goo blog サービス終了のお知らせ 

Financial and Social System of Information Security

インターネットに代表されるIT社会の影の部分に光をあて、金融詐欺・サイバー犯罪予防等に関する海外の最新情報を提供

米国連邦金監督機関CFPBが違法なクレジットカード取引慣行の被害につき最高8,500万ドルの全額返還命令

2012-10-06 19:51:32 | 消費者保護法制

Last Updated:November 17,2016

 米国連邦議会が制定した金融監督制度改革法「ドッド・フランク・ウォールストリート金融街改革および消費者保護法(the Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act:Dodd-Frank Act) (注1)に基づき設置された連邦準備制度理事会(FRB)内の独立機関である消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau:CFBP)は、連邦準備制度内部の独立した法人であり、消費者金融商品・サービスの提供等に関する規制・監督による透明性と消費者の選択を促進し、かつ濫用的で詐欺的な取引慣行を防ぐという任務を負っている。

 CFPBの局長は大統領が指名し、上院が承認する(任期5年)。CFPBには予算の独立性、規則制定権の独立性を付与する。

 預金取扱金融機関については、総資産100億ドル超の銀行及び信用組合に対しては、CFPBが消費者金融保護法(Consumer Financial Protection Act of 2010
)(注2)に関する第一次的な執行権限を有する。総資産100億ドル以下の銀行及び信用組合に対しては当該機関の監督当局が執行権限を持つこととする。ただし、CFPBはこれらの監督当局に対して適切な行動をとるよう勧告することができる。

 自動車の売買やリースに主として従事している自動車ディーラーについては、CFPBの規則制定権、監督・執行権限の対象から除外する。

 州法が連邦法よりも消費者保護をより広く定めている場合には州法が優先する。
(注3)(注4)

 以上が、CFPBの概要であるが、連邦の他の金融監督機関と同様の固有の任務や権限を持つものであるが、その設置の経緯、根拠法や既存の関連機関との連携等その期待度はまさにこれからという点も多い。

 今回のブログは、CFPBがFDIC等と連携した大規模な金融不正犯罪を告訴した最近時の複数の事案をCFPB等の公式情報等を元に紹介する。
 特にCFPBの活動に関しユニークさを感じたのは、連邦金監督機関との法執行の連携活動のみならず民間法律事務所(“Ballard Spahr LLP”)のCFPB専門サイト内容との連携にも配意している点等である。

 なお、今回のCFPB等の告訴も含め、CFPBに関する法執行にかかるわが国のメディアの記事は皆無と思われる。


1.アメリカン・エキスプレスおよびその子会社に対する法執行と同意命令
CFPBの発表要旨は次のとおりである。


(1)10月1日、CFPBはアメリカン・エキスプレスの子会社3社に対する違法なカードのマーケティング販売行為や債権回収等において消費者保護法に違反したとして、その全額(8,500万ドル(約66億3,000万円)~約25万ドル(約1,950万円))に関し、約25万人の顧客への通知や返金ならびに商慣習の特別な見直しを行うよう命じた。

○調査の経緯
 この違反行為は、もともとはFDICがウタ州金融監督規制局(Utah Department of Financial Institutions)と合同して行ったアメリカン・エキスプレスの子会社「American Express Centurion Bank(以下、AECB)」通常検査の間に発見された。FDICはCFPBが2011年稼動を開始したときに、調査機能の一部をCFPBに移管し、この2つの連邦機関は合同して訴追活動を進めた。その後、CFPBは.American Express Centurion Bankが行っていたのと同様の違法行為の多くが子会社である「America Express Travel Related Services Company,Inc(以下、AETRSC)」および「American Express Bank(以下、FSB;AEBFSB)」が行っていたとの結論に至った。

 これらの一連の調査により違法行為は2003年から2012年春までの間に消費者によるカードの申込みやカードでの買物、さらに債務返済等取引の各段階で行われた。

 調査の結果からみて、具体的な違法行為および該当する法律の内容は次のとおりである。なお、子会社3社に対する命令および同意約定の概要は「Factsheets」を参照されたい。

①アメリカン・エキスプレスのサービス「Blue Sky」クレジットカード・プログラムに申込み署名した消費者が欺かれた。
 消費者は、しばしばAmerican Express Centurion Bankで同プログラムを申し込むとボーナス・ポイントに加え300ドル(約23,000円)を受け取ると信じるよう誘導された。しかし、実際はこの資格を満たす消費者は300ドルを受け取ることはなかった。これは、詐欺的商法に関する連邦法に違反する行為に当たる。

②年齢に応じたアカウント応募者に対する違法な差別
 American Express Centurion Bankは、年齢に応じたクレジットカードの応募者に対し、異なるスコアリングを使用した。一定期間、同銀行は35歳以上の応募者のシステムを完全に導入しなかった。適切に設計し実行される年齢を考慮するクレジット・スコアリング・システムを要求することは、「信用機会均等法(Equal Credit Opportunity Act)」に違反する。

③消費者信用報告機関に対する消費者との紛議に関する報告の欠落
 American Express Centurion BankとAmerican Express Bankは、信用報告機関に関する紛議の存在を報告しなかった。これは、「公正信用報告法(Fair Credit Reporting Act)」違反である。

