発作を予防する方法
ぜん息患者の肺を刺激し,発作を引き起こし得る事柄は数多くあります。以下のものに接することがないようにしましょう。
たばこの煙: たばこを吸ってはなりませんし,たばこの煙が充満した部屋を避けてください。ぜん息患者が喫煙をやめようとしないなら,医師はすぐに同情心を失うでしょう。
友人にぜん息を患っている人がいるなら,その人のいる所ではたばこを吸うべきではありません。すぐに発作を起こすとは限りませんが,数時間以内には煙の影響で非常に苦しくなるかもしれません。
ほこり: ほこりっぽい,閉めきった場所やほこりを巻き上げるような活動を避けてください。仕事がら多量のほこりにさらされるようであれば,職業を変えることを真剣に考えてください。
ぜん息の症状が夜にだけ,あるいは寝室の中でだけ出ることに気づいた患者もいます。これは家の中のほこりや,微小なチリダニ類が原因なのでしょうか。そのようなケースは珍しくありません。
ですから,ぜん息患者の寝室はできるだけほこりがないようにしなければなりません。掃除に関する以下の提案は,ぜん息患者のために特に考えられたものです。
寝室は毎日掃除する。
マットレス,ベッドの台,毛布,床は毎週十分に掃除し,掃除機をかける。敷物やじゅうたんよりも硬材の床が望ましく,カーテンよりはブラインドのほうがよい。
家具,ドアのてっぺん,窓枠,窓台を湿らせた雑巾か油布で拭く。
部屋は完全に換気する。換気した後はドアや窓を閉めておく。少なくとも,患者が床につく3ないし4時間前には閉める。
アレルギーを引き起こす物質でできたマットレス,毛布,枕を使わない。またできるだけ定期的に日干しにする。
もう一つあります。寝室にペットを入れないでください。あなたがペットに対してアレルギー反応を起こしているという証拠が少しでもあるなら,ほかの飼い主を見つけてください。あるいは,少なくともペットを家の中に入れないようにしてください。
気温と湿度: 気温の突然の変化や,極端な暑さや寒さは発作を引き起こすことがあります。理想的なのは,わずかに暖かく湿った空気です。ですから,ぜん息で苦しんでおられるなら,霧のかかった,冷え込む寒い日には,できるだけ出歩かないようにしてください。
セントラル・ヒーティングで空気を熱したり乾燥させたりすることは避けてください。気温の変化によって夜間に発作を起こすようであれば,冬期にはサーモスタットの付いた暖房機を室内で使ってみてください。
湿度によって症状が出るのなら,加湿機や除湿機を使ってみるとよいでしょう。
感情的なストレスと疲労: このどちらもぜん息の発作の原因になることがあります。確かに,感情的なストレスをいつでも抑えることができるわけではありません。
しかし,この点で聖書の原則が役立つことに気づいたぜん息患者は少なくありません。
聖書は,「体の命は,平穏な心である」と述べています。
(箴言 14:30)
さらに,賢いぜん息患者は,自分の身体的な限界を忘れないようにし,疲労を避けます。疲労も発作の原因になり得るからです。
食物: 食物に対するアレルギーもぜん息の発作の原因になることがあります。子供や,子供の時からぜん息が始まった大人の場合は特にそうです。
牛乳,卵,シリアルといった普通の食べ物でも原因になることがあります。しかし,砂糖のようにどこにでも使われている物質の場合には特にそうですが,原因を見定めるには非常に多くの調査をしなければならないでしょう。
もちろん,二つ以上の食品が関係していることもあり得ます。大人の患者であれば,アルコール飲料,特にビールとワインが症状を悪化させる要因になり得ることについて考えるのは賢明なことでしょう。
運動: 運動のしすぎでぜん息の発作が起きることもあり,たいていは運動が終わってから起こります。このような経験をしたことがあれば,エネルギーを一挙に使うスカッシュテニスのような運動を避け,
水泳やサイクリングといった,もっと穏やかな運動をしてみてください。激しい活動の前に気管支拡張剤(気管支内の狭窄を緩和する薬)を飲んでおくことも役立つかもしれません。
物理療法士は,許容できる運動量を増やすための計画を作って,あなたの力になれるかもしれません。これによって,息を切らすことなく,もっと多くの活動に参加できるようになるでしょう。
感染: 多くの場合,風邪やインフルエンザのような,呼吸器の軽い伝染性の疾患も,ぜん息の発作を起こしたり,症状を悪化させたりします。病原菌に感染していると,いつもぜん息の治療薬として使っている薬も効かないことがあります。
花粉に対処する: 呼吸器系の疾患を持つ人には,冬期に多くの問題が生じますが,いわゆる季節的なぜん息にかかる人々も少なくありません。
顕微鏡でしか見えない,非常に小さな花粉の微片が夏の空気に漂って,ぜん息患者にひどい苦しみと不快感をもたらすことがあります。この花粉の源を根絶することはできませんが,幾つかの常識的な方法は役立つかもしれません。
例えば,刈り込んだばかりの草を避け,花粉の季節には,原野や田舎の地方も避けます。もし可能であれば,効率的な空調設備を使います。
カビに対処する: わたしたちの周囲には何千種というカビ,もしくは真菌類が住んでいます。カビや真菌類の胞子(繁殖体)は,動植物の上で育ちます。小麦,オート麦,トウモロコシ,草や葉にも大量の胞子が付いています。
ぜん息患者にとって問題になることが分かった胞子はわずかしかありませんが,ニュージーランドで行なわれた調査は,胞子がアレルギーの主要な要因である可能性を示唆していました。
それで,空気で運ばれる胞子を根絶することはできないにしても,以下の方法は役に立つかもしれません。
湿っぽい,カビの生えた地下室や建物を避ける。
葉や乾いた草をかき集めたり,焼いたりしない。
カビの生えた物品はすべて殺菌するか,処分する。
部屋の中に植物を置いたり,庭に堆肥の山を積み上げたりしない。
家の中のカビが発生している箇所を消毒する。
あなたのお子さんはぜん息ですか へ続く>>>