建築設計について

建物を建設するときに何が大事かということを考えてみました。

ジャズと空間のコラボレーション

2012年07月07日 | コンセプト

 

  

長野県北安曇郡松川村に建設したジャズ喫茶です。
オーナーが若いころから趣味で収集したジャズレコードを聞く施設として趣味と実益を兼ねて建設したものです。

ジャズ喫茶ということで音楽を聴く為の部屋と喫茶店というコミュニケーションの場としての部屋を結び付けて、より良い空間として存在させるための音楽とコミュニケーションの結び付き、喫茶店として機能させるための社会との結びつきを良くするための装置を結界空間として作り出そうと試みた建物です。

音楽を聴くための装置では外部からの雑音と建物内部の雑音に注意することが重要です。特にスピーカーから出る重低音の振動が建物の各部に伝わった時にその振動が雑音になってしまいます。
この建物では特に重低音が建物各所に伝播させないようにする為、スピーカーを置くステージ部分の基礎を他の基礎とは完全に分離して振動が伝わらないようにし、壁はステージ以外の壁を平面曲線として、天井は垂木および野地板表しの直仕上げとして無駄な反響をさせないように空間を作り出しており、壁は吸音材を埋め込み、有孔ボード下地の上にクロスを張って仕上げています。 

地域の中でジャズ喫茶として位置つけることはなかなか難しい問題で、ジャズ喫茶を外観でイメージつけるような形態をとれば、返って違和感が出てしまうと思い、一見和風住宅風な雰囲気を醸し出す形とすることで、地域に溶け込ませ、玄関周りに日本人が好む結界空間を作って、地域との人々に好まれる空間にしたことで、誘客装置として十分に機能しています。

音に気を使った空間構成ができたことで、外観からは想像の出来ない豊な空間の広がりがうまれ、ジャズ音楽とのコラボレーションができ、そこに身を置く人々を豊潤な世界に導くことができたと思います。また、人々はジャズ音楽を聴くことを目的として訪れるばかりではなく、その豊な空間の中でジャズ音楽をバックグラウンドとして、マスターのおいしいコーヒーを飲みながらのコミュニケーションの場として地域の憩いの場として利用しています。

地域と空間とジャズ音楽が見事にコラボレーションして地域に密着して安定した経営の店舗として成功しています。


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