④債務返済に関する消費者の判断を誤らせた
 古い債務を返済することで確実な利益があると信じさせ、子会社3社は消費者を騙した。消費者は古い債務を返済するとその支払いが報告されて消費者の信用度が改善されるとの誤った説明を受けた。実際、アメリカン・エキスプレスは支払いにつき報告されず、また債務は報告しようにも古すぎたので多くの支払いは消費者の報告に現れず、あるいはクレジットスコアに影響しなかった。
 また、アメリカン・エキスプレスは消費者が和解案を受け入れるなら負債が一部放棄されるか、または免除されると消費者に説明した。しかし、新たにアメリカン・エキスプレスのカードを申し込んだ顧客に対し、同社は本当に負債を放棄や免除を行わなかった。

(2)法執行行為(Enforcement Actions)
 本日出された同意命令によると、アメリカン・エキスプレスの子会社は違法な商慣行により被害を加えられたその慣行の修正と消費者への返金につき次の通り同意した。
 なお、同意命令は被告等に会計監査人を雇い消費者保護法に対する法令遵守にかかる「年次監査」を行うことを命じた。

①違法な商慣行の終了
 American Express Centurion Bankは、今後“Blue Sky credit card”やその他のカードにつき詐欺的な説明に基づき、割戻しや今後得るであろうポイントを約して消費者を騙すことはなくなろう。
 また、これら銀行子会社は違法な延滞金を請求することはなくなろう。これら子会社は適切に紛争を信用報告機関に報告しカード保有者がそのような紛争にかかる彼らの権利につき説明を受けるよう確実にするであろう。

 また、CFPBサイトの10月1日付けの説明および10月4日付け“CFPB Monitor”によると、本命令に基づき被告は次の行為の実施が義務付けられる。

○10月1日の命令の結果、アメリカン・エキスプレ等は、概算で8500万~約25万ドルを消費者に賠償金として返還しなければならない。アメリカン・エキスプレスは直接被害を蒙った消費者の口座に資金を返還することとし、 消費者がすでにアメリカン・エキスプレス・カードを持っていないときは、アメリカン・エキスプレス等は小切手または「未払い残高通知(credit any outstanding balance)クレジット」を郵送する。

○“Blue Sky Credit Card”の申し込みを行い、300ドルの受け取りが約束された消費者は、その300ドルを受け取る。
○不法な延滞料を支払った顧客は、利息付で全額を還付される。
○支払いを信用調査所に対し報告するという偽の約束に対応して古い債務を返済した消費者には、利息を支払った金額プラス金利が還付される。
○被害者は彼らの負債が免除されると約束したが、負債が本当に免除されなかったとして、新しいアメリカン・エキスプレスカードの交付が拒否された消費者については、CFPBとFDICによって受け入れられる条件で、100ドルと新しいカードのためのあらかじめ承認された申し出を受け取ることになる。 消費者が新しいカードを手に入れるために既に放棄されたか免除された額を支払っていたなら、その当該金額および利息が還付される。

○消費者は、彼らのクレジットカードや小切手を受けるためにどんな行動も取る必要はない。あなたが本命令で影響を受ける消費者の1人であれば、アメリカン・エキスプレスは直接あなたに通知する。

2.FFPB等連邦監督機関による民事罰則金処分

CFPB等は前記3行に加え、親会社たるアメリカン・エキスプレス本体、持ち株会社に対する総額2,750万ドルの民事罰則金(civil monetary penalties)」を課すことを求めた
 CFPBの積極的な法執行の対象は、さらに親会社たるアメリカン・エキスプレスやその持株会社に対し、本来の監督機関であるOCC(連邦通貨監督局)、FRB(連邦準備制度理事会)およびFDIC(連邦預金保険公社)に対し、合計2,750万ドル(約21億4,500万円)の民事罰則金(civil monetary penalties)」を課すことを求めた。

 

*****************************************************************************:

(注1) 筆者ブログ2011年2月11日「米国FRBがドッド・フランク法のボルカー・ルール遵守期間に関する「レギュレーションY」の最終規則を公布」参照。

(注2) 2010年消費者金融保護法はDodd-Frank Actの第Ⅹ編である。

(注3) 大和総研 吉川 満「適用が開始されたドッド・ フランク法」大和総研調査季報 2011 年 新春号 Vol.1 および財団法人 国際金融情報センターのトピックスレポート「金融規制改革法(ドッド・フランク法)の成立(2010年8月25日号)」から一部抜粋した。

(注4) CFPBの法的根拠、主要任務、組織概要については、コーネル大学ロースクールの解説、CFPBのHPのAbout Bureau および現局長リチャード・コードレイ(Richard Cordray )のプロファイルを参照されたい。

******************************************************:
Copyright © 2006-2016 芦田勝(Masaru Ashida).All Rights Reserved.You may reproduce materials available at this site for your own personal use and for non-commercial distribution.


