小児科耳学問

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臨床経験

2006年12月02日 | Weblog
臨床医学は経験の蓄積の上に成り立つ学問なので小児科臨床医として成長するには症例をたくさん経験することが必要不可欠です。もっとも良い方法は入院患者を多く担当し、退院サマリーをたくさん書くことです。退院サマリーは自分の知識の整理になり、その患者が退院後に外来や救急外来に受診した時に必要になります。また主治医が異動した後の貴重な情報になります。私の尊敬する退官された教授はサマリー1000枚で一人前と話しておられました。要するに一人の患者の発症、診断、治療、治癒にいたるまでをなるべく全部直接見ておくことで経験として身につきます。診断、治癒にいたるまでの試行過程が大切で、人の書いたサマリーや学会の抄録を読んでもあまり力にはなりません。数学の問題を自分で解くか最初から答えを読むかの違いと同じです。次に経験を積むのに良い方法は外来に週3回以上でることです。そうすれば外来で病気の起承転結を観ることができます。もっとも効率が悪いのは救急外来です。入院させてその後主治医をすれば経験になりますが、解熱剤や点滴で帰宅させてもその後の病気の経過はわかりません。ジグソーパズルの1つのピースを見ているのと同じでジグソーパズルの全体像は見えません。なるべく多くのピースを見ることでジグソーパズルの全体像(病気の起承転結)を認識することができます。