親子でつながる子育て~抱っこ法~

抱っこ法の考え方をもとに、子育て中の親子やハンディを持つ方など、たくさんの方の心の支援を行っています。

障がいのある方の心のケア18 ~パニック事例から心のケアを考える~

2014年02月15日 | ホワイエ

私が、「障害を持つ方の心のケアは何のためにするんだと思う?」

と聞かれて答えるとすれば、

「その人が持つ心をピカピカに輝かせるお手伝いをするためかな?」と答えます。

 

「ピカピカに輝かせる?」ってどういう意味か分かりませんよね~

では、一人の障がいをもつ方のお話をします。

 

R子さんは、28歳の女性の方で、

自宅に住んでいて、お昼はお仕事をする作業所に通っていました。

R子さんは、何か心配事や困ったことがあるとき、

人や物に危害を加えてしまします。

 

ある日、朝からとっても怒った顔つきをしていました。

作業所の職員が、不機嫌の理由を探していると、

どうも、大切な傘がなくなっていたようです。

職員がいくら探してもないので、

たぶん、作業所の中にはないようです。

また、自宅にもなく、どうやら誰かが間違って持って帰ってしまったようです。

 

その傘は、R子さんがお母さんに買ってもらった、

大切な傘だったようです。

しばらく一生懸命我慢していましたが、

とうとう、ガマンの気持ちがあふれてしまい。

職員の腕を噛み、机を倒し、その辺のものを投げました。

その後、自分の指に、かぶりつきました。

 

すぐに職員は、R子さんの手を両脇から抱え、横たわる形になりました。

これは、R子さんが自分の体を傷つけるのを防ぐとともに、

職員や、ほかの利用者さんを傷つけるのを防ぐためです。

 

そのまま、R子さんが動かす手と同じ強さで、体のお話を始めていきました。

R子さんの力が強くなるとしっかりと持ち、

ゆるくなりと、力を緩めます。

すると、R子さんの感情の爆発が、

体のお話しによって発散されていきます。

 

それと同時に、「傘がない~」

「悲しいよ~」

「大事な傘なのに~」

「誰が持って行ったの」

「返してよ!」

という風に、R子さんの気持ちを、

職員が代わりに言葉に出します。

これを、気持ちの代弁といいます。

 

気持ちの代弁をすると、

その気持ちにぴったりとあてはまると、

とても体が大きく反応します。

まるで、体で「そうなのよ。私はそれが悲しいの!そういう気持ちなのよ」

と言わんがばかりです。

 

そうやって、職員の代弁とともに、体の話を進めていきました。

30分くらい話をしていると、

急に体の力がふっと抜けました。

表情がとても生き生きとしています。

そこで、持っていた手を離し、

横に並んで座ってゆっくりとした時間を過ごしました。

 

すると、とても落ち着いた表情で、

自分の口から

「傘返せ~」

「くそ~」

と声を出しました。でもその表情はニコニコ顔。

 

『傘がない』という悲しい出来事に

雨雲が立ち込め、どしゃ降りの雨が降っていた心が、

【心のケア】の中で、お話をしていくうちに、

真っ暗だった雨雲の後ろから、

本来、R子さんの心に持っている、

ピカピカに輝く心が出てきたような感じがします。

 

でも、ピカピカの心は、今出来上がったものではなく、

もともとR子さんの心の中にあったものです。

心のケアによって、苦しい気持ちを発散したり、

心が整理されることによって、

本来持っていたピカピカの心が前面に出てきたんですね。

 

その後、R子さんは、職員とゆったりした時間を過ごした後、

通常の作業に戻ることができました。

 

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