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indigo YOKOHAMA

横浜を拠点に活動する社会人JAZZ FUNK BAND "indigo YOKOHAMA"のバンドブログです。

今週の一枚 George Duke / Guardian Of The Light(ライト・メッセージ)

2013-08-11 23:39:56 | FUNKY MUSIC
今回は、先日のジョージ・デューク死去に寄せて今週の一枚を書きます。

ジョージ・デュークは75年にCBSと契約したあたりからクロスオーヴァーに留まらずファンク、R&Bに急速にシフトしていく。
これは大成功を収め、77年の『Reach For It』はR&B部門4位、総合25位にチャートインしていた。
コテコテの(日本やヨーロッパの)ジャズ・ファンはそれが面白くなかったらしく、アース・ウィンド&ファイアっぽいサウンドを目指した『Follow The Rainbow』発表後のベルリン・ジャズ・フェスティバルでは様々なものを投げつけられ、ステージを降りるハメに陥ったとライナーノーツに書かれている。
今でこそ、とやかく言う人は少なくなったのだろうが、この頃から既にジャズ権威主義みたいなものがムクムクと頭をもたげていたのだろう。
その人の紹介に『○○音大卒』とか『△△に師事』とか、やたら『肩書き』が多いのはクラシックとジャズ系ミュージシャン、と相場が決まっている。
それはさておき、途中にクラーク・デューク・プロジェクトを挟みながら、ジョージ・デュークはチャートの上位に顔を出すアルバムを安定して発表していく事になる。
その中でファンク・R&Bアルバムとして、もっとも完成度が高いと(個人的に)思われるのが83年の『Dream On』。
それと80年の『A Brazillian Love Affair』もブラジル音楽を取り入れているが、傑作と言ってよい。
だが、今回紹介する82年の『Guardian Of The Light』もなかなか捨てがたいのである。

アルバムは何とコンセプト・アルバムになっており、ジャケットには『Musical Fantasy』というオリジナル・ストーリーが曲に沿って書かれている。
(国内盤には和訳が付いている)
生命の結晶『クリスタル』(ムムッ!)を巡るファンタジー作品なのだが、内容は割愛。
当時は『宇宙』からやってきたディスコ戦士が多かったような気がするが、こちらは幻想世界からやって来たらしい。
ファンタジー寄りなのは、彼がジャズ系出身だからだろうか(ある意味リターン・トゥ・フォーエヴァー的な?)

因みに参加メンバーは、ベースにバイロン・ミラーとルイス・ジョンソン!
ホーン・セクションにシーウィンドのジェリー・ヘイ、ラリー・ウィリアムス。
バッキング・ヴォーカルにリン・デイビス、ジェフリー・オズボーン。
ギターのマイク・センベロは、スティーヴィー・ワンダーやハーヴィ・メイソンの作品にも参加しているスタジオ・ミュージシャン。
ドラムのジョン・ロビンソンも同じくスタジオ・ミュージシャンでクインシー・ジョーンズのプロデュース作品(マイケル・ジャクソン含む)に数多く参加している。
ストリング・セクションも入り、なかなかゴージャスである。

ジョージ・デュークはフェンダー・ローズやピアノに加え、ミニ・ムーグやアープ・オデッセイ、コルグのポリシックスなど、当時最新のシンセサイザーを使いまくっている。
もちろんヴォコーダーもだ。時代ですなあ。
ファルセット・ヴォイスを生かしたヴォーカルでも大活躍している。

楽曲はファンタジーなストーリーに合わせて荘厳なテイストもあるが、冒頭の『Overture』のキメまくりなインストからノン・ストップで『Light』に入る辺りでグッと引き込まれる。
それと何といっても『Reach Out』のカッコよさ!
このルイス・ジョンソンのベース・プレイは最高。
そして、ジョージ・デュークお得意のバラード・ナンバーも秀逸で、『Born To Love You』や『Give Me Your Love』などでセンチメンタルなフレーズを堪能できるだろう。

