§58 ホテルのプール

ある９月の初旬の日曜日のことでございます。
私はいつもの様にＫＬのフェデラルホテルに宿泊しておりました。
昨日の土曜日から３年ぶりにＫＬに海外出張でございます。

仕事は月曜日の朝から会議が予定されておりましたので、日曜日にＫＬへ入れば問題ないのですが、日曜日の便が取れないということで土曜日に来たのでございます。

「あの～、こちら海外事業部の○○ですが、どうしても日曜日の便が取れなくて、土曜日の便でもよろしいでしょうか？」と連絡が入ったのでございます。

私は「エェ～ッ？何～？土曜日しか取れない～？参ったな・・。」
と言いながら、本心はヤッタゼ、ベイビー！と思っておりました。（笑）

土曜日の夜は独りで大人しく日本料理屋で食事を摂り、珍しく早めに寝たのでございます。ｗ
日曜日は朝の７時に目が覚めてしまいました。
バスとシャワーを使い、８時ごろいつものコーヒーショップへと下りて行ったのでございます。
昨晩はビールを２杯しか飲まなかったので、頭も胃袋も絶好調でございます。ｗ
アメリカンのブレックファーストをオーダーして、ゆっくりと時間をかけ食事を楽しんだのでございます。
コーヒーをすすり、タバコをくゆらせ、新聞を眺めまして、実に気分の良い朝でございます。
外も素晴らしい天気でございます。

ホテルの中庭に小さな屋外プールがございます。今日は何も予定が無いので、時間つぶしに泳いだり、読書しながら日光浴をしようと考えて   おりました。

このホテルには述べ５０日以上宿泊しておりますが、まだ一度もこのプールで泳いだことがないのでございます。
泳ぐ時間があった時は天気が悪かったり、飲み過ぎで体調が悪かったり、ゲンティンへ行ったりで、毎回水着を持参してくるのですが水着を使うのも今回が初めてなのでございます。ｗ

部屋に戻り、水着に着替えてＴシャツと半ズボンを穿いてプールサイドに下りて行きました。
プールは９時からオープンと看板が出ておりましたが、係員が清掃も終わろうとしておりましたので、私は最も良い場所のデッキチェアーに陣取ったのでございます。
ホテルに宿泊していますと、大きなタオルを無料で貸してくれます。
私はタオル２枚とエアーマットを借りてデッキチェアーに敷き、ハダカになってＫＬの太陽を体イッパイに浴びたのでございます。

プールは水が濁っていて細かいアブクが沢山浮いておりました。
プールの循環濾過装置を運転開始したばかりのようで、暫くはプールに入れません。
本来、プールの循環濾過装置は、２４時間運転するべきで、プールの使用時間中だけ運転しようとするからプールの水が汚れているのでございます。
私は設備のエンジニアでございますから、即、そのカラクリを見破っちゃったのでございます。（笑）

１０時を過ぎた頃、西洋人のグループが４、５人やって来ました。
私はデッキチェアーで寝そべりながら、椎名誠の本を読もうと思っておりましたので、邪魔されたくありません。
プールサイドの一番良い場所を私はガッツリとキープしておりましたが、怪しい真っ黒なアジア人には近寄って来ませんでした。ｗ
私は何か英語で話しかけられるとホントは困るんです。
英語が出来ないのがバレルので・・。（笑）

その日は朝から“スッコ～～ン”と晴れ上がっておりました。
ビルの谷間にある中庭のプールサイドから空を見上げますと、
真っ青な空に時折白い雲が太陽を横切るだけで、時間が完全に止まってしまったような、又は、自分の体が青空に溶け込んでしまいそうな、はた又、青空が地上に迫り落ちて来るような錯覚に陥ってしまうのでございます。
う～～む、実に文学的な表現であるな・・。（笑）

その年の夏は、“時間アルアル金ナイナイ状態”でございまして、千葉県の稲毛海岸へ日帰り海水浴に２回行ったのでございますが・・。
千葉県辺りの海水浴場は、「ウッソ～、この海超キタナイシ～、ヤダヤダ～、私ワカンナ～イ！」的なアホバカミーハーＯＬや、コギャル軍団のたまり場と化し、我々中年ビーチボーイズの居場所が無いのでございます。（笑）

そこへ行くとＫＬのホテルのプールは、戦う大人の憩いの場であり、
「チバとはちょっくら違うもんネ！ワシら本気でやっとるけんネ！」的な
本家本元本格元祖家元正大師の太陽と空なのでございます。ｗ
赤道直下の太陽と空のイメージが少しは伝わったでしょうか？ｗ

２時間ほどサンタンニングを行いまして、シャワーでサンオイルを落とし、やっとプールもキレイになったところで、泳ぐことにいたしました。
外国のホテルのプールって、どこもスッゴク深いのでございます。
浅い所で１．５ｍ、深い所は３．０ｍもあるのでございます。
ハワイのホテルのプールもそうでした・・。ｗ

日本のプールは溺れないように安全対策として浅くし、外国のプールは溺れるのは自己責任だからいいけど、飛び込んだ時にプールの底に頭をぶっつけないように安全対策として深くしているのでございます。
これは私が勝手に思っただけですから、信用しないように・・。ｗ

１０分連続して泳いで１０分休憩する　を５回ほど繰り返し、久し振りのスイミングも十分堪能したのでございます。
やっと１時を回った頃、だんだんと腹がすいてまいりました。
それよりも喉が渇いて仕方ありません。

プールサイドにはマレー人のオバサンが待機しておりまして、
客の注文を受けるとレストランから飲物を運んでくれるのでございます。
そこで早速英語の練習のつもりでオーダーいたしました。

「Can I order OK?」
「Yes. Beer？」
「No coke please.　Ah～,Big-one please.」
「OK-la！」

てなことになりまして、私はコーラの大きいサイズを注文したつもりでございます。
私はフムフム、中々いいんじゃない？と独りほくそ笑んでおりますと、
オバサンはちゃんと大きいボトルのコーラと怪しい氷の入ったグラスを持って来たのでございます。
向かい側の西洋人達がオーダーしたのは缶コーラで350mlサイズでございましたから、私はもっと大きい500mlをオーダーしたかったのでございます。
確かに500mlサイズのボトルと同じ大きさのようですが、よく見ると
ヤケにボトルが細いのでございます。
日本では見たこと無いボトルだったので、容量表示を確認しますと、ナント250mlでございました。

私が余計なことをしなければ、レギュラーサイズの350mlの　　　　缶コーラを持って来た筈でございます。
「Ｂｉｇ　ｏｎｅ！」と言って、手を立てに長いジェスチャーをしたのが、オバサンを勘違いさせてしまったようでございます。ｗ

午後３時頃、太陽はまだギラギラと強烈に照らしておりましたが、
どうにも腹が減って来たので部屋に戻ったのでございます。ｗ

その日も大人しく、ＬＯＴＯ１０の地下のフードコートへ独りで行って、
寂しく日本食を食べに出掛けたのでございます。

　嗚呼・・、やっぱりゲンティンに行けばよかったなぁ・・。ｗ

※ゲンティンハイランド=ホテルにカジノがある。
この話はいずれ又・・。ｗ