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五代目の日記

創業江戸慶応年間の神田一政鮨。五代目店主のお魚の話、お酒の話、釣りの話。もちろんお得情報も。

すし飯

2012-09-19 14:25:40 | 寿司のお話
今日は、すし飯のお話。
写真は、うちの店のすし飯ですが、白飯より色が付いています。

この色付きのすし飯は、江戸時代からのなごりなんです。

江戸時代も安定期に入り、商人が力をつけてきて、贅沢をしてきました。
ただ時代は、武家の時代、あまりあからさまな贅沢で、武家に睨まれるのは、困った事です。

そこで見た目は、玄米に近い米を使っていますとばかり、赤酢を使って色付きのすし飯としていたそうです。

今では、白米のまますし飯を使っていますが、当時に贅沢をしていた人達は、白米をもう少し余分について、すべすべのお米をすし飯に使用していたみたいです。
お酒でいう所の大吟醸状態です。
普通の白米よりすべすべの米を使って、見た目は玄米のように、武家に気を使いながら、贅沢をしていた江戸の商人の文化なのでしょうか。


写真のお酢が赤酢です。お米で作っているお酢です。

うちの店のすし飯は、宮城県産ササニシキを使用しています。

合わせ酢は、天日塩を乾煎りして赤酢とごく少量の砂糖と合わせて使っています。

関西のすし屋さんは、透明に近い酢を使って、砂糖の量が多いので、ピカピカきれいなすし飯になっていると思います。

今では、江戸前のすし屋でも、赤酢を使わない店もありますが、うちの店は、江戸時代からの伝統のまま赤酢を使っています。

昔から比べると、塩の量などは、時代に合わせて減らしていますが、‥‥
そんなすし飯を召し上がりながら、ちょっと江戸時代を考えてみたりするのも、楽しいのではないでしょうか。

本日も平常通り営業しております。

寒くなってくると‥‥‥

2011-11-10 11:30:16 | 寿司のお話
ちょっと寒くなってきましたね。

昔から、寒くなってくる時期は、景気がよい時でも、寿司屋は暇になってしまいます。

たぶん感覚の問題だと思いますが、寿司屋のイメージは、お刺身やにぎりであまり温かい食べ物の感じがないからでしょう。

お鍋やおでん、お汁のある食べ物さんに足が向いてしまうみたいですね。
寒さに慣れてしまえば、またお客さんの足も戻ってきてくれるのですが‥‥‥

ちょっと足が遠のいてしまっている寿司屋ですが、今からの時期は、美味しい物がいっぱいです。
青森県大間産の黒まぐろをはじめに、江戸前の活けひらめ、〆さばも脂が乗ってきましたし、いくらも美味しく醤油漬になっています。

