バンマスの独り言 (igakun-bass)

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又吉直樹氏の受賞報道に違和感

2015年07月20日 | 本・読書・文学
お笑い番組は、正直なところ、あまり積極的には見ていません。

それでも、TVをつけて何か見ようかなとチャンネルをサーフィンしているうちにそんな番組に出会うことがあります。
面白い話をしているのでそのまま数分聞いているうちに、彼ら・彼女らはどれほど大変な思いをしてこんな「ネタ」を作っているんだろうとその才能や努力に頭が下がる思いをすることがあります。
もちろんその中にはとるに足らないドタバタや一発ギャグ的なあまり面白くないものもありますが・・・。

それにしても人を笑わせることの大変さ、ネタを作る際の周到な準備、知識、感性など、お笑いさんたちはいずれもすばらしい才能の持ち主が多いのは改めて言う必要はありませんよね。

先日、そんなお笑いさんの一人である又吉直樹氏の芥川賞受賞のニュースが全国を席巻しました。

実は、僕は彼の今回の受賞作をかなり早い段階で読んでいました。さっき書いたようにお笑いのネタを作るような人はかなりの洞察力というか人生のヒダの奥底まで観察する力のある人が多いと好意的に思っていたので、そんな彼らの一人が書いた作品、それもエッセイとか雑感とかとは違う「純文学」としての作品の善し悪しを自分自身で感じてみようと思ったのが購読理由でした。

当初はこれが芥川賞を取るとか取れないとか、そんなことはまったく考えずにいました。

しかしどこかの局の「情熱大陸」とかいう番組のプロデューサーはこの本が発売された時すぐにこれはすごい作品だと感じ、「作者」のドキュメンタリー番組を作るべくすぐに取材を始めた、と言っていました。彼の予想は的中し、今、今までの膨大な画像の編集を行っているそうです。僕にはそういった先見の明なんて無かったけれど、又吉直樹氏をそういう目でみて評価していた人も少なからずいたのですね。

芥川賞の発表があった日を前後して、多くの「芸能番組」が大きく彼、又吉直樹氏を取り上げましたが、その多くが「お笑いコンビ・ピースの又吉」が芸人として初めて受賞したとのスタンスでした。

各局ともこの偉大な賞を受賞した作家:又吉直樹氏を、お笑い芸人が・・・、と強調したものの言い方で報道していました。
僕はこの姿勢がどうにも鼻もちならなくて、さも芸人が授賞することが驚くべきことのような報道陣の不遜な態度に少し腹が立ちました。

彼ら、笑いのネタをいつも考えている人たちは芸人である前に作家なのです。作家が芥川賞を取ることになんの違和感がありますか?
TV局など、いつもお笑いで番組を制作している連中はそんな彼らに尊敬の気持ちはあるのでしょうか。そう思ってしまうような又吉直樹氏への態度です。

「芥川もこの髪型は嫌いだろう」というピース・又吉のあまり陽気な雰囲気ではないパーソナリティを小馬鹿にした物言いやインタビューの低俗さ(例えば今の気持ちを5・7・5で表してくれ、etc)を、この芥川賞作家はきっと心の奥底で冷やかに笑い飛ばしているでしょう。

最後に、報道各社は文学賞を同時に受賞した他の二人の作家も同じレベルの称賛記事を書くべきです。
今回たまたま有名人が受章したことで二人の霞み具合がちょっと気の毒でした。

同時受賞の羽田圭介氏、直木賞受賞の東山彰良氏、そして又吉直樹氏、おめでとうございました。

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