アルバムはジャズ部門17位。R&B部門46位、総合147位を記録した。



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追悼 ジョージ・デューク死去

2013-08-09 00:48:24 | FUNKY MUSIC
キーボーディストのジョージ・デュークが去る8月5日に亡くなりました。
享年67歳。慢性リンパ球性白血病だったとか。
かなり最近まで活動をされていたのに、実に残念です。

もともとジャズ・ピアニストとしてスタートした人ですが、『普通の』ジャズに留まらず、クロスオーヴァーやR&Bまで幅広く活躍した人でした。
しかもキーボードのみならず、フィリップ・ベイリーも真っ青のファルセット・ヴォイスで歌もこなしてました。

個人的には、歌物を積極的にやっていた70年代後半から80年代前半のR&B系のアルバムがお気に入りでした。
アルバムで言うと『A Brazilian Love Affair』(これはブラジルものだけど)から『Rendeveuz』あたりの期間。
この頃はディスコ・ヒットも飛ばして来日も果たしてますね。
その時のライヴを収めているのがこちら。



1983年の渋谷公会堂でのライヴです。

冒頭からショルダー・キーボード(もはや遺跡)を担いで文字通り暴れまくります。
ライヴ用のインスト曲でスタートしてから『Reach Out』(私の愛聴曲)になだれ込む。
キーボード・ソロの時は通常のシンセサイザーのポルタメント(ウネウネやるやつ)にアクリルのレバーを取り付けて操作を見やすくしてたりしてるというサービスぶり。
ベースはバイロン・ミラーじゃなくてルイス・ジョンソンなんですが、こちらもバッキバキ。
ライヴではもう大活躍でした(ソロ中に弦切ります)。
ギターはポール・ジャクソンJr。安定感あるわ~。
更にはドラムにスティーヴ・フェローン、シンセサイザーにロバート・ブルッキンズとこれまた実力者を揃えたという凄い布陣でした。

輸入盤にも関わらず日本公演でリリースしたのはなぜなんだろう。
ジョージ・デュークに限った事ではないが、日本でのライヴをアルバムやビデオの発売に選ぶアーティストが多いのは、日本のファンとの間に特別な一体感を味わったからではなかろうか。
ジョージ・デュークの場合は1回限りの特別編成だったらしいが、それにしてもこんなものを残してもらって、日本のファンは幸せモノですよ。

因みに彼の最後の来日は、2年前のDMSというプロジェクト(デューク・ミラー・サンボーン)だったのではないかと思うが、東京JAZZのステージで彼の雄姿を拝めた事を、自分の大事な思い出にしようと思います。

安らかに。



PS)紹介したDVDを一応アマゾンで調べてみたら、まだ販売してますが、凄まじいプレミアが付いてます、う~ん。



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今週の一枚 Rufus Thomas / Do The Funky Chicken

2013-08-04 22:19:53 | FUNKY MUSIC
今週の一枚はルーファス・トーマスの『Do The Funky Chicken』を紹介する。

ルーファス・トーマスは60~70年代に活躍したロックン・ロール、R&Bシンガーだ。
活動していたのはメンフィス。
所属レーベルはスタックスである。
1959年に自身の娘カーラと録音した『Cause I Love You』がヒットしたことにより、スタックス最初のスターとなった。
生まれたのは1917年で彼が表舞台で脚光を浴び始めたときは既に40代だったというのが凄い。
ただ、この時の彼はまだローカル・タレントに過ぎず、彼が本格的にスターになるのはアトランティックが全米への供給するようになる60年代後半で、この時既にアラフィフに突入していた訳である。
なんとも遅咲きな!

