ひゃっかんのひとりごと

日常生活の中で感じた事を、防備録の代わりに徒然に。

著作権ビジネス

2007-04-21 | 音楽
昨年の秋に新会社を設立しましたが、業務内容は多岐に亘っていて
1)アーティストマネージメント
2)録音業
3)インターネット等の配信業
以下略
と言う感じなのですが、結局単純に言えば『アーティストを含めて全ての版権を持つ
=コンテンツホルダーになる』と言う事なのです。
これは長年音楽業界に携わって来て、スタジオミュージシャンクラブに端を発した音
楽家達による著作隣接権を守ると言う事が、即ちビジネスに繋がると言う事を直感し
たからなのですが、今日ビジネスランチで自分でも驚く程「この会社を作って良かっ
た!」と思える出来事が有りました。
もちろんクラシックが専門ですから莫大な利益は得られませんが、優秀なアーティス
トを多く抱えれば抱える程利益は得られるようになります。
これは以前から不満に思っていた
1)録音屋が金儲けのために「CDを作ってやる」と言って実質自費出版させていた事
2)マネージメントと言いながら、実質その上がりをかすめ取るだけの輩
からの脱却になります。
後はゲームで言う「クソゲー」を作らない事。これを守って行かないと自社の価値
が下がるどころか自分の存在意義が薄れてしまう…。自分の目でじっくりとアーティ
ストを見極めて、そのアーティストを守る事・育てる事。これが重要になってくる
でしょう。

当面お金は儲かりそうにありませんが、長年の夢だった「良い音楽文化を後世に残
す」と言う役割は無事に果たせそうです。

音程の良いチェンバロ奏者

2007-04-09 | 音楽
今日やっと昨年の12月に行われたコンサートのマスタリングが完成しました。しか
しこのCDが世に出る事はありません。主催者のためのCDです。内容はチェンバロと
室内楽です。

マスタリング後改めて聴き直してみると素晴らしい音程なのです。もちろん調律は
平均率ですが、聞こえてくる響きはまさに純正調そのもの。奏者は小林道夫先生。
本番当日、打ち上げの後にお話を伺ったのを思い出します。「年とってだんだんよ
れて来ましてねぇ…etc」 もちろんご謙遜です。
平均率で調律されたチェンバロを、純正調の様に聴かせるテクニックは並大抵の事
では有りません。チェンバロの楽器と言う特性上、全ての音が均等に鳴る様に出来
ているので、ピアノの様に強弱で純正調の様に聴かせる訳には行きません。
そのテクニックをほんの少し分析すると…、長調の時にはほんの少しだけ第三音を
早く弾き始めその余韻が残っているところに、根音と第五音を乗せる。短調の時に
はほぼ同時に弾き始めているのですが、微妙に第三音が早い気がします。しかしそ
この隙間には絶妙な音楽的な間が有り、違和感を感じさせません。
指を速く動かす事だけをテクニックと思っている今の若い人が聴いたら「へたく
そ」と思うかもしれませんが、これこそが職人技の究極だと私は思いました。
こう言った収録に立ち会えると言うのは至極の喜びですし、心が豊かになります。
職人技の先に初めて芸術が有る。そんな事を感じさせてくれた一日でした。