伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

自分で出した伊方原発パブコメの内容紹介

2015-06-19 22:48:28 | 運動の紹介

116、424ページ
意見:
「新規制基準に合格の原発は安全」ではない、と裁判所から待ったが掛かりました(高浜仮処分決定)。確率論的リスク評価の手法を使って、大規模汚染事故が発生する確率が「100万年に1回」以下である事を、原子力規制委員会自身が保証してください。

理由:
 平成25年第1回の委員会会合ではその定量的な安全性の目標を立てているのですから、その基準を満たしていることを電力会社に証明させるべきですが、事業者側はまだこの手法は研究段階であるとして、伊方原発3号機をモデルケースとしての検討を開始したところです。
ですので、委員会自身が確率論的リスク評価を実施してこの確率が100万年に1回以下であることを確認してください。そのようなプロセス抜きに川内、高浜、伊方と続けて合格を決めてきたこと自体が、無責任で非常識です。


34ページ

意見:
 審議が不十分で終わっていません。中央構造線は16世紀にも動いて大きな津波を起こした、慶長豊後地震は実は慶長豊予地震だった、との都司説をきちんと検証すべきです、電力会社の推測に基づく反論だけで議論を終結させているのは問題でした。

理由:
 2012年の都司氏の講演で聞きましたが、都司氏の説については、上関が山口県の地名であるとの誤読だろう、という四電の推測に基づく反論だけで議論を終結させていましたが、きちんと、他の地域、つまり離れた宇和島での地震動の規模から、中央構造線のその距離が動いたものと推定したことは、下記の講演ビデオから明らかです、確認ください。
そして都司氏本人の主張をきちんと聞き取りをするべきです。

Youtube まやさんによる動画の45分~ と1時間15分~ の2箇所
https://www.youtube.com/watch?v=jS2BfZDc4nc&list=FLvy2Ma44LOzTjaGrBe4Mlug


112ページ
意見:
中央構造線沿いの四電高圧送電網は多重防護と言えず、送電網の多重化についての議論が不十分です。具体的に3系統について並列多重化させて危険性を減らしていると言っても、その上流側の送電網が同じ地震ですべて破壊される怖れがありますから多重化の評価をやり直すべきです。

理由:
 送電網が並列して3系統ある、多重化されている、といってもその3系統全てが大きく見ると中央構造線活断層帯に並行して走っています、例えば中央構造線活断層帯の西条から伊方沖までの130km区間が一体となって動き、3系統の鉄塔や架線および変電所が同時に被災する場合を想定すれば、多重化されて安全になっているとはいえません。(この130km一体の連動時評価もS級の最重要機器については評価済みです。)
特に地図を見ると明らかですが、四国電力および電源開発の変電所は、川内変電所は、北方断層から1.5km位の距離にあり、電源開発の西条変電所は、岡村断層が敷地内にあり、そして、東予変電所(土居町)も、畑野断層が敷地内にあります。
四国電力の高圧送電網はこのような弱点を複数持っている脆弱なシステムなので、多重防護にはなっていない、ということが明らかです。
↓こちらは国土地理院の地図に、活断層マップを重ねた物。中央構造線活断層帯のありかが地図上で分かります。
http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/10_shikoku.html


424ページ
意見:
 IAEAはその安全哲学である「5層の深層防護」の第5層を「原子力防災」と位置づけており、これが世界水準の安全哲学なのに、日本の原子力規制委員会は(法律の枠組みにもとづいて)第5層を全く別のものとして扱っています。5層目が「深層」防護になっているのであれば、その前段否定の論理に従って、4層目の過酷事故収束策が失敗した場合を想定して避難計画を作るべきところですが、過酷事故収束が成功した場合の放射能放出量である100テラベクレル以下に抑えられるという前提に基づいて避難計画が作られています。なので政府の避難計画が絵に描いた餅なのです。法律の枠組みから変えることが必要です。

理由:深層防護は前段否定の論理に基づくものであるが、前段(第4層)の成功を元に避難計画を指導している。


119、424ページ
意見:
 各種事故シーケンスの中で、最悪のケースとしてフクシマ級の大規模汚染を引き起こす事態を、電力会社は想定できていません(5.1テラベクレル放出が最悪のケースとのこと)。
しかし「リスクがゼロということはあり得ない(田中委員長談)」のですから、フクシマ級の汚染事態を想定できないのは電力会社の技術能力不足が原因とみなすべきです、そのような、想定すべきフクシマ級の汚染を起こす事故シーケンスが示されていないものは、不合格とすべきです。