『Do The Funky Chicken』は70年に発表されたアルバムで彼が一番油が乗っていた時期のものだと言える。
アルバムは裏ジャケットにちょっと驚いたような顔のルーファス。
ぱっと見、メイシオっぽい。
髪と髭には既に白いものが混じっている。
貫禄はバッチリだ。

楽曲は初期のロックン・ロールでかなりご機嫌。
バッキングにはしっかりホーンセクションも入っている。
そして彼の声は本当にオッサンそのもの。
そこがメチャクチャ良い。
パワフルでちょっとしゃがれた感じがとても味があり、時には鶏や猫の声マネが入ってたりして面白い。

CDには全19曲が収録されており、後半の8曲がボーナス・トラックである。

アルバムはR&Bチャートで32位。
シングルは『Do The Funky Chicken』がR&Bチャートの5位、『Sixty Minute Man - Part II』が42位、『The Preacher And The Bear』が42位を記録した。


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今週の一枚 Beat Funktion / Moon Town

2013-07-28 21:51:12 | FUNKY MUSIC
サッカーの東アジア杯、男子が見事初制覇!
海外組の召集無しで若手起用という急造チームながら、よく頑張ったのではないでしょうか。


さて、今週の一枚は今年の4月に日本でのデビュー・アルバム『VoodooLand』を発売した北欧のジャズ・ファンク・バンド、ビート・ファンクションの2作目『Moon Town』である。

ビート・ファンクションはスウェーデンのウプサラで2007年に結成された。
ウプサラはストックホルムのすぐ北にあり、北欧最古の大学があるという歴史ある都市である。
とはいえ、ほんの十数万の都市でこれだけのメンバーが集まったというのは驚きだ。

バンドは、結成当初は5人だったようだが、後に6人編成となった。
元々はジャズ・バンドとしてスタートしたようだが、ジェームズ・ブラウン、デオダート、ハービー・ハンコック、ロイ・エアーズ、フェラ・クティ、カーティス・メイフィールドなどの影響を受けて徐々にオリジナルのバンド・サウンドを構築していく。
2010年にデビュー盤である『Plunge』を発表。
今回紹介する『Moon Town』は2012年に発表された。
各曲のタイトルから判断してコンセプト・アルバムとして作られていると思われる。
内容は全曲ともインストで、いかにも『月の街』を連想させるような静謐な空気を漂わせながら、ソロは熱くバンバン聴かせる。
曲によってはバックに歌詞のない女性コーラスが乗っかると言うところが何ともお洒落。
一応ジャズ・ファンク・バンドと書いたが、基本的にジャズをルーツとしているバンドなのは明らかで、ロック系を祖とするイギリスや、ヒップ・ホップやオルタナと接近しているアメリカのファンク・バンドとは明らかに路線が違う。
どちらかというと日本のクラブ・ジャズ系の好きな人がハマリそうなサウンドだ。
因みに、月夜の街が描かれたジャケットの裏側には『JAZZ』『FUNK』『GROOVES』のネオン・サインが光っている。

楽曲はオリジナル曲中心で、バラエティも意識されている。
『Woman In Neon』は6拍子の変則リズムの曲。
『125th Street and 7th Avenue』はちょっとお茶目な曲(といってもやはり北欧っぽい)。
『City Lights』はアルバム中間で落ち着かせるための小品。
後半ではジョン・コルトレーンの『Impressions』をファンク・アレンジでカバーしている。
お薦めは『Kareem』『Great Escape』『Moon Town』辺りか。

このアルバムはアメリカのラジオのジャズ・チャートで8週に亘りチャート・インしたそうだ。



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今週の一枚 Mauro Ottolini 8 Funk Project / Jazz Funk

2013-07-21 23:46:41 | FUNKY MUSIC
今後3年間の政局を見据えた重要な選挙が終わりました。
どこが勝つかは目に見えていた訳ですが、それでも議席数や当選者の順位、投票率などから、いろいろ読み取ることもできるのではないでしょうか。
そういえば東京の選挙区が異常に盛り上がっていたようですね。

さて、今週の一枚。
これは超お薦めなのであります!

