一つは、松岡大臣の発言。
第二は、農業の構造問題。
「認定農業者(実名)は集落営農に参加すれば全て解決」という松岡大臣の発言。農政のこれまでの担い手育成を根底から覆す内容。
これは、農水省の方針転換かというものから、単に農協組織の票が欲しいだけの失言では、といったものまでいろいろ。
この発言社会問題になる可能性もあるが、マスコミにそれをとらえる政策通がいるとは思えない。
私は失言と思うが、失言とも思えないのは、農水省のこれまでの担い手論の変遷が変遷だから。
農水省の担い手政策は、もともと農業経営者育成政策。そのために認定農業者制度を作り、法人化を進めてきた。
それが19年度からの品目横断政策では、「認定農業者が不在の所では集落営農で」となり、いつの間にか、日本農業の担い手は「認定農業者と集落営農」となった。こうした脈絡でみると、今度は「認定農業者も集落農業に参加すればいい」となったとしても不思議ではない。
おやおやという感じだが、、、農水省もそこまで譲るとは思えない。
集落営農は、「認定農業者の不在な地域」とか、認定農業者がいる地域ではそれをじゃましないように「農地集積に特別要件を認めたり」といったことをやってきたのに、、、いまさら、「集落営農が担い手で、認定農業者はそれに参加すれば解決」となるなら、最初から認定農業者と競争して集落営農を作るんだ、といってくれた方が認定農業者にとってもはるかにわかりやすかったのではないか。
もう一つは構造問題。
市役所へ勤め、集落営農にも参加せず、しかし自分の田んぼだから農業をする。当然赤字。
あるいは、むかしからの棚田で耕作するのも大変。他の人は皆やめていった。隣は荒れ地。自分の息子も農業はやらない。こうした農業をどうする。これがNHKの番組の内容。内容は、個人の営農の権利を大事にしよう、農村での生活の権利といったもののようだった。
それはそれで結構だが、強い農業を作るのには、構造改革が必要。その際これらをどう考えるか。番組構成上何故登場したか不明。
私は別に農政課題とする必要はないと思っている。「棚田に関しては、そのまま」で、今までの保護以上の保護は必要ないのでは。平場の市役所勤務の人のケースもそう。そのままにしておいた方がいい。私的所有意識や営農権はいまのところそれなりに認めるより他ないから。これらは、構造改革、NHKのテーマからは内容的にはずしてOKのもの。番組がだれた。もしいうならこうした農業をもっと国民に開放しようということか。それも構造改革の一つ。農業は多様なのだから、いろいろあっていい、あったほうがいいい。
要は、「私的所有」に配慮しながら、農地修正のスピードを速めること。その手法でもっとも可能性の高い仕組みを作るには、次の三つの要件が必要と私は思うのだが。
第一は、認定農業者を中心とした関係者が市場原理に拠って、農地を集積することの加速。これを農地集積政策の真っ正面に据えること。しかし、今回これが、集落営農によってブレーキがかかった。
第二は、農地の利用を促すため、所有コストを高くする政策の導入。
その一つは補助金政策の転換が必要。
今の産地づくり資金等は、所有コストを安くし、所有にしがみつかせてしまう。例えば集落営農によって擬似大規模経営を作り、個々人に補助金を分配するというやり方もどうか。
今回の品目横断では、8万円が48万円になるという試算。
もう一つは、法政の改革。所有から利用への転換を図ること。
となると、自分で耕す場合には、採算が合えば、自分でやる。採算が合わない場合には、地代取得者になって、自分ではやらない。
第三には、農村では誰でも農業ができる環境作りが必要。
地域の農地には、老後農業や兼業農業、非農家への開放を促す農地などを必ず準備したらいいと思う。転作地などを利用し、地元農家なども参加できる市民農園であり、どんな中山間地でもこうした農園は必要ではないか。
第四に、市場原理で認定農業者が集めた農地の集団化事業。ここに、農業委員会や農協の役割がある。集落営農でもいいが、排除の論理ではなく、認定農業者のためという発想。もし、集団化が成功したら、、私的所有意識はもっと希薄になるだろう。
大事なのは、
農地はもっと公的に効率的に使わなくてはならないという意識を芽生えさせること。
昨日、「自分の農地は自分だけが使う、意欲やノウハウのある人や会社の農業参入には反対、自分で耕作できなくなったら放棄する」、では、なかなか解決策は見えない。と書いた。
市民農園や、棚田オーナー制は、オープンな農地利用をしようという動き。日本の資源を有効に活用としたら、もっとオープンにしていけばいいのでは。そのことによって、おそらく三方(所有者、利用者、税金を払う国民全体)得をするはずだ。
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