浄土真宗本願寺派 法徳寺ブログ

神奈川県厚木市にある浄土真宗本願寺派(西)のお寺です。
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1月の法話

2012-12-31 20:54:24 | 法話
踊り念仏

最近のニュースで私が興味を持ったことは、人気歌手グループ「ファンキーモンキーベイビーズ」が解散するということ。
それもメンバーの一人「DJケミカル」氏が実家のお寺を継承するためという、我々お坊さんにとっては、親近感ある理由
によってだからです。そのお寺は八王子の時宗のお寺でして、すぐにでも住職になるために、修行に入らなくてはならないそうです。
そして最後のライブでケミカル氏は「今後は踊り念仏に徹する」と発言したそうです。
「ふ~ん」とスルーしてしまいそうですが、この発言には深い意味があるのです。

ケミカル氏の継承するお寺の宗派は「時宗」と言いまして、鎌倉時代中期の僧侶「一遍上人」が開祖です。

 
 
別の名を「遊行上人」ともいい、本山は神奈川県藤沢市の清浄光寺(通称遊行寺)

でして、箱根駅伝復路の勝負どころ「遊行寺の坂」で有名です。
寺院数は412ヶ寺で2万ヶ寺以上を誇る浄土真宗に比べると大変小規模です。

ところがこの時宗、浄土真宗とは近い関係にあります。それは、同じ念仏「南無阿弥陀仏」を称えるからです。
いわゆる念仏宗の元祖といえば法然上人開祖の「浄土宗」です。
その直弟子であったのが親鸞聖人です。一遍も浄土宗の流れをくむ念仏宗ですが、当時の布教方法が独特だったのです。
生涯のほとんどを旅に費やした一遍は、六字名号(南無阿弥陀仏)を記した念仏札を旅先で配りました。
各地を行脚するうちに1279年、信濃国で踊り念仏を始めたのです。
それは太鼓、鐘などを打ち鳴らし、踊りながら念仏を称えることで、平安時代の僧、空也上人に倣ったそうです。

 
鎌倉時代の暗い思想を打破し、念仏によって極楽浄土に行くことのできる喜びを、踊りで表現したようです。
これは後に盆踊りの起源になったという説もあります。

というわけでケミカル氏がなぜ「踊り念仏に徹する」と発言したかですが、上記説明によりただ単に「DJをまだやりたいので
踊りながらお経を読みます」といった安易な考えでないことが分かります。つまり「引退後は今までの音楽の経験を活かし、
自坊の宗派、時宗の宗祖が広めた踊り念仏に、生涯徹して生きていきます」という強い意志の現れなのではないかと思いました。

二つの仕事を掛け持ちでやっていくことも可能であったでしょうが、未練もなく芸能界を引退し、また他のメンバーも「ケミカル氏が
抜けるなら解散以外ない」いう決断に至ったことは、ファンならずとも感動させられたことでしょう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121221-00000049-dal-ent   ←例のニュースです
 
伊東知幸

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