バンマスの独り言 (igakun-bass)

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不思議なライブ at UZU

2012年06月10日 | バンド活動・ライブ関連
昨日、関東は梅雨入りした。

と同時に今思っても不思議な体験をしたとしか言えないライブから一週間が過ぎた。

先月に続くバンドのライブ。慣れた新宿のライブハウスから今度は初めての場所での演奏だった。
東京都福生市(「ふっさ」と読む)。JR青梅線の福生駅かJR八高線の東福生駅を利用してアクセスする。
思えば梅雨の走りだったのだろう。当日(6/2)の天気はどんよりとした曇り空。現地に向かう途中で小雨もあったくらいの寂しい気配。

そんな中で僕らバンドのメンバーは福生駅で待ち合わせた。
軽く本番前の食事&ビールを済ませ、歩いてその会場「UZU(ウズ)」へと向かう。10分も歩かず到着。これが東福生駅なら徒歩1分だったが電車の本数を考え、ちょっと歩く方を選択した。

閑静な住宅街。およそライブハウスなどがあるとは到底思えない、人通りもない場所にその店はあった。

木造の建物の外壁にはこれまた周囲には融け込まないようなペイントで店名などが書かれていて赤いネオンサインもある。なんとも今風でないたたずまいに一同、異次元空間に入ってしまった錯覚を持つ。

店内は寺院の須弥壇(仏さまのいる一段高くなった場所)を思わせるステージが正面奥にある。
一般的なステージ段差なのになぜ寺院を例えに使ったかと言うとこのステージには何かオーラのような背後霊のような何かがしっかりと演奏者を守ってくれるという雰囲気を<僕は>感じたからだ。

きっとこれはその長い歴史にあるのだろう。木壁やテーブル、内装とすべてが経年変化をしておりレトロである。特にいくつかある大きなテーブルの角は柔らかく自然にアールが付いていて座る者にとても優しい。天井は威圧感のない程よい高さを保ち、床も足にやさしい。

完全に木造の一戸建て、しかも本格的な防音もしていないから音がかなり外に漏れるらしい。
近所からの苦情やパトカー出動も過去にはあったという。もっともこのお店が出来た頃の写真を見ると、周囲は原っぱだけだったようだから、本来は後から来た住民が文句を言える立場ではないのだが、そこは健全なコミュニティを保つために必要な妥協がなければならないのだろう。
オーナーは僕らの出す音量に神経を使った。

結果、爆音で知られる?僕らのバンドは近年には無かった「音絞り」をした。「ベースさん、もっと音を硬めにして音を下げて」とか「ギターさん、もっと、そして、もっと音を下げて」なんて指示が来た。
音量を下げることによる音質面での不安はあったのだが、その場にふさわしい音量というものがあるのだと、当たり前のことだが、すぐ理解した。

後日録音を聞いたがすばらしい音量バランスで演奏されたことが客観的に分かった。



バンドはウェブページでこの日のライブを告知していた。しかし場所の遠さ(一般的な人にとって)がネックになり「声掛け、お誘い」は一切しなかった。
なのでこのライブは、言ってみれば「公開練習」のような趣となった。
それでも来ていただいたお客さんはいて、ゆったりとのんびりと少人数ながら僕らとの時間を過ごしてくれた。

一週間が経ち、今あのライブを思い出すと不思議な感覚に襲われる。
「本当に僕らはあの場所でライブをやったんだろうか?」という感覚だ。
言っては失礼だが立地は完全に場末のイメージである。でもトム・ウエイツが飲んだくれて数人の前でシークレット・ライブをピアノだけで行なうようなレトロで物悲しい雰囲気がある。

少ない人数の拍手をもらい、ステージを下りてビールを飲みウイスキーを飲む。
そして硬めのパンで作られたホットドックを食べる。
ここは横田基地が近く、時にはアメリカンな雰囲気が漂っていたと聞く。さもあらん、福生は兵隊さんが闊歩していた街。今でも異国風な店構えの飲み屋が福生駅近くにはいくつもあったのを帰路に確認できた。
でもこのUZUはちょっと違う。アメリカンな中にちょっとシックなヨーロピアン・テイストを感じる。
ほの暗い店内はまるで異次元空間のように周囲から隔絶されていた。



思えば遠くへ来たもんだ・・・テーブルの柔らかなカーブを手でさすりながらそう思った。

そして、「思えば不思議なライブをしたもんだ」という気持ちが6月の生温かい空気感の中でどんどん大きくなっていく。

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