アーティストの名前はマウロ・オットリーニ。
お察しの通り、イタリア人だ。
彼はジャズをルーツとするトロンボーニスト兼チュービストなのだが、かなり多才な人らしく、作曲者、アレンジャーとしても活躍。
活動領域もジャズに留まらず、ポップス、ロック、伝統音楽など多岐に亘っている。
そんな彼がファンク・アルバムを1枚発表しているのだが、それが今回紹介する、その名も『Jazz Funk』である。
(名義はMauro Ottolini 8 Funk Project)
なぜ、『8 Funk』なのか書かれていないが、アルバム収録曲数に由来すると思われる。
実際は9曲だが、最後の曲が1曲目のリプライズだからだ。

正直なところ、こんなアルバムを2001年に発表していたとは、もうやられたという感じである。
なぜ気付かなかったんだろうと。
何しろ最近のホーンを擁するジャズ・ファンクのお株を奪うような演奏がてんこ盛りだからである。

参加しているのはトロンボーン(本人)、トランペット×2、バリトン・サックス、テナー・サックス×2という充実のフロント・セクションに、ギター、オルガン(しかもハモンドC3!)、ベース、ドラム、パーカッションという大編成に加え、ラッパー、ヴォイス(というより大半は掛け声)まで擁している。
ラッパーとヴォーカルは英語圏のようだが、残りの演奏者は全てイタリア人である。
超ノリノリなブラス・ファンクの上に、時にラップやヴォイスが絡んでいく楽曲は、適度なテンポで思わず横ユレしてしまう事は確実。
敢えてコードの数は抑え、大半は1~2コードでひたすらグルーヴを積み上げてくる。
曲の雰囲気はボストン・ホーンズが一番近いが、TOP的雰囲気も漂わせる。
演奏技術はかなり高く、聴き所は満載だ。
因みにCDのジャケットには各曲のソロ担当まで明記すると言う親切な作りで感心する。
全9曲のうち、アフロ・リズムとラップで作られた曲『Tribe Turbolence』があって全体のアクセントになっている。
敢えてお薦めを挙げると、個人的には『8 Funk』『Stop Man』『My Flight』『Acid Ice』だろうか。
ノリノリが高いのを選んだだけなのだが、要は捨て曲がないんである。

いやあ、これヤバイです。
ジャズ・ファンクの隠れ名盤であると断言できる。
イタリアは深いわ~。



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今週の一枚 Martha High & Speedometer / Soul Overdue

2013-07-14 23:44:52 | FUNKY MUSIC
外に出ると、連日の猛暑。
夏ですね。
おまけに夕立(時にはゲリラ豪雨)などもあったりで、ビックリする事もしばしば。
今日の横浜も雷がバリバリいっておりました。

さて、スピードミーターのアルバム『The Shakedown』でゲスト・ヴォーカルとして参加していたディーヴァ、マーサ・ハイが自身のアルバムにスピードミーターを迎えたのが今回紹介する『Soul Overdue』(2012年)だ。

マーサ・ハイと言えば、ジェームズ・ブラウンの歌姫として活躍したベテラン。
しかも、彼女はJBの歌姫としては実に30年以上、リン・コリンズやヴィッキー・アンダーソンなどよりも長く彼と共に活動していた人なのだ。
そんな彼女が、オールド・スタイルなら任せとけと言わんばかりのファンク・バンド、スピードミーターとタッグを組んだら、もう中身は保証されたようなものである。
楽曲はカバー曲とスピードミーターの過去のオリジナル曲から構成されている。
『No More Heartaches』→ヴィッキー・アンダーソン(作曲はJB)
『Trouble Man』→マーヴィン・ゲイ
『Never Never Love A Married Man』→作曲はベント・エゲルブラダ&フランシス・コーワン
『I'd Rather Go Blind』→エタ・ジェイムス
『No Man Worried』→スピードミーター
『Sunny』→ボビー・ヘブ
『You Got It』→エタ・ジェイムス
『Save Me』→アレサ・フランクリン
『You Got Me Started』→スピードミーター
『Mama Feelgood』→リン・コリンズ(作曲はJB)
『Dragging Me Down』→スピードミーター

