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indigo YOKOHAMA

横浜を拠点に活動する社会人JAZZ FUNK BAND "indigo YOKOHAMA"のバンドブログです。

今週の一枚 Galactic / Carnival Electronicos

2013-03-18 00:24:14 | FUNKY MUSIC
ギャラクティックに対するイメージは、元々はオルタナ的テイストを併せ持った強力なジャム・バンドという感じであった。
だが、現在の彼らはニュー・オーリンズ出身ならではの『いなたさ』はそのままに、エレクトロニカ的な要素が強調され、サウンド作りにおいてはより洗練されてきている気がする。
2012年に発表された新作『Carnival Electronicos』はそれを感じさせる作品である。

『Carnival Electronicos』はニュー・オーリンズの祭りである『Mardis Gras Days(マルディグラ・デイ)』をコンセプトに作られた。
マルディグラはリオに並び称される有名なカーニバルで、ハリケーン・カトリーナの影響で規模が縮小されているらしいが、華やかな山車のパレード、その山車から投げられるビーズが有名らしい。
また、このカーニバルの際は音楽と食べ物が街中に満ち溢れ、大層にぎやかだという。
最近は女性の露出が凄いという、うらやまけしからん状況にもなっているらしい。
どんな状況だ?

本作においてギャラクティックのメンバーは結成時の8人から5人になっているが、フィーチャリングMCを含む多くのゲスト・ミュージシャンを迎えている。
楽曲はカーニバルの雰囲気たっぷりの賑やかなサウンドだ。
祭り自体が様々な民族の要素を取り込んでいるだけあり、ここで展開される楽曲も正にごった煮的である。
派手なブラス・バンドとラテン・リズム、ラップ、歪んだギター、泥臭いハーモニカ、深めのエフェクト処理などが渾然一体となっている。
初期のギャラクティックを想像すると全く違う印象を持つサウンドがここにある。



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今週の一枚 Dumpstaphunk / Everybody Want Sum

2013-03-10 20:08:45 | FUNKY MUSIC
東日本大震災から2年が経った。
昨年、定禅寺ジャズフェスティバルに出演した際にタクシーの運転手の方にも伺ったが、職人が圧倒的に不足していたり、住民間の調整がつかずに復興が進まないというケースもあるらしい。
人口の少ない土地ほど利害が複雑に絡んで難しい面もあるそうだ。
テレビの特集番組で映し出される映像は未だに『復興』などと呼べる状況にない事を物語っている。
また、関東大震災の時に劇的なスピードで関東を復興させた後藤新平を紹介する番組もあった。
もちろん、なかなか進まない現在の震災に対する問いかけとしてである。
月並みかもしれないが、非常事態の時に重要なのは決定に対するスピードだ。
巧遅は拙速に劣るとも言う。
震災のときの与党が民主党だったのは質の悪い冗談としか思えないが、今の政権には是非スピード感を持って対処してもらいたいと切に願う。

******************************

さて、今週はDumpstaphunkを紹介する。
Dumpstaphunkは昨年のフジ・ロック・フェスに出演したという事で、ご存知の方もいるだろう。
このバンド、2003年には活動を開始していた事は確かで、ライヴの時などはIvan Neville & Dumpstaphunkと称している。
そう、彼らはあのネヴィル・ブラザーズのアーロン・ネヴィル(オルガン)の息子を中心に結成されたグループである。
メンバーもネヴィル・ブラザーズのDNAを感じさせる。
ギターはアート・ネヴィルの息子イアン。
他に元ネヴィル・ブラザーズのトニー・ホール(ギター、ベース)、ニック・ダニエルズ(ベース)にダーティ・ダズン・ブラス・バンドのレイモンド・ウィーバーがドラムという構成。
因みにニック・ダニエルズはゼブラウッドのトバイアス・ベーシック5弦を使っている。
ボディはコンパクトなのにあれは重いんだよなあ(あ、これはただの個人的メモね)。

