ゴキブリ事件

ゴキブリ記事をもう一件

２０年ほど前、朝７時ころ店に行って、店内を掃除していたら、小腹がすいたので、買い置きしてあったインスタントラーメン、たしかラ王だったか。
お湯を沸かしてラーメンの封をあけたら、中からすばしっこいものが走り出た。なんじゃこりゃ　ゴキブリやん。とんでもねえもん売ってくれるもんだ。
でもまてよ、こんな空気を密閉した中で生きてるのがおかしいわな。いやいやたしかに中から出たんだよ　こいつ。
しばらく考えて、そうだお客様相談室ってのに聞いてみよ。ということになった。
苦情ではないが、そういう可能性があるのか、果たして過去にそのような例があるのか聞いて見るのも後学のためだよ。なんちゃって、単にヒマなだけです。
「もしもし　おたくのラーメンからゴキ太が飛び出したんですが」
「はあ？」
「食べようとして封を開けたら飛び出したんよ」
「いやあお客様、ちょっと考えられません。若し万が一商品に侵入したとしても生きておられません」
「でも食べ物はあるよね　彼の」
「いやあ」
「おっかしいなあ　たしかに出たんだが」
と、ここまで言ったところで、相手の語気が妙に明るくなって、
「そうだ、お客様、当社の製品で何がお気にいりでしょうか？最近でた新商品などございますのでお送りしたいと存じます、いえいえお客様がウソを言ってるなんて
考えられませんので当社の気持ちとして是非送らせてください。そして、今回の件につきましては社内で原因を追及し、より良い製品作りの参考にさせていただきます
はい」
最後の「はい」　で、こいつわしを暴力団か因縁をつけて製品をねだるお馬鹿さんと思ってるんだな　と気がついたのだけれども、話の行きがかり上、引っ込みがつかなくなって、「そうですか　そこまでしてくれるんだったら　お言葉に甘えちゃおかな」
ということにしたのだった。
よく考えて見れば　密封した容器の中で生きているわけないもんなあ。おそらくポットの周りにいたゴキが、お湯を注がれるので驚いて走りでたんだろ。
そうか　わるいことしちゃったなあ。と反省しきり。
しかし　「あ　そうだお客様」と言ったやつの対応は妙に手馴れた感じだったぞ　多分こういうことで味をしめてる連中がいるかも知れんなあ　と、妙に感心した。

それから数日後、
大きな段ボールに６個入りの製品が届いた。
「このたびのゴキブリ混入事件の社内研究の結果につきまして」という報告書とともに。
いやあ　すまんすまん。