イノさんへ
カナダの総督というのは何かというご質問をいただきましたが、カナダも立憲君主制の国。 ですから君主がいてもおかしくないのですが、カナダ独自の皇帝の代わりに、コモンウェルス(英連邦)の首長であるエリザベス女王が元首として、カナダの国王として君臨していることはご承知の通りです。
1950年代までは、代々イギリスの貴族がカナダの総督として任命されていたのですが、それ以降、英語系カナダ人と仏語系カナダ人の双方が順繰りに任命されるようになりました。
エリザベス女王はロンドンのバッキンガム宮殿に住んでいますから、カナダ議会の開会式に毎度臨むわけにはいきません。 ですから、その代理である総督が議場の玉座に坐って、政府の書いたスローンスピーチ(施政方針)を読むのですが、これも大事な役割。 「私の政府」と「私の」という言葉を強調して読み上げます。 それも、一節ごとに、英語とフランス語で交互に読み上げるわけですが、今度のジョン総督は、母国語はハイチのクレオール語でも、語学の達人ですから、スラスラと朗読していくことでしょう。
では誰が総督を決めるのかというと、時の総理大臣です。 マーティン首相としては、まだ年若い48歳の異邦人をピックアップしたのですが、このギャンブルはおおむね好評で、保守的な論調で知られる新聞でさえも、「未来のカナダを象徴するもの」と、賛辞を送るとともに、新しい元首兼カナダ国軍総司令官に対する忠誠を示しています。
総督の任期は5年ですが、7年まで延長可能。 仕事は、女王に代わって、成立した法律を裁可し、署名すること。 政権が新たに発足する時に、総理大臣を任命し、内閣閣僚や最高裁判所長官を親任すること。 そして議会の開会式でスローンスピーチを読み上げること。 日本の天皇と大体同じ様な象徴的な役割が待っています。 「君臨すれども統治せず」という原則がここでも通用します。
さて給料ですが約1千万円。 日本の高級サラリーマンとほぼ同じ程度といったところではないでしょうか。 日本の国会議員よりは大分少ないでしょう。 それでもオタワの首相公邸や日本大使館に近い所にリドーホールという広壮な官邸が総督の住まいとして用意してあって、そこで親任式や勲章の授与式も執り行われます。 そして、侍従や女官に相当する人達にかしずかれ、執務し、生活するのですが、その費用が去年は15億円ほどかかったようです。 その他に、総督として公務の旅行、接待、それにリドーホールの補修費として、昨年は30億円以上かかっていますが、これが高いか安いか、賛否の分かれるところです。
今度の新総督は、ケベックから選ばれましたが、ケベック独立を標榜するブロックケベコアの党首が、就任式ではムッツリ不機嫌な顔をしていたのが目にとまりました。
なお、各州にもそれぞれ州総督(lieutenant-governor)が居ますが、これは総督の代理ではなくて、やはり女王の代理ということになっています。 やはり移民や先住民族の人も州総督として、同じ様な役割を、州毎に果たしています。
シゲより (05-9-29)
カナダの総督というのは何かというご質問をいただきましたが、カナダも立憲君主制の国。 ですから君主がいてもおかしくないのですが、カナダ独自の皇帝の代わりに、コモンウェルス(英連邦)の首長であるエリザベス女王が元首として、カナダの国王として君臨していることはご承知の通りです。
1950年代までは、代々イギリスの貴族がカナダの総督として任命されていたのですが、それ以降、英語系カナダ人と仏語系カナダ人の双方が順繰りに任命されるようになりました。
エリザベス女王はロンドンのバッキンガム宮殿に住んでいますから、カナダ議会の開会式に毎度臨むわけにはいきません。 ですから、その代理である総督が議場の玉座に坐って、政府の書いたスローンスピーチ(施政方針)を読むのですが、これも大事な役割。 「私の政府」と「私の」という言葉を強調して読み上げます。 それも、一節ごとに、英語とフランス語で交互に読み上げるわけですが、今度のジョン総督は、母国語はハイチのクレオール語でも、語学の達人ですから、スラスラと朗読していくことでしょう。
では誰が総督を決めるのかというと、時の総理大臣です。 マーティン首相としては、まだ年若い48歳の異邦人をピックアップしたのですが、このギャンブルはおおむね好評で、保守的な論調で知られる新聞でさえも、「未来のカナダを象徴するもの」と、賛辞を送るとともに、新しい元首兼カナダ国軍総司令官に対する忠誠を示しています。
総督の任期は5年ですが、7年まで延長可能。 仕事は、女王に代わって、成立した法律を裁可し、署名すること。 政権が新たに発足する時に、総理大臣を任命し、内閣閣僚や最高裁判所長官を親任すること。 そして議会の開会式でスローンスピーチを読み上げること。 日本の天皇と大体同じ様な象徴的な役割が待っています。 「君臨すれども統治せず」という原則がここでも通用します。
さて給料ですが約1千万円。 日本の高級サラリーマンとほぼ同じ程度といったところではないでしょうか。 日本の国会議員よりは大分少ないでしょう。 それでもオタワの首相公邸や日本大使館に近い所にリドーホールという広壮な官邸が総督の住まいとして用意してあって、そこで親任式や勲章の授与式も執り行われます。 そして、侍従や女官に相当する人達にかしずかれ、執務し、生活するのですが、その費用が去年は15億円ほどかかったようです。 その他に、総督として公務の旅行、接待、それにリドーホールの補修費として、昨年は30億円以上かかっていますが、これが高いか安いか、賛否の分かれるところです。
今度の新総督は、ケベックから選ばれましたが、ケベック独立を標榜するブロックケベコアの党首が、就任式ではムッツリ不機嫌な顔をしていたのが目にとまりました。
なお、各州にもそれぞれ州総督(lieutenant-governor)が居ますが、これは総督の代理ではなくて、やはり女王の代理ということになっています。 やはり移民や先住民族の人も州総督として、同じ様な役割を、州毎に果たしています。
シゲより (05-9-29)