今回紹介するのは彼らのデビューアルバムである『Everybody Want Sum』である。
発表されたのは2011年。
(同年にミニアルバムの『Listen Hear』を出している)
結成からスタジオ盤の発表までに時間がかかっているのだが、ライヴ盤をインディーズ(CD-Rだったりする)で既に何枚か出しており、演奏のクオリティは既に折り紙付きなのだ。

楽曲は、最近の楽器やる人がファンクやろうぜって言うとこういうのになるんだろうな、みたいなサウンド。
あるいは最近ファンクという言葉を聞いて若い人が一番想像しそうなサウンドである。
彼らはロックの影響を猛烈に受けていて、ファンクと言ってもJBとはかなり違う。
基本的には、ヘヴィに歪んだギターとベースによるユニゾンのリフで押していく。
このヘヴィなリフがなかなかカッコ良く、しかもタメの効いたドラムが猛烈に気持ち良い。
楽曲によってはブラス・セクションによるオブリが入る場合もあるが、あくまでもスパイスである。
まさにヘヴィ・ファンク・ロックと言っても良いような感じで、フジ・ロックに出ちゃうのもむべなるかな、なのである。
ヴォーカルは全員で取っており、途中掛け合い気味にヴォーカルを交差させるところは往年のR&Bテイストも感じさせる。
どの曲もヘヴィでありながらファンキーで、ぐいぐいと引き込まれる事請け合いだ。

日本盤は出ていないが、普通に輸入盤を手に入れる事ができるので、『最近の』ファンク・サウンドを体感したい方は聴いてみる事をお勧めする。


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今週の一枚 Young Disciples / Road To Freedom (Young Ideas)

2013-03-03 23:06:42 | FUNKY MUSIC
ファンクの始祖と言えばジェームズ・ブラウンだが、彼のファミリーにヴィッキー・アンダーソンという歌姫がいた。
パワフルでソウルフルな彼女にはカーリーン・アンダーソンという娘がいた。
彼女もまた才能に溢れていた。
それは90年代に花を開くことになる。
Young Disciplesというユニットの看板ヴォーカリストとしてである。

『Road To Freedom』は、91年にヤング・ディサイプルズが唯一残したアルバムであり、トーキン・ラウド・レーベルで最も成功した作品の一つである。
ヤング・ディサイプルズはロンドンのクラブ・シーンで活動していたマルチ・インストゥルメンタリストでDJのマルコ・ネルソンとDJのフェミ・ウィリアムスの出会いによって生み出された。
彼らは88年にJB’s系のイベントを企画した。
そのイベントに参加したカーリーン・アンダーソンの歌声にほれ込んでしまった事がユニット結成のきっかけだったそうだ。

アルバム全体を通してダークでジャジーな楽曲に、魂を揺さぶるようなカーリーンのヴォーカルが乗っかる。
彼女のは底の方からえぐってくるような歌声だ。
これは母上に全然負けてないぞ。
演奏はドラムが打ち込みで、更にサンプリングを多用しながらも、生の演奏とうまく融合させている。
この辺が評価の高い所以か。
というより、アシッド・ジャズの一つのスタイルを大きく決定する要因になったと言って良いかも知れない。
ギターやベースはマルコが担当。
キーボードにはスタイル・カウンシルズのミック・タルボットを迎えている。
尚、『As We Come』ではメイシオ・パーカーやフレッド・ウェズリー、ピーウィー・エリス等も参加している。

本アルバムからは『Get Yourself Together Pt1 & Pt2』『Apparently Nothin'』『Young Disciples Theme』がシングル・カットされ、UKチャート上位に入った。
因みに『Young Disciples Theme』はMCメロのラップである。
個人的にはコンピレーションに入っていた『Apparently Nothin'』で持っていかれたクチである。

このアルバム、どういう訳か日本盤では『Young Ideas』という別タイトルであった。
ついでに書くと、ポリグラムを通じてアメリカで発表した際、別ジャケットで発売になっている。
別物と思って買ってしまうとガッカリする事になるので注意したい。

