忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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Netflix「THE DAYS」それでもこの国で老いていきたい

2023年06月14日 | 作品紹介(映画・ドラマ)


▼Netflix「THE DAYS」それでもこの国で老いていきたい



配信中■邦ドラ:Netflixオリジナル|THE DAYS

2011年3月11日に三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生。
ほどなくしてやってきた大津波は、東日本一帯に甚大な被害をもたらし
4基の原子炉が同時に暴走するという危機的状況を生み出した。
1話1時間弱、全8話をかけて、当時テレビに映らないところで福島で何が起こっていたのか、
綿密な取材を通して描き出すNetflixオリジナルドラマが「THE DAYS」である。
出演は役所広司、⽵野内豊、⼩⽇向⽂世、⼩林薫、光⽯研、遠藤憲⼀、⽯⽥ゆり⼦など。
企画・プロデュースは「劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」の増本淳。
監督も同じ「劇場版 コード・ブルー」の西浦正記と「事故物件 恐い間取り」の中田秀夫。



配信開始初日(6月1日)から見始めたはずなのに、
私には1日1話が限界で、休み休み最終回まで辿り着いたのは6月13日だった。
押し流される家屋や煙の上がる原発の様子を延々と映し続けるテレビは
CMに入ってもポポポポーンばかりが流れ、余震を知らせるニュース速報が頻繁に入っていた。
12年前のあの日々の記憶を呼び覚ますには充分過ぎるほどのリアリティは
まだ受け入れることが難しい方も一定数いらっしゃると思う。
よってこの記事も、ここまで読んで不安を感じた方は読み進めることをお勧めしない。





「THE DAYS」は日本のみならず世界各国の視聴ランキングでトップ10に入る好調ぶり。
それだけあの事故が世界に与えたインパクトが大きかったということなのだろう。
日本国内ですら未だ多くの誤解や風評がまかり通っているのだから
海外の視聴者にとってはディザスターとドキュメンタリーの中間ぐらいの気持ちで見ているのかもしれない。
実際にこのドラマは同監督による「コードブルー」のようなドラマティックさは抑えられており
NHKの「NHKスペシャル 未解決事件」に近い、史実に基づいて制作された質の高い再現ドラマになっている。
SNSやレビューサイトで「中だるみが酷い」との指摘が見受けられるのも
本作がエンターテイメント性よりもリアリティを重視している
わかりやすいヒーローもヒールも登場しない、凡百のディザスターものにしてはならないとの気概を感じる
静かな演出が、事故の恐ろしさと対応に追われた職員達の焦りを増幅させている。



唯一わかりやすいヒールとして描かれているのが、当時の総理大臣であった菅直人を演じた小日向文世。
映画「Fukushima 50」に登場した佐野史郎と同じく、当時つけられた仇名「イラ菅」を地でいく短気さと
権力の乱用ぶりには苦笑してしまうが、菅氏は「Fukushima 50」の試写会にもやってきて
「当時の私によく似ている」と素直に認めている。
「最大で5,000万人が住居を失い、北関東全域が居住不可地域になるかもしれない」などという
小松左京原作のSF映画「日本沈没」のような状況にいきなり放り込まれてなお、
冷静な判断力を維持し、的確に采配を振るうことのできた政治家が誰かいたろうかと考えた時に
誰であっても無理だったのではないかと私は思う。

同じ311を描いた「Fukushima 50」との大きな違いは
「Fukushima 50」は現場で最悪の状況を回避するために奮闘した職員達を讃える、
911を題材にした作品で言うところの「ワールド・トレード・センター」的な作品なのに対し
「THE DAYS」は原発事故の起きた日本全体を、福島を中心にして描いていること。
目の前で起こっていることへの対処で精一杯のチーム、現場の職員を労いつつ、
本社や官邸との連絡も穏便に済ませようと知恵を絞る所長、無理難題をふっかける東電本社の人間、
政治家の顔色ばかり窺う学者、粛々と任務を全うする自衛隊員、安全圏から無責任な噂話を拡散するネット民、
ひとつの事故を通して「あの頃の日本」が全部入っているように私には思えた。

配信前に「チェルノブイリに似ている」と書いたのだが
やはり本編の中には「チェルノブイリ」から演出法を拝借したであろうシーンがいくつかあった。
ただ、一から十までではないし、「あのドラマが先にある以上、あれ以下のものは作れない」という
製作陣の意思表示だと好意的に解釈したい。

2021年、2022年にも福島では震度6強の地震が発生したが
気象庁はこれらも「311の余震と考えられる」と発表している。
九州、北海道、北陸、ここ関西でも震度6クラスの地震は起きていて
向こう30年以内の南海トラフ発生確率がさらに上がったとの発表もあった。
それでも私はこうして日本に住んでいるし、海外移住の計画も(今のところは)ない。
老後も日本で送りたいと願っている。
いざとなった時は年甲斐もなく慌てふためく未来しか見えないが
せめて有事の備えだけは忘れず、大切に毎日を生きていこう。
そう思いを新たにしてくれただけでも、このドラマを見て良かった。

Netflix「THE DAYS」は現在配信中。

Netflix
<Netflix>







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「ゲーム・オブ・スローンズ」のHBOが製作した社会派のエンターテイメントドラマ。
人類史上最悪の原発事故と言われるチェルノブイリ原発事故の裏側について
事故発生当時の様子と、その裏で国がどんな動きをしていたのかを描く。
監督は「ブレイキング・バッド」「ウォーキング・デッド」のヨハン・レンク。
「Fukushima50」のように、事態収拾に奔走したスタッフにフォーカスした
ヒューマンドラマではなく、国家ぐるみの隠蔽にまで躊躇なくメスを入れた脚本は圧巻の一言。
今なお立ち入り禁止区域となっているチェルノブイリ原子力発電所と
周辺地域の映像は思わずロケーションかと錯覚するが、もちろんそうではない。
リチャード・ハリスの息子であるジャレッド・ハリス、
ステラン・スカルスガルド、エミリー・ワトソンと出演者も豪華。
ドラマの最高栄誉を決めるエミー賞で作品賞を含む10部門を制覇したのも頷ける。

衝撃的なシーンがいくつも出てくるので、相応の覚悟のある方には強烈にお勧めだが
被爆した職員との面会シーンなどは覚悟があってもキツかった。
耐えきれるか不安の残る方は素直に避けた方が良い。
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