春の旅

子供たちと、八丈島に行ってきた。

成長した娘たちと旅行というのは
あとどれだけ出来るものだろうと思ったのと、
なんでも自分で出来てしまう大人になる前に、
少しでも親らしいことをしてみたいという気持ちだった。

普通の電車じゃなく、車でもなく、
印象に残る旅にしたかったので、船と飛行機で行く八丈島に決めた。
中学生の娘には、どちらも初めての体験だ。
そして私にとっても、初めての場所。

昨夜、飛行機で帰ってきて思うことは、
いつかまた行きたいな、だった。

島ってすごい。
時間の流れが違う。
ただ、自然が素晴らしいだけじゃなく、
その圧倒的な自然と一緒に生きてる。

ホテルやお店で働いている人も、都会の人の仮面をかぶったようなビジネスライクさがない。
田舎だったら当たり前、なのだろうか。
でも、地図広げていると「どこにいかれるの？」と声をかけてくれて
なんと車で目的地までつれていってくれたりするその親切さ。
それも1度や2度じゃなく、どこへいってもそんな感じだったのはほんとに驚きだった。
京都や奈良や鎌倉じゃあ、たぶんないよね。

行きは船で10時間かけて着いたのだが、きっとそれがよかった。
船で時を過ごす間に、島の時間に調整していったみたい。
時計は存在しているし、テレビも同じなのに、
明らかに島に流れている「時」が違った。
帰ってきて、今も不思議に思っていて、
自分の中にふたつの並行した時計があるみたいだ。
今は、ただで摘んできた、フリージアの花の香りのなかに包まれている。