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生産調整は失敗する、だから市場シグナルの整備を  平野氏

自主米価格形成センターの元専務理事、平野宣氏が2月24日、都内で講演をした。優秀なお米やさんのグループ、、日米連のお米マイスター全国ネットワーク会議で。

市場のシグナルといった場合、どれが市場のシグナルになるか。
卸間売買等の、仲間市場が最も市場を反映しているという。
価格形成センターのもと専務なだけに、この指摘、未だに官製市場がはびこって、市場のシグナルが出ていないと当事者が証言したようなもの。

つまり市場シグナルを出すと言ってきた農水省、、未だにシグナルを出していないということ。

この点に関する平野氏の分析はおもしろい。
以下「商経アドバイス」2月28日から一部引用。

Ⅰ、市場シグナルはどれが使えるか?
①流通量の3-4割を扱う、全農の販売価格がわかればいいのだが、何故か非公表。3ヶ月毎の平均価格がラスト月の次々月に農水省から発表されている。しかし3ヶ月前の体温をシラされてもあまり役に立たない。
②コメ価格センターの好評価格も上場・落札数量が激減しているため指標性には不満。
③生産者の販売価格を農水省が農村物価として公表している。平均だけで、品種銘柄の内訳はないため、大筋の傾向しかわからない。
④卸・小売価格も農水省は毎月公表。特売価格も通常価格も一本で指標性に疑問。
⑤卸業者間など仲間取引価格をコメ専門誌が公表(商経アドバイス)しており、指標としては適当と考えられる。

この中で、価格センターは、かつては100万トン上場があったので指標性はあると言いたげ。

Ⅱ今後の価格予測。
以下の理由で1000円程度下がる。
①消費者の所得減少、②コメの支出優先順位は後順位で、カネがなくなれば買わない。③ガソリン等値上げラッシュでそちらに支出が行く、④量販店、業務用筋の要求が厳しくなる

Ⅲ、生産中止判断分岐点
だが、価格が下がっても売れれば作る。生産者のコメ生産続行意欲が強い。
生産中止判断分岐点は9500円とした。
根拠は、1-2ha層の自家労賃抜きコスト(物材費のみ)が9585円であることという。コメの値段がこれより低くなれば、やめると言うこと。


以下感想と疑問
正直、勉強になった。

ただ、9500円が生産中止判断分岐点だろうか?
農業者は不合理の合理の行動を取る。私は、かつて過剰米処理の価格を8千円と主張したことがある(これは実際には3千円になり、全く過剰処理機能がなくなったのだが、、、)。
8千円という価格は当時は、売れなければこれでもしょうがないとして、過剰処理機構、現在の米穀供給安定支援機構に売っても良いと判断する額)

生産調整は失敗すると断定。
それ故に市場シグナルをきっちり出せという平野氏の提案はその通りだと思う。卸の仲間取引価格が市場価格というのも、かつて市場原理の導入で、農水省での勉強会でこれを参考にし、直線的玉流通から複線的、ネットワーク型の物流に変えなければと提案していたものだが、平野氏もその妥当性を市場シグナルを提供しているからと言うことで認めている格好になっている。
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