建築設計について

建物を建設するときに何が大事かということを考えてみました。

住まい作りの原点 その2

2012年07月11日 | コンセプト

「住まいを作る」ことは必ずしも「住宅建設」と同義語ではありません。

「住まい」とは何かと考えた時、それは物理的な建物を指すのではなく、そこに生活する家族の結びつきや家族愛があり、そこにいる家族の精神的支えとなって安心感を与え、子供たちを大きく成長させる空間であると思います。

今、いじめの問題でTVや新聞報道がされていますが、いじめをする子もいじめをされる子も家庭環境が必ずしも愛情の満ちた状況でないことがあります。私の長男も一時期いじめられたことがありましたが、親が子供の発する注意信号を早めにキャッチすれば、自殺をするまで追い込まれることはないと思います。いじめる子にしても普段から親の愛情がしっかり注がれている子はいじめをするような状況にはならず、むしろ、庇うことができる正義感の強いやさしい性格の子に育っていくと思います。親が生活に汲々として余裕のない生活の中ではなかなか中学生の子供のことまで気をかけてやることはできませんが、せめて憩いの空間を作ることで子供に接する時間を取るようにすれば、それぞれの気持ちが通じ合って、人の気持ちが分かる子になると思います。

このような環境を作りをするには家をつくるような家族の大事業を行うときがちょうどよい切っ掛けになります。
家を作るときには子供部屋や居間、台所、老人室、水回り等の生活のすべてを家族が寄り集まって一生懸命に考えるようになるからです。普段何も言わない子供たちが自分の部屋をどのようしたいかを親にお願いすることで親や兄弟とのコミュニケーションをとり、親は子供たちの成長の過程を考え、どのように育てていくかを考えて、経済的な安定も考慮して使い勝手の良い家の平面計画を考えて作るろうとします。 このような家族全員の考え方を建物に反映させることで家族の意思疎通が図られて建設される建物には愛着が生まれ、家族の居所として位置つけられ、子供が成長してその家を出た後も、心のよりどころとしての自宅となるような空間が「住まい」といえる住宅かと思います。

私はそんな「住まい」を作るためのお手伝いができることを喜びとしております。