ストリッパー・ザリ子　引退説

以前ザリ子のストリップの話を書いてからかれこれ五ヶ月たったけれど、あれからザリ子は一度も脱いでいません。昔は数週間単位で脱皮していたというのに。

私はザリ子の脱皮シーンが見たくて、DP（＝脱皮）周期を把握するべく、夫の助言に従って脱皮した日はカレンダーに印をつけることにしたのでしたが…。

つい最近ネットで調べてみたら、ザリガニの脱皮回数は幼体・成体とも年にだいたい何回程度という目安はあるものの、個体や環境によっても回数は違うし、また脱皮の周期なども特に無いということがわかりました。

ザリガニを飼い始めてそろそろ一年、いったい今頃何を言っているのかという話ではあるけれど、その点に関してはできるだけスルーして欲しい。

そんなことよりこの際問題なのは、あのときは有益と思われた「DP印をカレンダーに記入せよ」という夫の助言が、結局は無益に終わってしまったということではないでしょうか。

結果的に見て、あれは「助言」などという高級なものではなく、ただの「余計な差し出口」に過ぎなかったのではないか。そのことを本人に言ってやろうかどうしようか、今考えているところです。

さて、ザリガニの寿命は４～５年（水槽で飼っている場合）だそうです。

ザリ子があと何年生きるかわからないけれど、そのうち必ず死ぬときが来る。そのとき自分はどう思うのかと考えてみるに、おそらくとても「残念」な気はするだろうけれど、「悲しい」とまで思うかどうかはわからないのです。

相手と自分の間に（それがたとえ一方的な錯覚であったとしても）多少なりとも気持ちの通じ合いがあるように感じられないと、死んでもなかなか「悲しい」という気持ちにまではなれないと思うのです。ザリガニとか水棲生物って、やっぱり気持ちが通じ合う気は全然しませんからね。

虫なんかも、たとえばひと夏飼ったカブトムシが死んでも、別に悲しくはなかったです。

蚊とかゴキブリなんか、死んで悲しいどころかむしろ積極的に殺してるもんね。

話は少しそれるけれども、聞いてくれますか。

うちでゴキブリを退治できるのは、私だけなんです。うちには男が大小ふたりいますが、コイツらはゴキブリを目の前にすると、とたんに恐るべき無能さを発揮し始めるのです。

こっちが死にもの狂いでゴキブリを追いかけているときに夫と息子が何をしているのかと言えば、ただ遠巻きにやーやー言うとるだけ。こんなとき、自分の過去に何か致命的な選択ミスがあったに違いないと確信するのです。

私はゴキブリを見つけたら、何がなんでも退治します。だってあんなのが部屋の中にいると思ったら、おちおち眠ってもいられないでしょう。もし顔の上を油じみた脚で歩かれたら、どうするんですか。

それにアレは繁殖力がありますから、一匹見逃したら３０匹～見逃すのと同じことになりますからね。

だから完全にやっつけるまで、絶対にあきらめません。

武器はスリッパがおすすめです。守備面積が比較的広いし、持ちやすいので。

知ってのとおりゴキブリは動きがたいへん素早く、一撃で仕留めることはなかなか難しいですが、あきらめずに執拗に追いかけましょう。

殺しの美学にこだわってはいけません。途中で脚がもげて散らばったり中身みたいなのが出てきたりしても、そんなのはあとからどうにでもなります。とにかく誅殺に専心することが肝要です。

仕留めたあとは、衛生的にも万が一のよみがえりを避けるためにも、ペーパーにくるんでトイレに流すのが良いと思います。これで始末は完璧なはずです。

「トイレに流す」で思い出したけれど、昔知っていた人が、飼っている金魚が死んだときにトイレに流したと言っていました。私は、それはナシだろうと思いました。ゴキブリは良くても、金魚はだめ。だけど「なんで？」って聞かれたら、なんでだろう。

ザリ子が死んだら、土に埋めてやります。うちには庭がないから、近所の公園に埋めてやると思います。

ほんとうは公園に埋めたらいけないのだろうけれど、ザリガニくらいなら、すみの方の草むらとか植え込みの根元などの目立たない場所を選べば、許されるのではと思っています。

長い廊下