白魚の卵とじや自家製柳がれいの一夜干しなど、温かい献立もご用意しております。

ちょっと寒さを我慢して頂いて、ご来店お待ちしております。

本日も、平常通り営業いたしております。

伝統の味

2011-05-24 12:03:10 | 寿司のお話
今日は、煮あなごのお話です。

釣りの方では、今の時期は、江戸前のあなご釣りの季節ですが、今年は不漁年のようで、あまり釣れていません。

市場にも同様で、江戸前あなごの入荷は、少ない状態です。

江戸前あなごは、皮めがやわらかく、この時期のあなごは、脂が乗っていて、たいへん美味しいと、言われています。

このようなよい食材があって、発展していった江戸前すしで、やはり代表格といえば、煮あなごでしょう。

関西方面と江戸前では、あなごの料理方法や食感の違いは、あると思います。

簡単に言うと、関西方面は、ドライな感じ。江戸前は、ウエットな感じでお口の中でとろけるようなイメージで仕込みをしています。

江戸前の煮あなごは、市場に活けで入荷してくるあなごを活けじめにして持ち帰り、あなごか死後硬直がかかる前に、仕込みをして煮上げます。

このようにしないと、ふっくらとした煮上がりにはなりません。

あとは、煮汁。
たっぷりの煮汁で煮上げるのもコツのひとつでしょう。

煮汁は、伝統の味です。一回ずつ捨てていたのでは、コクのある味にはなりません。

昔から継ぎ足して、味を整えて使っています。
うなぎ屋さんがよく言っているタレと同じような感じです。

この煮汁から「つめ」(あまだれ)も作っています。

釣り人でも、相当いい感じで煮あなごを作っている人もいますが、やはり寿司屋の味とは、ちょっと違うような気がします。

煮上がりすぐは、そのまま。
ちょっと冷えてしまったら、ちょっと焼いて上げると美味しく召し上がって頂けます。

ぜひ、江戸前あなごをご賞味ください。

本日も平常通り営業しております。

色あい

2011-05-21 14:18:16 | 寿司のお話
今日は、玉子焼のお話です。

寿司屋の玉子焼は、海老とか白身魚が入っていないといけないと三代目はよく言っていました。

三代目から教えられた、芝海老入りの玉子焼を今でもお出ししていますが、先代もたまに三つ葉入りの玉子焼も作っていました。

材料も焼き方もいつもと同じで、色あいに三つ葉を入れています。

卵の黄色が三つ葉の緑色で際立つ感じの仕上がりになります。

三つ葉が苦手なお客様もいらっしゃいますので、たまにしか作りませんが、三つ葉の香りもなかなかよいものです。

本日は、夜の営業を早めに終わらせて頂く場合があります。

ご来店のご予定の方は、ご連絡頂ければ幸いです。

ご面倒おかけしますが、よろしくお願いいたします。

新ガリ

2011-05-20 11:23:54 | 寿司のお話
今日は、がりのお話です。

がりは、生姜を薄切りにして、酢漬けした物です。

ガリガリ食感だからガリと呼ばれるようになった説と、生姜を薄く削る料理器具ががり台と言ってその名前からガリになったという説があります。
にぎりを召し上がって頂く時に、違ったお魚の間にガリを食べる。お口の中がリフレッシュ出来てよいと思います。

近年生姜は、外国産が中心で、このガリも外国で加工してくる物が主流です。

うちの店では、国産のガリを使用しています。

今年も新生姜、新ガリの季節となりました。

この時期は、生姜の辛みも少しおさまって、さわやかな味わいとなります。

店では、自家製で赤酢、砂糖のみで酢漬けしています。

市販のガリより、ちょっと甘みが少ないかもしれませんが、お口の中のリフレッシュにはもってこい。

あまりまとめて召し上がると、ちょっと咽せる事があるかもしれませんから、ご注意ください。

生姜も国産と外国産では、味が違いますよ。


本日も平常通り営業しております。

江戸前寿司のすし種

2010-03-15 14:23:43 | 寿司のお話
今日は、江戸前寿司のすし種のお話です。

江戸前寿司で原点的なすし種といえば、やはりこはだでしょう。

昔、冷蔵設備が発達していなかった時に、保存の意味合いで発達していった技法があります。

こはだ、〆あじ、春子(小鯛)などの酢じめしたもの。

穴子、煮いか、煮はまぐりなどの煮たもの。

玉子焼き、かんぴょう、おぼろなどのちょっと料理したもの。

まぐろの赤身を醤油づけにした「づけ」と呼ばれているものがあります。
初めは、保存の意味合いが強かったのですが、近頃では、魚が鮮度良く入荷しますし、冷蔵設備も良くなっていますので、仕込みの仕方などに変化があります。

といっても、昔からの仕事を否定している訳ではなく、素材の美味しさを引き出すように考えての仕込みをするように考えています。

このこはだに関しても、私が仕事を初めた約20年前とは、塩をする時間、酢じめする時間がずいぶん変わっています。

昔は、どちらかというと、酢でしっかりとしまった感じで、今は、あまり酢を感じないフワッとした感じに変わっています。
今の方が、こはだその物の味を楽しんで頂けると思っています。

ただ、あまり他の調味料などを使い、美味しくなればOKというような仕事は、あまりしたくないです。

例えば、にぎりにマヨネーズを使うような仕事はしませんね。

酢めしとマヨネーズ、あまりかけ離れた味ではないとは思いますが、店ではねぇ‥‥‥

ご自宅で手巻き寿司を召し上がる時に、お試しくだされば良いと思っています。

ここでいろいろな産地のこんな魚を使っていますとお話をさせて頂いています。

ご来店なさって頂ける方も、そうでない方も、魚がどの辺でとれて、こんな感じなのか、わかって頂ければ、良いと思っています。

別に他の産地でも良い物もありますし、‥‥‥

うちの店では、こんな感じですとの紹介なんです。

産地自慢とか、高い魚は美味しくてあたり前とか、言っている人がいますが、そんな事はぜんぜん考えていません。

市場には、いろいろな魚があります。
そこの中で気に入った魚を仕入れて、その魚の素材の味を引き出す仕込みをして美味しく召し上がって頂こうと思っています。


昔の仕込みという、昔のこはだを知っているお客さんは少なくなってしまいましたが、江戸前寿司がみなさんに普及した時には、天秤棒を担いだひき売りや屋台での商売だったそうです。