理由:
 確率論的リスク評価を採用するに際しては、想定もれをすることなく事故シーケンスを実際に検討することで、初めて合格を出せるものになるわけですが、その個別の事故シーケンスが不明であっては、確率を算出することも不可能で、収束成功の確率自体が、正しいかどうか分かりません。
 というのも、想定から抜けている大規模汚染事故シーケンスが発生する確率を、過酷事故収束策の発生確率から差し引いた値が、真の収束成功の確率値になるわけですから。
 どんなに小さな数字と思われようが、収束策失敗のシーケンスは全て書き上げて確率も算出しておくことができないと、現在出している5.1テラベクレルの放出事故の発生確率##(100万年に1回以下という基準と対比すべき数字)を算出することが論理的にできません。


108、112、115、375、424ページ
意見:
 原発さよなら四国ネットワークからの公開質問状で、四国電力に南海トラフ巨大地震の時の長期広域停電問題にきちんと対処するよう、つまりBCP(緊急時事業継続計画)の中にこの問題を想定するよう求めましたが、具体的な回答はなく、この問題に正面から向き合おうとする意思がありません。もし確率論的リスク評価を、この南海トラフ巨大地震というハザードを対象に実施すれば、到底再稼働は不可能となると思われます。
 この、電力安定供給の義務を無視し社会的責任を認識しない企業に、原発の運転を継続させるべきではありません。

理由:
 南海トラフ巨大地震の時、長期広域停電が起こり、外部電源喪失から伊方原発メルトダウンになるシナリオがあることは、すでに団体としてのハガキで送らせていただいています。以下再掲。
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ページ番号:108、112、115、375ページ
意見:福島原発事故は全電源喪失によって引き起こされたのですから、伊方原発が8ヶ月間の外部電源喪失に耐えて、メルトダウンを起こさない事を確認すべきです。

理由:来る南海トラフ巨大地震の時、四国では火力発電所の津波被災で8ヶ月間以上の長期広域停電が警告されているのです。新規制基準の中で外部電源喪失への対応としては一週間程度耐えればよい、とする基準がそもそも不適切です。
 資料:関西大学社会安全センター紀要4号の論文「南海トラフ巨大地震における中・長期的な電力需給ギャップ推計方法の一試案」
http://www.kansai-u.ac.jp/Fc_ss/common/pdf/bulletin004_15.pdf
と、原発さよなら四国ネットワークの関連資料
http://bit.ly/1AyOMYF 
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 南海トラフ巨大地震が外部電源喪失を引き起こす確率は、以下のように算定できることと思われます。
 四国は、今後30年に70%以上の確率で南海地震に遭遇することになります。これから30年間動かしかねない伊方原発3号機ですから、運転中に遭遇する確率は0.7。
 その遭遇する南海地震が最大規模の南海トラフ巨大地震である確率は、過去の実績から2000年間に1回とすれば通常の南海地震の間隔が100~150年に1回ですから、さらに1/20~3/40でしょう。

 両者を掛け合わせて、0.7/20=0.035つまり3.5%から、0.7×3/40=0.0525つまり5.25%の確率で、外部電源喪失が5ヶ月続く事象が起こる、と想定できますが、この状態ではたして100万年に一回の大規模汚染事故という規制委員会の安全目標数値を満足できるでしょうか?とてもできるとは思えません。

 この問題について、電力会社は真剣に取り組もうとしていません。
 確率論的リスク評価を行った場合にはアウトになる可能性が高い伊方原発を、確率論的リスク評価を抜きの今なら合格にしてもらえる、と問題を無視して合格の実績を作ろう、としているのです。
このような社会的責任に背を向けた企業に、原発を運転させてはなりません。
南海トラフ巨大地震で火力発電所が全て5ヶ月以上被災し、他の電力会社からも融通をしてもらえなくなる問題は、それ単独でも地震による災害からの復興を著しく厳しくさせる問題であり、本来原発の再稼働といった課題は先送りにしてでも対応してもらうべき問題ですが、全く問題を無視しようとする姿勢が許せません。



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