この作品の成功を機にカーリーンはソロ・デビューを果たし、そのためにヤング・ディサイプルズは消滅してしまった。
彼女の音楽人生にとって、またアシッド・ジャズ・シーンにとっても非常にエポックメイキングな作品だったと言えるだろう。
アルバムはUKチャートで21位を記録した。



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今週の一枚 Gil Scott Heron / It's Your World

2013-02-24 22:00:51 | FUNKY MUSIC
ギル・スコット・ヘロンはまるで吟遊詩人のような人だなと思っていたら、音楽の世界にはポエトリーというスタイルが認知されているらしい。
要は詩の朗読という事になるのだが、彼は詩の朗読もすれば、音楽に合わせて詩を語るように歌う、という事もする人なのである。
彼が歌う場合、バックに流れるのはジャズ・ファンクである。
ミッドナイト・バンドという、彼専用のバックバンドのご機嫌な演奏に合わせて、ギルは政治的なテーマを多く取り上げて『語った』のである。

今回紹介する『It's Your World』は1976年に発表された6作目のアルバムで、4曲のスタジオ録音と6曲のライヴ録音からなる、当時2枚組LPで発売された作品だ。
ライヴ音源は76年の7月、ボストンのポールズ・モールにて独立記念日の前夜祭で録音された。
LPの各サイドには、日没から夜明け(これも象徴的な意味だろう)までを表す4段階のサブタイトルが付いている。
個々の楽曲自体は初出ながらライヴ録音だけあって、インスト・パートにも重点が置かれている。
全般的にジャズ的なアプローチが非常に強調されている事も特徴的と言える。
彼らの場合、ドラムの他にパーカッションを2人加えてリズムに厚みを持たせており、当然ながらリズム・セクションがしっかりフィーチャーされている。
特に『Bottom』のドラム&パーカスだけで聴かせるパートはご機嫌だ。
それと、ダニー・ボーウェンズのベースがブリブリしていて気持ちよい。
ファンク・ベーシストは必聴と言っておこう。
ギルは本アルバムでポエトリー・リーディングもやっている(Bicentennial Blues)。
物凄く長いMCを聴いているような感じなのだが、その語り口や言葉の選び方、同じ単語のリフレインなどは間違いなく詩的なアプローチだとわかる。
ハッキリとは理解できないのだが非常に政治的な詩だ。

スタジオ録音の楽曲ではタイトル・ナンバーである『It' Your World』はジェームズ・テイラー・カルテットがインストゥルメンタルでカバーしており、アシッド好きにはご存知の方も多いはず。
(原曲は歌モノである)

アルバムはジャズ部門20位、R&B部門34位を記録した。


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今週の一枚 Rick Braun & Richard Elliot / R n R

2013-02-17 22:13:59 | FUNKY MUSIC
先日発売になった、きゃりーぱみゅぱみゅのDVD『ドキドキワクワクぱみゅぱみゅレボリューション2012』をもちろん初回限定盤で購入しながら、まだ観られていない管理人です。
特典映像に『ファッションモンスター』のふりつけビデオが入ってるだってっ?
よ~し覚えるか~っ!

…と、我に返ったところで『今週の一枚』。
これは心地よいよ~。

リック・ブラウンと言えば、REOスピードワゴンのヒット曲『Here With Me』の作曲者としても知られるトランペッター。
ジャズ、ポップ、R&Bと幅広い分野で活躍している。
そんな彼がタワー・オブ・パワーのサックス奏者として知られるリチャード・エリオットと共に作ったレーベルが『ARTizen』だ。
そのレーベルで二人が共同名義で制作したのが2007年の『R n R』である。

腕っこきの二人が組んでいるだけあって、素晴らしい内容である。
まず、バックを務めるアーティストがなかなか渋くて、ベースがネイト・フィリップス。
この人はソロのキャリアは無いようだが、R&Bやスムース・ジャズなどで数々のアーティスト(アン・ヴォーグ、ジョージ・クリントン、ナラダ・マイケル・ウォルデン他)のバックを担当している。
プロデュースや作曲もし、時にはギターも弾くようだが、彼のベースが本アルバムでは非常に重要な位置を占めている事は聴いていただければ判るだろう。
ドラムのリッキー・ローソンはグラミー受賞者であり、マイケル・ジャクソンやスティーリー・ダン、イエロージャケッツなど、こちらも多数のアーティストのバックを務めている。
更にボズ・スキャッグスやメリッサ・マンチェスター、TOTO、クリストファー・クロスなどなど、こちらも多彩な共演歴のレニー・カストロがパーカッションを担当。
レベル高すぎでしょ!

