高階良子 『血まみれ観音』より
私の首にできた人面瘡は、幸いしゃべり出すこともなく徐々に治りつつあります。
心配してくれたひと、ありがとう。
心配してくれなかったひと、どうかあしたの晩ご飯がマズくなりますように。
今回のこの皮膚疾患は、どうやら人面瘡というより軽い湿疹だったようです。
虫に刺されたところがカユくてボリボリ掻きむしったせいで、周辺がただれてカユミの範囲が広がってしまいました。
私の皮膚はけっこうただれやすいし、かぶれやすいです。
いつだったかガス台の掃除をしていたら、なんのバチが当たったのか五徳(しかも連結タイプの重いやつ)が狂暴な角度で足の上に落下し、足の甲の骨が粉々に砕け散った(ような気がした)ことがあります。
途方もなく痛かったので少しでも良くなるようにとシート状の湿布薬を貼ったらコレにかぶれてしまい、またそれがキョーレツに痒くて、よせばいいのにカユミに目がくらんで欲望のままに掻きむしっていたら、たいへんなことになりました。
足の甲がもう靴も履けないほどパンパンにふくれあがって、靴のかわりに誤ってイカめしを履いてしまった人みたいな状態になってしまったのです。
で、しょうがないから皮膚科に行ったら看護婦さんに
「うわぁ、かわいそー」
って言われました。
病院で同情はいらん。
その後腰痛が出たときに、かぶれるだろうなと思いつつ腰に湿布薬を貼ったらこれがまた期待どおりにかぶれくさって、このときは大人の自制心で掻かないようにしたのに貼った部分が見事にシートの形そのままの長四角に腫れ上がり、整形外科のお医者さんに
「二度と湿布薬を貼ってはいけません」
と言われました。
今度貼ったら、死ぬのかもね。
ところで「人面瘡」というのは人間の顔のような形をした「おでき」で、症状が進むとしゃべり出したりものを食べたりすると言われています。もちろんこれは怪奇譚の類で、実際にこういう皮膚の病気があるわけではありません。
私はたぶん高階良子のマンガ『血まみれ観音』(これは高階良子のオリジナルではなく、原作は横溝正史の『夜光虫』)で、「人面瘡」というものを知ったように思います。ただしこのマンガの中では「人面瘡(じんめんそう)」ではなく「人面疽(じんめんそ)」となっています。
物語のヒロインである潤(じゅん)の肩に人面瘡があり、この人面瘡に隠された秘密をめぐって血なまぐさい惨劇が展開されるという、いかにも横溝正史っぽい話です。
高階良子については以前『地獄でメスが光る』という作品を紹介しましたが、この人はオリジナルの怪奇ものをたくさん発表しています。
独特の絵柄に湿っぽいエロティシズムがあって、登場人物も倒錯気味で、妙に忘れがたい作品がいくつかあります。
『昆虫の家』とかね。
これは蝶の標本作りに執着しているある不遇な女の子が、たまたま知った蝶のような美少女に恋い焦がれてなんとか自分のものにしたいと願い…という話なのですが。今読んでも、なんかこう、ほの暗いエロ感がなんとも言えません。
あーいかん。また人面瘡(というより軽い湿疹)がカユくなってきた…。
「長い廊下」は愛読させていただいています。
いつもは読むだけなのですが、人面疽の話だったので!
と言うか、高階良子の話だったので!
私もこの作家さんを思い浮かべるとき「血まみれ観音」と「昆虫の家」がすぐに出てきます。
人面疽は本当に怖くて何度も夢に見てうなされました。
「昆虫の家」は、実は好きでした。
何度も読み返しました。
とても美しいと思いました。が、今読んだらどうなのでしょうね?
お首の人面疽がひどいものでなくてよかったです!
どうぞお大事になさってくださいね。
足の甲のお話は読んでいるだけで痛かったです。
私もいろいろと痛い話があります。
それではまた。
お邪魔しました。
上で ととべべ様も仰っていますが 足の甲の話 私も読んだ瞬間 足の骨が砕け散る場面を想像してしまい 目の前が真っ暗になりました(痛い 痛い)
高階良子さんの「昆虫の家」って 映画の「コレクター」みたいですね 昔の怪奇漫画 今読むとまた新しい発見があって 面白いかもしれませんね 私も諸星大二郎とか もう一度読みたいな
付録でついていたことが多かったような記憶があります。
ざらついた誌面がよけいに怖さを増幅してた気がします。
「人面疽」はすごく怖くて肘や膝のちょっとひだになるところ(わかる?)がある日、人面疽になるのではないかと心配したりしたもんです。
willow42さんの人面疽は(違)しゃべりだしたりしなかったのね。
よかった。お大事にね。
こんにちは!
