安倍氏が率いる自民党が政権について,憲法改正が現実味を帯びてきた。
今度の改正憲法草案はプライバシー権の保障についても言及しているという触れ込みだ。
該当する条文は19条の2。わざわざ新しい規定を設けた。それがこれだ。
何人も,個人に関する情報を不当に取得し,保有し,または利用してはならない。(自由民主党H24憲法改正草案19条の2)
法律を学問として学んだことのある人なら違和感を抱くに違いない。これは,私人間のルールを定めるものであって,実質的な意味における憲法ではないからだ。
「何人も・・・してはならない」というのは国民に対する禁止,命令だ。上から目線。大事なのは国家権力によってプライバシーを侵害されないということだろう。
それこそが憲法に記載すべき内容だ。こんな内容ではプライバシー権の保障を強化したことにはならない。
気になって以前の憲法改正案を調べた。すると,なんと同じ19条の2に次の条文があるではないか。
何人も,自己に関する情報を不当に取得され,保有され,または利用されない。(自由民主党H17新憲法草案19条の2)
これは憲法だ。国家が濫りに国民の情報を取得しないことを宣言しているからだ。これならばプライバシー権の保障に資する。
この文言の変更,意味が解ってやっているのか?そうだとしたら悪質すぎるが,おそらく意味が解っていないのだと思う。改正憲法草案は,保守化というよりも,劣化した草案というべきだ。総裁の座から引きずり降ろされた谷垣さんは,このまずい草案について,きちんと文書チェックをしてあげなかったのではないかと秘かに疑っている。
弁護士 櫻井 光政
今度の改正憲法草案はプライバシー権の保障についても言及しているという触れ込みだ。
該当する条文は19条の2。わざわざ新しい規定を設けた。それがこれだ。
何人も,個人に関する情報を不当に取得し,保有し,または利用してはならない。(自由民主党H24憲法改正草案19条の2)
法律を学問として学んだことのある人なら違和感を抱くに違いない。これは,私人間のルールを定めるものであって,実質的な意味における憲法ではないからだ。
「何人も・・・してはならない」というのは国民に対する禁止,命令だ。上から目線。大事なのは国家権力によってプライバシーを侵害されないということだろう。
それこそが憲法に記載すべき内容だ。こんな内容ではプライバシー権の保障を強化したことにはならない。
気になって以前の憲法改正案を調べた。すると,なんと同じ19条の2に次の条文があるではないか。
何人も,自己に関する情報を不当に取得され,保有され,または利用されない。(自由民主党H17新憲法草案19条の2)
これは憲法だ。国家が濫りに国民の情報を取得しないことを宣言しているからだ。これならばプライバシー権の保障に資する。
この文言の変更,意味が解ってやっているのか?そうだとしたら悪質すぎるが,おそらく意味が解っていないのだと思う。改正憲法草案は,保守化というよりも,劣化した草案というべきだ。総裁の座から引きずり降ろされた谷垣さんは,このまずい草案について,きちんと文書チェックをしてあげなかったのではないかと秘かに疑っている。
弁護士 櫻井 光政