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断崖に咲く向日葵のように

壁の主張と囁き

通りを行き交う人たちを眺めている
何処に行くの?
行くあてはあるの?
誰が待っているの?
そこには何があるの?
カラフルでにぎやかな壁から囁くように声が聞こえてくる
だけど誰も壁の囁きに気付かず足早に通り過ぎていく
壁など誰も見向きもせずに壁に沿ってどこかへと流れていく


気の毒だが
どんなにカラフルにして主張しても
壁は壁としか認識されていない
囁なら街の雑踏に掻き消されてしまっている
いや……………
もしかしたら
壁がそこにあることさへ誰も気付かず通り過ぎているのかもしれない


一瞬 人通りが途切れた
時が止まったかのようなそのとき 
壁は小刻みに震え それはまるで泣いているかのよう見えた
壁のカラフルな色が少し滲んで見えた
その壁の姿はまるで僕自身のようだった
いや…………
その壁は僕だった
その壁が僕自身だった
そしてすぐに多くの人が再び行き交いはじめた
その壁に気づくことなく
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