その時から、こはだのにぎりは、定番メニューです。

こはだの寿司でも食べて、江戸時代を味わって頂くのも良いと思います。

変遷

2009-10-28 14:14:34 | 寿司のお話
今日は、パンダのえさとして有名な笹の葉のお話です。

この笹の葉、クマ笹と言います。
漢字で書くと「隈笹」とか「熊笹」です。
「隈笹」は、夏までは緑だった葉が秋には、白い隈どりができるのでついたと言われています。

「熊笹」は、クマ笹の繁る所に良く熊が現れ、クマ笹を食べる事からついたと言われています。

隈笹、熊笹と漢字表記は違いますが、どちらも同じクマ笹です。

クマ笹は、日本の歴史をひもといてみると、神代から神聖なものとして扱われていたそうです。

天照大神が天の岩屋に姿を隠した時に、技芸の神様が、天の香具山の小竹葉(ささは)を持って、舞い踊ったと記載が残っているそうです。

いまでも、地鎮祭などでは、四方に忌竹を立て、しめ縄を張りめぐらしたり、七夕の宵に竹葉に願い事の短冊をつけるなど、笹は神聖なものとして扱われています。

さて、これからが本題。
富山名産のます寿司は、くま笹で寿司全部を包んでありますね。
これは、ます寿司を腐りにくくしたり、寿司の水分管理をしたものです。

くま笹には、防腐作用があるそうです。

寿司の他にも、ちまきや笹だんごなどにも使われています。

ます寿司のように使われてきた、くま笹ですが、だんだん装飾的な目的で使われるようになってまいりました。
うちの店では、折詰を作らせて頂く時には、本物のくま笹を使っています。

装飾的な意味合いもありますが、昔から言い伝えられている防腐作用や水分管理も考えています。

もちろん折詰の調製には、気を使いできるだけ早く召し上がって頂きたいものですが、その召し上がって頂ける時間まで、なるべく新鮮な状態であって美味しくと思っています。
今の時代、くま笹はどうせ食べないものだからと、ビニールでできたハランを使っている人もいます。

水分管理の為だけにビニール製のハランを使うなら、ラップやフィルムシートなどの方が使い勝手が良いかもしれません。

そして、ビニール製のハランは、せっかくな高級な寿司だとしても、なにか高級感を感じられないような気が、私はします。


寿司が一般大衆に支持されるようになった起源は、屋台の店からです。

都心の寿司屋は、どちらかというと、カウンター中心のあまり大きくない店が多いです。
中庭があったりするような店ではありませんが、仕事は言い伝えを守りながら、堅実にいきたいと思っています。

玉子焼きにお醤油をつける? つけない?

2009-10-08 17:51:06 | 寿司のお話
今朝は、風雨でラッシュ時間たいへんでしたね。
お勤めのみなさま、ご苦労さまでした。

うちの店の近くの飲食店でも、店員さんが店に来られずランチタイムは、お休みした店も数多くありました。

とりあえず、東京ではあまり深刻な被害はなかったようで、なによりです。

さて、今日は玉子焼きのお話です。

玉子焼きのにぎりを召し上がる時に、お醤油をつけますか。それともそのまま召し上がっていますか?