コメントありがとうございます。嬉しいです。
人面疽、こわかったですよね~。
こんなん出来たらどうしよぅと思ってました。
ととべべさんは、夢でうなされるくらいの衝撃を受けたのですね。
>とても美しいと思いました
『昆虫の家』もそうですが、高階良子の作品には
どことなく被虐美嗜好があるように思います。
そのへんに、子どもごころに反応してしまったような気がします。
>どうぞお大事になさってくださいね。
優しい言葉をありがとうございます
きっと、ととべべさんの今晩のご飯は美味しいです。
「痛い話」お持ちですか?
今度聞かせてください。
化粧品でかぶれること、たまにあります。
私の場合、まず「まぶた」に出ますね。
なんかまぶたがピンクっぽくカサつくな~、というときは、
化粧品に負けているときです。
自然化粧品って肌にやさしいように思いますが、
意外とかぶれ安いという話も聞きますね。
私は「ミツロウ」がダメなんですよ。
自然化粧品にはミツロウが入っているものが多いので、
要注意なんです。
>映画の「コレクター」みたいですね
そうですね!
『昆虫の家』の場合、コレクターが女性、
対象も女性というところが、面白いのですが。
それにしても「監禁もの」って怖いです。
現実でもときどきそういう話があるけれど、
聞いているだけで胸苦しくなってきます。
諸星大二郎、こわいのあったなぁ…。
『妖怪ハンター』だったっけ、人間の顔に蜘蛛の脚が
生えたような気味の悪い生き物が出てくるやつが
ありませんでしたっけ。
あの絵柄がまた、カサカサした感じで不気味なんですよねー。
>付録でついていたことが多かったような
『昆虫の家』は、まさにそれです。
今手元にあるものは、オークションで手に入れたものなのですが、
くっさいです。
そのくっささが、またこのマンガの怪奇味を高めております。
>ざらついた誌面が
りきさんて、紙の質感に敏感だね(笑)
前に「森永 Hi-CROWN の思い出」でフェアリーカードの
話を書いたときにも、カードの紙の質感についてコメントしてくれてた。
>willow42さんの人面疽は(違)しゃべりだしたりしなかったのね
しゃべり出しはしなかったんだけど、よだれをたらし出したというか、
寝ている間にまた掻いてしまったらしくお汁が出てきてました。
なんか、また悪化してきた。カユい…。
あと 美内すずえも 初期はよく怖い漫画描いてましたよね 私は子供の頃 本屋で立ち読みしていて ページをめくると 右のページ一面に 地獄から出てきた悪魔のように ものすごい怖い顔の女の子の顔が一面に描かれていて 思わず 公衆の面前で キャーと声を上げてしまったことを覚えてます(確か 学校の話で クライマックスに主人公の女の子が座っている机の下から この顔が出てきたの 怖かったー)
「遊星からの物体x」は、有名なのでタイトルは
知っているのですが、見たことはありません。
出てくるのですね、人間蜘蛛が!
>主人公の女の子が座っている机の下から この顔が
それはですね、『白い影法師』でしょう。
これと山岸凉子の『汐の声』の二作品は、
私は二度と読みません。
なぜなら怖すぎるからです。
封印していたのに思い出させていただき、
ありがとうございまーす(笑)
「遊星からの物体x」は 新、旧共観たことありますが どちらもそれなりによく出来てます 蜘蛛人間が出てくるのは リメイクの方で 怪物自体は怖いを通り越して 笑ってしまう位ユーモラスだったりします(この蜘蛛人間が床をはう所など 映画館で失笑が起きた程)
ただこの映画 何が怖いって言えばラストシーンです この未知の物体はどんな生物にも成りすますことが出来るので 閉ざされた南極基地で 隊員が次第に疑心暗鬼に陥っていくのですが…(管理人編集)…悲惨な未来を予測させて 終わっちゃうのです もし興味があれば ぜひご覧下さい!私 ジョン カーペンターの映画は結構好きです
「白い影法師」!!そうでしたね!!山岸涼子のその辺の一連の怖い漫画も実家に揃ってます 思い出させちゃって 申し訳ないです ごめんなさーい
Kazueさんからいただいたコメントの中に『遊星からの物体x』の
ラストについての記述がありましたが、まだ見ていない方のために
勝手ながらこちらで編集・カットしました。
事後承諾ですがご了解ください。
それにしてもあとを引く怖さのある映画のようですねー。
そういう終わり方の映画は、嫌いじゃないです。
>申し訳ないです ごめんなさーい
いえいえ、全然(笑)
でもああいうのって描いている作家自身は、怖くないのでしょうかね。