楽曲は全曲インストゥルメンタルで構成されており、全般的にウォームな空気感に溢れているのが印象的。
アップテンポからミドルまで取り揃えているが、肩の力を抜きながらキッチリ仕事はしているという職人技すら感じる。
ジャズ系のインスト曲だと、ややもするとテーマはそこそこにソロばっかり頑張ってしまうという、全体的にみてバランスの悪い演奏になる恐れがあるが、本作はテーマ部分を大事にしており、サビも耳に残る。
アレンジも工夫されていて、仕掛けも随所に利いている。

捨て曲は無いが、敢えてお勧めするならファンク的には『Curve Ball』『Down And Dirty』『Q It Up』、おセンチな方向なら『Que Paso』の泣きのメロディが堪らない(少しベタ)。

本作はコンテンポラリー・ジャズ部門で1位を記録。
そりゃそうか。



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今週の一枚 Raw Stylus / Pushing Against The Flow

2013-02-10 23:23:27 | FUNKY MUSIC
どうやら花粉症がマジで出てきました。
かなりキテます。
今年は昨年よりも花粉が物凄く多いとテレビで言っていたような気が。
頭が痛いのでチャッチャといっちまいましょう。

今回紹介するのは、Raw Stylus。
こいつもアシッド・ジャズ・ムーヴメントの中で一瞬の徒花として散っていったバンドの一つだ。
この時代はその後の活躍が期待されながら急に姿を消してしまったアーティストが非常に多かったような気がする。
2作目・3作目を期待してそのまま、なんてのはザラ。
中にはコンピに入ってそれっきりなんてのも多かった。
思えば、プロモーションを主目的としてコンピを先行して作る手法が定着したのはあの頃であった。
トータリー・ワイアードとかベスト・オブ・アシッド・ジャズとかトーキン・ラウドとか。
シリーズ化に至ると、当然ながら質の維持は難しく、玉石混淆となるのは仕方が無い。
一発勝負ならどうにかなるが、継続して力を発揮できるアーティストはそう多くは無いのである。

Raw Stylusも才能に溢れながら、発表したアルバムはこの『Pushing Against The Flow』(96年)の一枚切りである。
バンド自体は89年頃から99年まで続き、ツアーにも出ていたようだが、新しいアルバムを作ることなく消滅した。
バンドの正式メンバーはジュールス・ブルックス、ロン・アスラン、ドナ・ガーディアーの3人。
(結成当初はドナではなくデボラ・フレンチがリード・ヴォーカルだったらしい)
ライヴでは9人編成でやっていたようだが、つまりはパーマネントに活動できる『同志』には恵まれなかったのかも知れない。

その反面と言えなくもないが、彼らのデビュー・アルバムは物凄い布陣で制作されていた。
プロデューサーはゲイリー・カッツ(ロウ・スタイラスとの共同となっている)。
そのせいかゲイリー・カッツ~スティーリー・ダン人脈が制作に名前を連ねる。
ドラムはバーナード・パーディがその大半を務め、他にバリトン・サックスのロニー・クーパー、トランペットのランディ・ブレッカー、ギターのエリオット・ランドール、ハーモニカのヒュー・マクラッケン、おまけにドナルド・フェイゲンも『37 Hours』でシンセサイザーを弾いている。
テナー・サックスはブルース・ブラザース・バンドのルー・マリーニ!
ベースはグルーヴ・コレクティヴのジョナサン・マロン(超かっこいい)が務め、ゲンジ・シライシとビル・ウェアも一部だが参加している。