私は、どちらでもお好きな召し上がり方をして頂けたらと思っています。

昔の食通と言われる方は、寿司屋で一番初めに玉子焼きのにぎりを注文したそうです。

そして、その玉子焼きを食べて寿司屋の良し悪しを判断すると聞いた事があります。

確かに、玉子焼きをみれば、自家製か仕入れた物か、自家製なら、どのような味付けをして、焼き加減などで板前の力量を判断できます。

そして、シャリの塩梅も、よくわかってもらえると思います。

一番初めに玉子焼きを頼むと板前が嫌がるかな?とお客さんに聞かれた事がありますが、私は別にお好きな召し上がり方をするのがよいと思うので嫌ではありません。

一番初めに玉子焼きを頼んだから、ツウなんでしょう?と言われるお客さんがいらっしゃいました。

私は、まあ召し上がってからお話しましょうと、お客さんに‥‥‥
そのお客さん、玉子焼きのにぎりにお醤油をべったりつけて召し上がっていました。

昔の食通の方は、玉子焼きのにぎりに、お醤油をつけないで、微妙な味まで比較し、そこの店の良し悪しを判断したそうです。

この話を、お客さんにお話したところ、食通ってたいへんなんだなぁ~ですって。

別に、寿司なんていう物は、好きな物を好きなだけ、たのむ順番も気にせずに召し上がって頂きたいと思っています。

ツウになるといろいろな作法があるそうです。

ツウにならなくとも、ご自分の好きな召し上がり方をお楽しみ頂く方が、寿司屋を満喫出来ると私は思っています。

魚の産地を先に聞く?それとも後で聞く?

2009-10-02 18:23:26 | 寿司のお話
今日は、お客様お話です。

うちの店のご常連さんで、かわはぎの肝和えを召し上がって、産地を当てる方がいらっしゃいます。

私は、釣りが趣味で、その中でもかわはぎ釣りが好きです。

釣りに行ってかわはぎが釣れたらそのご常連さんにお出ししていました。

だいたい釣り塲は、東京湾内、剣崎から城ヶ島、葉山位の三浦方面、真鶴や宇佐美といった感じの三方向が多いです。

はじめにお出しした時には、釣れた場所をお教えしましたが、回数を重ねるに従って、その三方向の場所を当てられるようになられました。

かわはぎの身のしっとり加減、肝の脂ののり具合、肝和えの中の雑味の有無などで総合評価しているそうです。
板前は、魚をさわっていますから、お客様方よりも、魚に関しての情報があるので、産地を当てられる可能性は大きいと思いますが、召し上がって頂いただけで、産地がわかるのは、すごい事だと思います。

そのお客様は、ほかの寿司種でも召し上がって頂いた後に産地を聞かれます。

産地に興味をお持ちなお客様ですが、美味かったから産地を聞くのだそうです。

決して産地やブランド魚にとらわれないで、召し上がって頂いているお客様です。

かたや、その日のお品書きが産地表示付きで出て来るお店が良いという話も聞きます。

こだわって仕入れをしていますよという演出なのでしょうが、私は、産地やブランドで仕入れはしないスタイルなので、産地をあまり前面に出したくありません。

召し上がって頂いて、美味しいからどこ産なの?と言った会話を大切にしたいと思っています。

せっかくカウンターに座って頂いたのに、お品書きばかり見られていてもつまらないのではと思っています。

例えば、大間産のまぐろだって美味しい物とまあまあの物があるんです。

大間産のまぐろは、美味しい物が多いですが、全部が良い魚だとは限りません。

前からお話させて頂いているように、産地よりも魚の本質を見て、魚を選ばないといけないと思っています。

お客様方のお好みですから、産地を先に聞くか?後に聞くか?

よくわかっているお客様方には、低次元のお話で申し訳ありませんでした。

肝心なのは、産地じゃなくて、魚の美味しさだと思います。

旬の魚のお話やこの時期は、どこの産地が良いかなどなど、お客様とお話を大切にしていきたいと思っています。

お気軽にお話してください。

寿司屋カウンターデビュー

2009-09-08 20:03:54 | 寿司のお話
今日は、お客様のお話です。

家族連れで、お客様ご来店です。

お嬢さんは、幼稚園の年長さん。
回らない寿司屋、そしてカウンターは、初めてだそうです。

ちょっと恥ずかしかったのか、はじめはご注文頂く声も小さかったのですが、最後には、しっかりお話して頂きました。

回転すしもいいけど、板前の手元を見ながら、楽しかったそうです。

お子様は、お酒も飲んでいないし、タバコも吸わないから、味覚がまだピュアな状態ですね。

ブランド品の魚だどうのだとも言わないし、美味しさを判断してくれます。

回転すしも楽しいし、ここのお店も美味しいしと、評価を頂きました。

いつも、いつも回らない寿司屋で食べてくださいとは、思っていませんが、たまには回らない寿司屋でもいいんじゃないでしょうか。
これは、私の独り言ですが‥‥‥

回らない寿司屋デビューのお嬢様、江戸前のあなごのにぎりが美味しかったそうです。

なかなか、うれしいお言葉に、仕事をさせて頂いて、ほのぼのさせて頂きました。

未来のご常連さんになってくださいね。