JBの手になる、かつての同僚の曲が2曲選ばれている。
この辺を聴くと、やっぱりJBの歌姫だなと納得してしまう。やっぱ良いわ。
ゴスペルのキャリアも髣髴とさせるパワフルな歌唱で、聴いているとノリノリになれる。
エタ・ジェイムスは50年代から亡くなる2012年まで息長く活躍したR&B歌手。
亡くなった年からエタへの追悼と思われるが、こちらはかなりブルージーに聴かせてくれる。
『Never Never Love A Married Man』はライナーノートに記載がないのだが、スウェーデンのジャズ・ピアニストであるベント・エゲルブラダとスコットランド人のベーシスト、フランシス・コーワンの作曲コンビが作ったものだ。
残念ながら原曲を誰が歌っていたのか、私には判らないが、この二人が組んでいた時期から察するに70年前後の作品と思われる。
スピードミーターの楽曲のうち、『No Man Worried』『You Got Me Started』はリア・キュリーの歌っていたものを録音しなおしたものである。
『Dragging Me Down』はどうやらアルバム『The Shakedown』からのもののようだが、最後を飾るにふさわしい盛り上がれる曲だ。

スピードミーターの方はバッキングに徹していてソロも抑えられ、ひたすら歌姫を煽っていく。
マーサとのマッチングは実に絶妙で、とても気持ちが良い。



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今週の一枚 Magnum / Fully Loaded

2013-07-07 23:43:21 | FUNKY MUSIC
今回紹介するのはMagnumの『Fully Loaded』。
こいつは所謂レア・グルーヴなのだが、名盤としての評価が高い。
しかも、レア・グルーヴと言われながら、現在は普通に流通しているので気楽に入手できる。
これは非常にあり難いことだ。

普通にマグナムというとイギリスのハード・ロック・バンドなのだが、こちらの世界のみ限定で、たった一枚で姿を消した幻のファンク・バンドという事になる。
こんなのがゴロゴロいたんだろうねえ。

マグナムは、ホーンを擁する8人編成のバンドである。
本とかネットとかいろいろ調べてみたのだが、レア・グルーヴの名盤を出したという事以外に全く情報がない。
ジャケットでのポジションや作曲者のクレジットから察するに、マイケル・グリーンとハロルド・グリーンの、恐らくは兄弟を中心に結成されたのだと思われる。
(あくまでも私の推測ですからね)
74年に本作を発表して、その後姿を消した彼らだが、少なくともマイケル・グリーンだけはエンジニアとして現在も活動しているようである。

肝心のアルバムだが、まるでアクション映画のサントラかと思わせるジャケにまずは目が行く。
一瞬勘違いして買う人いるって。
ジャケット上部にはさり気なく『FROM THE ORIGINAL MASTER RECORDINGS』という文字が。
もちろんこれも映画のサントラ盤を意識したデザイン上の遊びである。
70年代前半に既にこういう遊びをやってたんだねえ。

バラエティにも気をつけて作られている各曲だが、全体の雰囲気をかなり強引に例えるなら、JB'sにスライを絡ませたような感じと言えば伝わるだろうか。
各曲について書くと、『Evolution』、こいつの真っ黒いベース・リフと『エヴォッルーッションッヌァッ!』という歌い方がたまらない!
特に、ベースの休符の入り方がもうシビレる!
『Your Mind』は、結構凝ってる。コーラス・ワークで魅せる曲だが、仕掛け満載でブルース調からファンクに変貌する。
『Natural Juices』は、ロック調なリフに途中でサイケっぽくエフェクトをかけたホーンだのナレーションが入っていて、これはかなり面白い。裏にうっすら入ったオルガンも気持ちよい。
『It's the Music That Makes Us Do It』と『Funky Junky』は、踊れる事間違い無しのハッピーな楽曲。お勧め。
『Composition Seven』は、プログレッシヴな展開を見せる約10分のインスト大作。これだけで一つの映画っぽい。リズムはラテン系でひたすら押すのだが、途中で仕掛けを挟みながら徐々にリズムが盛り上がっていく。少し『処女航海』っぽい雰囲気も。