楽曲はブランニュー・ヘヴィーズやリパーカッションズが好きな人には絶対お勧めなメロディがてんこ盛りだ。
曲によっては男性のジュールス・ブルックスがリード・ヴォーカルを取るところも少しブランニューっぽい。
かつてソロ・デビューした事もあるというドナのヴォーカルは伸びやかで爽快感がある。
アレンジは各曲とも一筋縄でいかない凝った作り。
それでいてサビは非常に判り易いというのが、これまた良いところだ。
演奏ではバーナード・パーディとジョナサン・マロンの強力リズム隊の深いグルーヴが堪らない。
特にジョナサン・マロンのベース・ラインが秀逸すぎる。
ルー・マリーニのアレンジによるファットなホーン・セクションも絶妙だ。
アルバム構成としては前半は比較的ストレートでコンテンポラリーなファンク~ソウルで、後半にかけてアフロ・リズムやゴスペル的要素を加味するなど、バラエティにも工夫が見られる。

本作からは『Believe In Me』はシングル・カットされ、ダンス部門で全米1位に輝いた。
『Ridequake』は本作で唯一のインスト・ナンバー。良質なジャズ・ファンクだ。



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今週の一枚 The Pimps Of Joytime / Janxta Funk!

2013-02-03 20:48:42 | FUNKY MUSIC
2月に入って心なしか暖かくなったような…。
暖かくなると気になるのが花粉。
既に私の花粉センサーは、あの邪悪な瘴気をほんのわずかながら感じ取っているのであります。
奴らはすぐそこまで迫っているのであります。
いや、それともこれは大陸から流れてくる汚れまくった空気やも知れません。
どっちにしたってロクなもんじゃないのであります。
そういう訳でインフル対策のマスクがそのまま花粉対策に変わるだけの日々が続くのでありました。

今回紹介するのはThe Pimps Of Joytime。
アメリカはブルックリンを拠点とするバンドである。
マルチ・インストラメンタリストのブライアンJに率いられたイカした3人組だ。
ブライアンJの顔立ちはラテン系だろうか。
女性ヴォーカル兼パーカッションのMayteana Moralesもエキゾチックな雰囲気の美人だし、パーカッションのChauncey Yearwoodも名前はアングロサクソンっぽいが、そのようには見えない。
そのためだろうか、このバンドには様々な音楽の要素が豚骨スープのように溶け込んでいる。
単なるファンクではなく、ポップス的な歌物要素、ロック・テイスト、さらにはラテン、アフロ、ヒップ・ホップといったものが渾然一体となって強烈なグルーヴを発しているのである。

バンドが結成されたのは2005年。
ブルックリンのクラブ・シーンで活動する中で、シリル・ネヴィルやアート・ネヴィル、ロイ・エアーズ等とのコネクションが生まれる。
09年には1年に100回のライヴもこなすバンドになり、かなりファンも付いていたようである。
08年に『High Steppin』というデビュー・アルバムを発表。
その後09年に前作のリミックス+新曲という構成の『Funk Fixes & Remixes』を発表した。
さらに2年後の11年に発表されたのが本作である。

とにかく踊れる。
楽曲には打ち込みも使っているが、前述のシリル・ネヴィル、アート・ネヴィル、ロイ・エアーズに加え、ギター、ベース、ホーン・セクションを加え、生々しい空気感もしっかり生み出している。
この辺は数多くのライヴを通して培ったものを大事にしているのだろう。
楽曲の一部を紹介すると、
『Janxta Funk!』はオールド・ジャズ・ファンクを彷彿とさせる曲。ヴォーカル・テイストがライマン・ウッダートみたい。
『Walking』は70年代ロック・バラードをファンクとラップとアンビエントで包んだような曲。ロイ・エアーズ参加。
『Thas The Way We Do』ロックなギターがカッコイイ。
『Keep That Music Playin'』はこれぞエレクトロニカ。ちょっとクセになる。
『Blues Wit You』はブルースと名づけながらラテン・フレイヴァーをふりまいたミドル・テンポの曲。
『Temporary Condition』一瞬スライの進行と思わせるイントロからブルーアイド・ソウルになる。
『Africa U』は文字通りアフロな一曲。シリル参加。
『Pimpin' Music』はサビ・パートがついノリノリになってしまうカッコよさ。
アルバムはインスト・ナンバー『Blues Wit You(Outro)』で締めくくられる。あえてラテン・テイストで終わらせるのがミソか。

