迷悟在己

痴呆寸前が巷間を漂いながら日々の雑感を書きます

ネコが死んだ

2010-02-12 15:44:49 | 日記
生まれた時から飼っていたネコが突然死んだ。前の晩もわしがいたぶってやったら指に噛み付いてきて、あの野郎今夜も殴ってやるぞと思っていた。
とても元気だったので信じられない気分だった。
わしはネコが嫌いなのだ。だけど殴っても蹴ってもわしの膝にのって寝るあいつが可愛かったのだ。
ふすまも障子もズタズタにされたが、しょうがねえな と許したのだ。
第一ねずみがこなくなった。ねずみよりネコがましだ。
顔はよくわからないやつだった。何しろ黒いのでどんな顔してるかわからんのだ。
闇夜でマサイ族に会ったってわからんでしょう。
外へ出してやると気が狂ったみたいに走りまわるので、時々外へ出してやってたようだ。
夕方「ジージー」と呼ぶとまっしぐらに帰ってきよった。

どうも隣の庭の松の木が好きだったようだ。
遠くの知り合いの木にも登ってたようだが、木が好きだったのかね。
最近ではしょっちゅう隣の松にのぼってたようだ。
ある日となりのガキが、「死んでたよ」と言って連れてきたという。
傷もなく、きれいな姿だったが、苦しんだ様子だったという。
「やりやがったな」とわしは言った。
「そんなこと証拠もないのに言うもんじゃない」
とたしなめられたが、わしは直感したのだった。

まだ一年だったのだ。
それから一ヶ月ほどして、深夜救急車が隣に止まった。
どうもじじいが胆石で病院逝きになったらしい。
「ジージー やったな!」
わしは叫んだ。ネコ殺しじじいざまあミロと言ってやった。