本日の創業管理(Entrepreneurial Management)の授業では張幃(Zhang Wei)副教授自らが執筆した「海蘭信-乗風出海」というケーススタディが取り上げられた。「海蘭信(Highlander)」という会社は98年度清華大学MBA入学のアラムナイが創業した企業で、中国船舶にも設置が義務付けられたVDR(Voyage Data Recorder)市場では国内最大手に属する。創業者は99年9月まだ在学中に清華大学電子工学系の企業に総経理として招かれるが、00年8月に内部体制の問題で会社を追われ、その会社自体も解体する。ただその時に同じ会社でマネジメントだった清華大学MBA卒業生と共に、01年2月VDRに特化した「海蘭信(Highlander)」を創業することとなる。創業後は順風満帆からはほど遠い状況で、当初中国国内の全船舶に設置が義務付けられるはずだったVDRが一部船舶のみに限定されるという当局の政策転換があったり、中国VC黎明期でなかなか資金が集められなかったりと様々な困難が発生した。この時にVDR市場から撤退するという方法もあったが、この企業はより高付加価値の製品を作って国際市場を目指そうと技術力の強化をはかった。さらに国内でCOSCO(中国遠洋運輸集団総公司)という世界第二位の船舶運輸企業と資本提携を含めた戦略提携関係を構築したり、同業界大手のスウェーデン企業と中国国内に合弁生産基地を設立するなど生き残りを図った。海蘭信(Highlander)はこの間も国内市場を中心に地道にマーケティング活動を続け、ついには国内市場の35%を押さえることとなった。
授業中には「当局の政策転換の際に市場から撤退するべきではなかったのか」「戦略的提携関係を国内企業と構築する際の資本提携をどのように考えるか」「更なる発展を求める際に海蘭信(Highlander)は他企業を買収するべきか」といった問題に対して、活発な討論が行われた。この授業は中国語で行われているため、途中聞き取りにくい箇所が度々あったが、積極的にあてられるためひと時も気が抜けない。
実はこの授業には仕掛けがあり、学生に紛れて討論の最初から最後までを創業者が聞いており、最後にその内容について創業者自らが種明かしを行う。特にどのように困難な局面を乗り越えたのかという話は実に迫力に富んでおり、単に授業のケーススタディという枠を超えてその創業者の生き方そのものが伝わってくる瞬間であった。創業者は最後に今後の抱負を語ったが、マネジメントの現実に即した着実な目標(=コミットメント)が感じられ、このような優秀なアントレプレナーを多く抱える中国の底力を見せつけられた。中国は世界第二の創業投資市場に発展したが、創業はまさに国家の活力そのものであり、強いアントレプレナーシップが存在する限りこの国の未来はとてつもなく明るい。
※写真は清華大学MBAアラムナイでもある海蘭信(Highlander)創業者の申万秋(Shen Wanqiu)氏。
授業中には「当局の政策転換の際に市場から撤退するべきではなかったのか」「戦略的提携関係を国内企業と構築する際の資本提携をどのように考えるか」「更なる発展を求める際に海蘭信(Highlander)は他企業を買収するべきか」といった問題に対して、活発な討論が行われた。この授業は中国語で行われているため、途中聞き取りにくい箇所が度々あったが、積極的にあてられるためひと時も気が抜けない。
実はこの授業には仕掛けがあり、学生に紛れて討論の最初から最後までを創業者が聞いており、最後にその内容について創業者自らが種明かしを行う。特にどのように困難な局面を乗り越えたのかという話は実に迫力に富んでおり、単に授業のケーススタディという枠を超えてその創業者の生き方そのものが伝わってくる瞬間であった。創業者は最後に今後の抱負を語ったが、マネジメントの現実に即した着実な目標(=コミットメント)が感じられ、このような優秀なアントレプレナーを多く抱える中国の底力を見せつけられた。中国は世界第二の創業投資市場に発展したが、創業はまさに国家の活力そのものであり、強いアントレプレナーシップが存在する限りこの国の未来はとてつもなく明るい。
※写真は清華大学MBAアラムナイでもある海蘭信(Highlander)創業者の申万秋(Shen Wanqiu)氏。
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