バンドは現在も精力的に活動している。
どうやら週に3~4日はライヴをやっている模様。
日本に来る日も近いかもしれない。


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今週の一枚 Tower Of Power / Monster On A Leash

2013-01-23 22:54:01 | FUNKY MUSIC
自分が結構好きなのに当ブログではちっとも取り上げないバンドがいる。
それはTower Of Powerである。
理由は今更言うまでもないくらいの評価という面もあるのだが、実はもう一つあって…。
実はTOPのファンが『怖い』のである(苦笑)。
念のためだが、『饅頭怖い』の『怖い』ではない。

優れたミュージシャンには熱狂的なファンが付き物である。
ファンクの世界でもそういう方はいるのだが、タワー・オブ・パワーのファンの方々の熱気はそりゃもう半端ないのである。
だから迂闊な事を書くと(例えば70年代後半のコロンビア時代を評価したりすると)、お前は全然判ってないと大変なお叱りを頂いてブログが炎上するとか、まあそういう危険性があったりなかったり。
え~冗談はさておき、40年以上もやってるバンドってのはその時代時代でいろんな色を見せるもんであります。
確かに70年代前半の彼らは凄いですよ。
とは言え、ドラムのガリバルディとベースのロッコのあのリズムがないと全て駄目とかっていうのは、TOPファンの『でなければならない』バイアスが強烈にかかり過ぎだとは思っている。

タワー・オブ・パワーは70年代後半にワーナーからコロンビアに移籍し、3枚のアルバムを残し、セールスもそれなりにあった(チャートの100位以内には入っている)。
だが、前述のリズム・セクションが抜けたりとか楽曲の雰囲気が(割とベタな方向に)変わってしまったので、とにかくファンの評価が悪い。
バラードしか認められなくなったナイト・レンジャーやエア・サプライみたいなドツボ状態である。
その後バンドは失速。
80年代は『Direct』『Power』の2枚のアルバムが出ているが、再録ものだったり、スウェーデン限定リリースだったりと、この時期は本当にまともな活動ができていない。

で、今回取り上げるのは91年にTOPが正に復活を遂げたアルバム『Monster On A Leash』である。
バンドはコロンビアからエピックに移籍した。
ガリバルディはいないがロッコは戻ってきた。
ヴォーカルに白人のトム・ボウズを迎えた。
ぱっと見は、ロック・バンドの兄ちゃんである。
声質的にTOTO辺りで歌った方がしっくりくる彼をセンターに据えた事でバンドのサウンドは明らかに変貌した。
敢えてぶった切ってみると、演奏の確かさはそのままに、80年代に彼らのホーン・セクション(タワー・オブ・パワー・ホーンズ)がサポートしていたヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのような小気味の良いポップ性を
兼ね備えたバンドになっていた。
これを都会的と言わず軽くなったという人がいるのは事実だし、ガリバルディが戻った次作『T.O.P.』が復活作とか言う人もいたりして困るのだが、私はこれはこれで非常に良い作品だと思う。

楽曲のグレードは非常に高く、『A Little Knowledge (Is A Dangerous Thing)』のようなベースがブリブリのアゲアゲ曲もあれば、『You Can't Fall Up (You Just Fall Down)』のようなしっとり系で攻めたり、『Personal Possessions』のようなAOR系もありと、聴き所は満載である。
タワー・オブ・パワーを聴いてこなかった人の方がこのアルバムを正当に評価できると私は思う。



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今週の一枚 Sunfire / S.T.

