ひゃっかんのひとりごと

日常生活の中で感じた事を、防備録の代わりに徒然に。

音楽の神

2006-10-18 | 音楽
楽隊時代、本当に自ら満足して聴衆も満足出来る演奏会と言うのは、年に一度あれ
ば良い方だったと思う。天から音楽の神アポロンが舞い降りて来る瞬間である。
私の尊敬するヴァイオリニストのA氏が客員コンサートマスターとして来る様になっ
てからは、その確率はグンと上がった。ところがあれだけの人がコンサートマス
ターの席に座っても、アポロンの降臨を邪魔する奴と言うのは必ず存在するもの
で、徐々にその確率も下がって来た。
丁度その頃自分は体調を崩し、オーケストラを退団せざるを得なくなったのだが、
退団した事にはもの凄く後悔していた。本当はもっと一緒に演奏してアポロンの降
臨をもう一度体験したかった。
その後も度々かつての同僚が気を配ってくれ、エキストラとして呼んでくれていた
のだが、結局アポロンの降臨は無かった。
オーケストラを辞めてからは、録音エンジニアとして働いていたのだが、収録に
行ってもなかなかアポロンにお目に掛かる事は少なく、時々だがアポロンに仕える
ミューズがお遣いに来る程度のコンサートはあった。

しかし縁とは不思議な物で、再びA氏と一緒に仕事をする機会に恵まれる様になった
(もちろん演奏者ではないが)。
A氏が自ら主宰している室内オーケストラのコンサートには、必ずアポロンが同行し
ているとしか思えない。それほどの演奏内容なのだ。

昨日の休養中に室内オーケストラの収録した物を全て聴いていたのだが、ヨーロッ
パツアーの公演は、まるでアポロンがミューズを連れて同行していたかのような演
奏である。
帰国第1回目の演奏会、桶川公演でのアイネ・クライネ・ナハト・ムジークと言っ
たありふれた曲にも関わらず、その3楽章のメヌエットのトリオの部分など鳥肌が
立つ。

今は演奏家としてでなく、第三者として聴いているので恐らく中に入って一緒に演
奏していたら、もっとその感覚はすごい物だっただろう。

音楽の神と一緒に活動出来る幸せは、何よりも私へのプレゼントになっている。

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