非常に心地よいグルーヴに包まれながら、一筋縄ではいかない仕掛けも施され、聴き所がふんだんにある良作と言って良いだろう。



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今週の一枚 D'Influence / London

2013-06-30 01:50:38 | FUNKY MUSIC
今週は、管理人の大好きなアシッド・ジャズからディー・インフルーエンスを紹介する。
ある意味もっともアシッド的なスタンスを持つバンドだ。

ディー・インフルーエンスは女性ヴォーカルのサラ・アン・ウェブを擁する4人グループで、アシッド・シーンの中でも長命だった。
ファースト・アルバムは1992年の『Good 4 We』、そして2002年の『D'Influence Presents D-Vas』まで合計4枚のアルバムを残している。
因みに彼らはイースト・ウェスト・アメリカと契約してアメリカにも進出したのだが、こちらの方は思うような成果を上げる事ができなかった。
だが、ほんの数バンドしか生き残れなったアシッド系アーティストの中で、90年代に6枚のシングルをUKでチャート・インさせたのも事実なのである。
そんな彼らのアルバムの中でもっとも評価の高かったのが3枚目である『London』である。

ディー・インフルーエンスは楽曲の大半をプログラミングで制作しているところが一つの特徴である。
他にプログラミング主体のアーティストは多数いたが、どういう訳かすぐに姿を消してしまった。
もっとも今は打ち込み主体が当たり前なのだと思うが、最終的にライヴ・パフォーマンスが出来るかどうかは大きな差があるのだと思う。
で、ディー・インフルーエンスの場合、確かに打ち込みなのだが、楽曲のキー・ファクターとなるヴォーカルの魅力と、思いのほか生々しいベース・パターンのセンスの良さが光っている。
バッキングを構成する要素の7割くらいはベースのリフなのだが、これが良い。
ちょっと参考にしてみたいくらい。
この上に乗っかるサラの歌声はハスキーでとても情感豊か。
決してパワーで押すタイプではないが、非常に雰囲気があるのだ。
バラード曲の『Falling』あたりはなかなか聴かせる。
もちろん、クラブ・シーンで活躍した彼らだけあって踊れる曲もバッチリ。
冒頭の『Hipnotize』は、シングルカットされた曲で、ミドル・テンポながら間の使い方が絶妙でかなり踊れる。
もう一つのシングル曲『Magic』はこれぞUKブラックという魅力に溢れたアップ・テンポの楽曲で、途中の仕掛けにもグッとくる。
『There Can Be』はオールド・スクールなR&Bが現代の音楽として作り直されたかのようだ。
『Running Way』はボッサ調のリリカルな一曲。途中の展開が少し捻ってある。
こういうのもクセになる。
前作、前々作よりも楽曲の幅が広がっているが、全体的には適度なユルさを持った、気持ちの良いアルバムだ。

『Hipnotize』はUKチャートで33位、『Magic』は45位を記録した。


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今週の一枚 Leslie Smith / Heartache

2013-06-23 23:11:15 | FUNKY MUSIC
今週ご紹介するのはLeslie Smithの『Heartache』。
金澤利和氏監修のLight Mellow's Choiceシリーズによる世界初CD化作品だ。

レスリー・スミスはクラッキンのヴォーカリストで、クラッキンの方も同一シリーズでCD化されているが、
こういう作品がCD化されるのは本当に嬉しい。
正直なところ、これは日本ならではの特権である。
日本人は英米にとどまらず、幅広く貪欲に海外の音楽を聴いており、
また『過去のスタイル』でさえも義理堅く愛する。
それに日本は古くから大衆音楽(芸能)が発展しており、例えばそれは単なる民謡だけではなく、
小唄に端唄、浪曲、詩吟、はては都都逸といったラップのようなものまであった。
そういう底の深さが現在の日本の豊かな音楽シーンを形作っているのだ。
(産業としての音楽は厳しい状況にあるとしてもだ)
金澤氏が熱意をもって再発に動いたのも、日本にはそれを待ってる人たちがいるという確信が持てる、
そんなバックボーンが日本にあるからだと思う。

