児として生まれ、奇形人間しか愛せない異常な製薬会社の御曹司に、
青年になるまで監禁されていたという設定です。
古田さんの演じるエスダを、
その妻への純愛にほだされ、手助けするホテトル嬢役は、多部未華子さん。
現在連続ドラマも放映中(浪花少年探偵団)で、大忙しです。
6月半ばまでは『サロメ』に出演していたのに、いつ稽古?いつ撮影?

とある病院の怪しい警備員コオロギ(オクイシュージさん)は、
盲目の妻サカエ(平岩紙さん)に歪んだ愛情を抱いています。
テロリストであるコズマ三姉妹(小松和重さん/江本純子さん/宍戸美和公さん)は、
全く食べれない状態から、歌舞伎町の風俗産業で一発当て、飛ぶ鳥を落とす勢いです。
ひょんなことでマスと出会い、
生み出された<一度死んで生まれなおすゲーム>輪廻転生プレイが大ヒット。
ふくすけを監禁していた製薬会社社長ミスミミツヒコ(松尾スズキさん)は逃走中。
マスはエスダヒデイチとの間に、13年目にしてようやく出来た子供が死産。
この死産の原因は、ミスミ製薬の薬品事故でした。
しかもミスミ製薬の社長ミツヒコ。彼自身は奇形フェチだったのです。
表向きは死産だと偽らせ、実際にはその子供達を引き取って地下室で育てていたのです。
フクスケは、その奇形児達の一人でした。

登場人物たちは心身の何かが欠落しています。
歪んだ部分を持った人が、
持った人と関係し合うことによって、物語が暴走していくのです。

もしかしたら、こんなふうに何日も抜け出すことができなくなるような重さを、
持たなくてもよかったかもしれません。
震災があり、原発の問題があり、
やさしさやあたたかさ、人とつながることの大切さを感じるいま、
それと同じくらいに、動機が理解できない異常な犯罪の報道に驚かされます。
「人間が描かれている」舞台。
「ほとばしる悪意」が動きまわる舞台。
その舞台と現実が近寄ってしまったからこそ、
ここで何を感じるのか、何を受けとるのか。
そんな意味のある舞台になっている気がします。

古田新太さん、阿部サダヲさん、多部未華子さん、皆川猿時さん、小松和重さん、
江本純子さん、宍戸美和公さん、平岩紙さん、大竹しのぶさん・・・

松尾スズキさんという演出家が投げてきたものは、
ものすごく重い、剛速球で、
未だ私の心のおなかの底で、煙を出しくすぶっています。
まいりました




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