「イノさんのご質問にお答えします」
たしかにオイルサンドの生産はブームに沸いています。 人手がいくらあっても足りない状況で、カナダのみならず海外からも助っ人を集めなければなりません。 アルバータの賃金は鰻上りで、そのインフラを支えるサービス産業、たとえば手っ取り早く言えば、レストランのウェイターも深刻な求人難。 オーナーシェフ達も頭をかかえています。 慢性的に失業過多で知られるニューファンドランドの人達も、「アルバータには行きたくないのだが、背に腹は代えられない」と、家族をニューファンドランドに残したまま、集団でアルバータのオイルサンド地域にやってきて、アパートで共同生活をしています。 ニューファンドランドとは余りにも違う環境で、望郷の念に駆られながら、経済的にはともかく、感情的には複雑な気持で、日々を送っています。
スティーブン・ハーパーの選挙区は、エネルギー産業の中心地カルガリーですが、 ご存知の通りカナダのテキサスと呼ばれる土地柄。 人心もカナダ的というよりアメリカ的。 ハーパー自身は、オンタリオで高校まで過ごしたのですが、アルバータに移住。 そして保守党の党首に選ばれた時点では無議席だったのですが、既にカルガリーの選挙区で選挙運動を進めていた候補者を押し除け、自分が居坐りました。
ハーパーにとっては、選挙区のエネルギー産業の振興こそ、政治家としての使命。 「京都」には勿論反対。 自分の関係する特定産業の利益は、人類の運命よりも、地球の未来よりも優先するわけです。
そして政権に就くと、同じく石油産業のもう一つの中心地エドモントン選出のローナ・アンブローズを環境相に抜擢しました。 この人の経歴は政府の広報をみてもはっきりしませんが、党派心の強い女性のようで、環境問題の是々非々よりは、自由党憎しの思いが強く、「京都」をことごとく非難します。 なるほどハーパーが気に入ったはずです。 しかし代替案は就任後半年経っても明らかにしません。
アメリカのアル・ゴアが20年来説く、「地球温暖化を防ごう」というクルーセードはようやく北米の人達の間にも浸透してきたようで、映画「An Inconvenient Truth」をみると考えさせられます。 ブッシュやアルバータの州首相ラルフ・クラインが「まやかし者のインチキ科学」と弾劾する方が、よほどまやかしであり、人類に対する敵対行為であるように感じます。
アルバータ州民は、たしかに石油の利益の一部還元を受けています。 しかしこのキャッシュボーナスも、限りある天然資源によるものだけに、将来それが枯渇する日もあるでしょう。 心ある政・財・学界の指導者達が、それに備えて次の戦略を考えてくれていることだろうと期待します。
(06/08/03)
たしかにオイルサンドの生産はブームに沸いています。 人手がいくらあっても足りない状況で、カナダのみならず海外からも助っ人を集めなければなりません。 アルバータの賃金は鰻上りで、そのインフラを支えるサービス産業、たとえば手っ取り早く言えば、レストランのウェイターも深刻な求人難。 オーナーシェフ達も頭をかかえています。 慢性的に失業過多で知られるニューファンドランドの人達も、「アルバータには行きたくないのだが、背に腹は代えられない」と、家族をニューファンドランドに残したまま、集団でアルバータのオイルサンド地域にやってきて、アパートで共同生活をしています。 ニューファンドランドとは余りにも違う環境で、望郷の念に駆られながら、経済的にはともかく、感情的には複雑な気持で、日々を送っています。
スティーブン・ハーパーの選挙区は、エネルギー産業の中心地カルガリーですが、 ご存知の通りカナダのテキサスと呼ばれる土地柄。 人心もカナダ的というよりアメリカ的。 ハーパー自身は、オンタリオで高校まで過ごしたのですが、アルバータに移住。 そして保守党の党首に選ばれた時点では無議席だったのですが、既にカルガリーの選挙区で選挙運動を進めていた候補者を押し除け、自分が居坐りました。
ハーパーにとっては、選挙区のエネルギー産業の振興こそ、政治家としての使命。 「京都」には勿論反対。 自分の関係する特定産業の利益は、人類の運命よりも、地球の未来よりも優先するわけです。
そして政権に就くと、同じく石油産業のもう一つの中心地エドモントン選出のローナ・アンブローズを環境相に抜擢しました。 この人の経歴は政府の広報をみてもはっきりしませんが、党派心の強い女性のようで、環境問題の是々非々よりは、自由党憎しの思いが強く、「京都」をことごとく非難します。 なるほどハーパーが気に入ったはずです。 しかし代替案は就任後半年経っても明らかにしません。
アメリカのアル・ゴアが20年来説く、「地球温暖化を防ごう」というクルーセードはようやく北米の人達の間にも浸透してきたようで、映画「An Inconvenient Truth」をみると考えさせられます。 ブッシュやアルバータの州首相ラルフ・クラインが「まやかし者のインチキ科学」と弾劾する方が、よほどまやかしであり、人類に対する敵対行為であるように感じます。
アルバータ州民は、たしかに石油の利益の一部還元を受けています。 しかしこのキャッシュボーナスも、限りある天然資源によるものだけに、将来それが枯渇する日もあるでしょう。 心ある政・財・学界の指導者達が、それに備えて次の戦略を考えてくれていることだろうと期待します。
(06/08/03)