話を戻すが、『Heartache』は82年の作品で、彼の初ソロ・アルバム。
クラッキンが商業的成功を収められず、活動停止。
セッション・メンバーとして活動している中での制作となったが、このアルバム発表後、レーベルから解雇。
よって、この作品も発表当時は成功とは行かなかった模様である。
だが、日本のAORファンは彼を見捨てなかったという訳ですな。

実際アルバムを聴いてみると、これは捨て曲無しの名盤だ。
制作はクラッキンのメンバーを中心に行なわれ、プロデュースはバネット&チューダコフ。
作曲陣にはデヴィッド・フォスターやジェイ・グレイドンも参加し、ネッド・ドヒニーも楽曲を提供。
ロック的な色彩の強かったクラッキンよりもトロトロのサウンドが展開される。
レスリー・スミスの歌声は伸びやかで美しく、楽曲にピッタリとマッチしている。
ライナー・ノートが充実しているので、敢えて多くは語りますまい。
AORファンは在庫のあるうちに買った方が良いですぞ。


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今週の一枚 The Whitefield Brothers / In The Raw

2013-06-09 22:33:45 | FUNKY MUSIC
最近、自転車が流行ってますが、私もレジャー用に自転車を買いました。
いわゆるクロス・バイクというヤツで、ガチのロードレーサーではありません。
あくまでも楽しく乗れれば良いので、自転車用のウェアを着る気もないし、さり気なくやりたいなと。
でも、パーツとかの組み合わせは少し気を使ったので、結構見た目良いかも。
ちょっとワクワクです。

さて、今回採り上げるのは適当に探して見つけた輸入盤なのだが…とか言って、これに限らずいつもそうじゃねえかって自分にツッコミを入れたくなった。
紹介するのはThe Whitefield Brothers『In The Raw』。
さてさて日本盤の出ていないこのバンド、何者なのか。

ホワイトフィールド・ブラザースは名前が示す通り、MuggyとJayの兄弟(?)を中心にしたバンドである。
公式サイトらしきものも無く、詳細は不明だ。
だが、メンバーを見てみると…ボスコー・マンはいるし、ニール・シュガーマンもいる。
本作も録音はデスコ・スタジオを使ってるし、レコード会社は違えどダップトーン絡みのバンドという事だ。

彼らが発表しているアルバムは合計2枚。
まず2002年にデビュー作『In The Raw』を発表。
これに新たに楽曲を加え、ジャケも曲順も変えて2008年に再発した。
なぜこれほどのブランクが開いたのかは不明だが、この後2010年に2ndアルバム『Earthology』を発表している。

今回紹介するのは再発した『In The Raw』という事になる。
ジャケットは14ページのライナーノートになっているが、最後の見開きまで文字が無く、アフリカの意匠を思わせるアートワークが印刷されている。
これも彼らの『作品』の一部なのである。
演奏を聴いてみると、ダップトーン系をすぐに想像させるローファイな音作り、アフロの香を漂わせたリズムに地を這うベース、全体を支配するサイケな雰囲気。
これはもうボスコー・マンがプロデュースしたThe Budos Bandに猛烈に近い。
他にThe Shaolin AfronautsとかMenahan Street Band辺りもそうだが、このサイケ感満載のドス黒いファンクが一つの潮流になっているようである。
ホワイトフィールド・ブラザースの個性を挙げてみると、ホーンのリヴァーブは思いっきりかかっているが、ギターのカッティングとオルガンが比較的前に出ていることだろう。
といっても『比較的』であって、地を這うベースと上モノのサイケな空気が全体を支配していることは言うまでも無い。
そして、途中に仕掛けは入るものの、これでもかというくらいのワンコード進行、1~2小節で完結するベースのリフでひたすら押しまくる。
これはもう独特のトランス感である。
切れ味とは一線を画した、アッチの世界に行ってみたい方は聴いてみても良いだろう。
因みに楽曲は全てインストだ。

それと、なぜかこのバンド、日本語に興味があるらしく、日本語のタイトルの楽曲を作っている。
本作では『Yakuba(役場)』という曲が収録されている。


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