2013-01-20 21:51:01 | FUNKY MUSIC
十数年ぶりだかの大雪で大変でしたね。
寒さはまだまだ続きますが、そんな時はご機嫌なファンクで熱くなりますか。

今回紹介するのはSunfireのセルフ・タイトル。
レジー・ルーカスのユニットである。
82年にたった一枚のアルバムを残して消滅したが、これが名盤として知られており、再発CDまでプレミアが付いているようだ。
レジー・ルーカスはマイルス・デイビスやノーマン・コナーズと共に演奏していたジャズ・ギタリストで、後にマドンナやランディ・クロフォード、トム・ジョーンズのプロデューサーになる等、第一線で活躍した人物である。
サンファイアはルーカスに加え、ヴォーカルのローランド・スミス、GAPバンドのドラマー、レイモンド・カルホーンの3人から成るが、他にパーカッションのエムトゥーメイやマーカス・ミラー、アンソニー・ジャクソン、キーボードのディーン・ギャント等、豪華なゲストを迎えて制作された。

楽曲はとにかくポップでダンサブルな名曲ぞろい。
個人的なお薦めは『Step In The Light』だが、どの曲もカッコイイ。
バラードの『Givin' Away My Heart』『Millionaire』も美しい。
80年代R&Bサウンドが好きな人なら嵌ること請け合いなアーバン・ソウルの名盤だ。

再発盤にはボーナス・トラックで、83年にリリースされたシングル『Video Queen』のB面で隠れた名曲と言われる『Never Too Late For Your Lovin』が収録されている。


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今週の一枚 Repercussions / Earth And Heaven

2013-01-14 22:54:25 | FUNKY MUSIC
今回はアメリカのバンドRepercussionsを紹介する。
このバンドは、一言で評するなら『ザ・ブランニュー・ヘヴィーズになり損なったバンド』である。
ザ・ブランニュー・ヘヴィーズの前座を務めた事もある彼らだが、たった2枚のアルバムを残して消滅してしまったのだ。

リパーカッションズは89年にグルーヴ・コレクティヴのラッパー、ナッピーGがパーカッションのダニエル・ワイアットと共に結成したバンドである。
後にグルーヴ・コレクティヴから日系人ドラマーであるゲンジ・シライシやジョナサン・マロンが参加し、リズム隊が強化される事になる。
当初はハイチ系のリズム主体に演奏していたようだが(恐らくバンド名もこのリズム志向から来ているのだろう)、ヴォーカリストにニコル・ウィリスを迎えて歌物のバンドに変身している。
折りしもアシッド・ジャズ・ムーヴメントがミュージック・シーンを席巻していた頃である。
だからだろうか、彼らのデビュー・シングルは92年、イギリスのインディーズ・レーベルからであった。
だが、彼らが飛躍するきっかけとなったのは、ワーナーとの契約後、カーティス・メイフィールドのトリビュート・アルバムでカーティス自身と共演した事である。
そして95年に発表されたのが今回紹介するファースト・アルバム『Earth And Heaven』である。

アルバムはジョー・サンプル、ドン・グロルニック、ジェリー・ヘイ等の豪華なゲストを迎えて制作された。
プロデュースはゲーリー・カッツである。
楽曲は、冒頭の『Find Your Way』から軽快なリズムと深く印象的なベース・ラインに耳が釘付けになる。
このバンドの肝は間違いなくこのリズム隊だ。
これに空間を生かしたギターとジャジーなキーボード、更にストリングやホーン・セクションが絡み、都会的なサウンドを構築している。
ヴォーカルのニコル・ウィリスはパワー・タイプというよりはフェミニンなスタイル。
バッキングとのマッチングは非常に良い。
アシッド・ジャズに興味のある方なら、まず買って損はない良作である。
正直、捨て曲は無いが、個人的なお薦め楽曲は『Find Your Way』、『Turn Your Card』、シングルカットした『Promiss Me Nothing』(ダンス部門6位)、『Love Like The Sun』辺りだ。

リパーカッションズは2枚目の『Charmed Life』を発表して姿を消した。
フューチャー・ソウルという新しいサウンドを目指し、ドラムン・ベースやアンビエントなどの要素を積極的に導入したものの、第1作目ほどのインパクトを与えることが出来なかった。
本作を気に入ったリスナーには少し合わなかったのかもしれない。
生み出すものと受け入れるものの齟齬である。



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