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オーストラリア証券投資委員会(FIDOサイト)が新年早々金融詐欺をめぐる「絵に描いた餅賞」を公表

2010-10-25 20:59:42 | 消費者保護法制

Last Updated:March 31,2021

 「オーストラリア証券投資委員会(Australian Securities & Investment Commission:ASIC)」の消費者向けサイトは「FIDO」(注)と呼ばれている。
 FIDOとは、「Financial Tips and Safety Checks」の頭文字をとったものである。ASICは金融商品をめぐる安全性チェックが重要な役割であり、今回公表された「表彰ものの詐欺賞」 は、ますます巧妙化する金融詐欺師たちに消費者が騙されないことを祈りつつ、世の中そんなにうまい話はないよ!という事例を具体的に紹介している。わが国でも毎日のように金融やその他うまみのある金融商品・サービスの記事や広告が散乱しているが、社長が現金を持ち逃げした海外旅行会社の例等そんなにうまい話はないのが現実であろう。用心!用心!(筆者にもこの手のメールはよく来るが?)

[2006年最優秀賞]
 2006年ASIC最優秀賞は、オーストラリア中の金持ちセミナーを開催して違法な販促を行ったクレイグ・マッキム(Craig Mckim)さんです!!。

 マッキムさんに率いられた詐欺グループ(Pegasus Leveraged Option Group)は、約90人の信じて疑わない投資家から370万豪州ドル(約3億1千万円)をまきあげた。ニューサウスウェールズ州の最高裁判所が明らかにしたところでは、ペガサスグループの犯罪手口は1週間で8%のリターンを保証するというもので、裁判所はこれは「天文学的」と指摘している。さらに被害者は「国際投資・証券委員会(この委員会も偽もの)」の保証証券の発行を受けていた。マッキムさんは、2005年10月に投獄されている。

 オーストラリア・ニュージーランド(ANZ)銀行が公表した「2005年消費者の金融知識調査」によると、オーストラリア人はハイリターン・イコール・ハイリスクという金融知識はあるものの、約47%の人は市場利益率を超えたリターンを得ても構わないと思っている。

 ここで大事なのは、オーストラリアでは無料で金融サービス業者の免許一覧を調べることが出来る点である。またFIDOは、ASICが裁判所に対して訴訟手段に訴えた違法な事例一覧、裁判所の命令内容、関係者の一覧などを持っている。

[2006年絵に描いた餅賞準優秀賞]
〔事例1〕
 ロンドンの当事務弁護士事務所(a firm of London solicitors)では宝くじの販促を含む故ダイアナ妃の土地を管理しています。あなたは故ダイアナ妃の遺産のほんの一部(a slice)を得ました。どうぞ、このメールの送信者に連絡を取って勝利(儲け)を得ましょう。
〔手口の分析〕
 これは、ダイアナ妃とは無関係の「前払い詐欺」です。あなたは忍耐切れかお金がなくなるまで「取扱い手数料」または「管理手数料」を支払うよう請求されます。

〔事例2〕
 こんなメールが来ます。「海外の株式の動向に関心を持ってください。この株式は高騰する一歩手前です。すぐに株価は2.25ドルになります。これは他の比較できない投資調査の結果です。2005年9月10日の株価は0.80ドル、同月14日には1.30ドルの最高値に上がりますが、2005年末にはほとんど無価値の0.39ドルに下がります。」
〔手口の分析〕
無免許の投資アドバイザーによって推薦された株を買わされます。伝統的な詐欺です。メールは国際電子掲示板(international bulletin board)を使ってほとんど知られていない海外の企業に関心を持たせます。株価が下がる前に詐欺師は売り抜けるのです。

〔事例3〕
こんなメールが来ます。「驚きです。あなたは貴重な海外株を保有しています。二重チェックをしたいなら「国際資産・コンプライアンス・センター」に確認してみてください。」
〔手口の分析〕
 手数料を支払ってこれらの株をあなたの名義に替えてくださいといいます。しかし、現在さまざまな制限があってこれは不可能です。本物の投資家保護機関はないのです。それは、手数料稼ぎのために用意したただの「偽窓口」です。

 2003年から毎年表彰されているので、関心のある人は読んでみると参考になろう。

(注)オーストラリア政府のMoneysmart Webサイトは、オーストラリア政府の国家金融リテラシー戦略2008-2010の一環として2011年3月15日に正式に開始された。Moneysmartは、以前ASICによって維持されていた他の2つの消費者向けWebサイト、”FIDO”(www.fido.gov.au)と”Understanding Money”(www.understandingmoney.gov.au)に取って代わった。 FIDOは2000年にASICによって立ち上げられ、「オンラインで配信される財務情報」の略である。 2008年7月、オーストラリア政府は、Understanding Money Webサイトの管理と保守を含む、金融リテラシー財団の機能をASICに移管した。 その後、Moneysmart Webサイトは、2020年2月5日水曜日に再設計され、リニューアルされた。 Moneysmart Webサイトは、2020年2月5日水曜日に再設計され、リニューアルされた。(Wikipedia 抜粋、仮訳)

〔参照URL〕
FIDOサイトでは、過去のASICS優秀賞のウィナー事例が紹介されている。
http://www.fido.gov.au/fido/fido.nsf/byheadline/Pie+In+The+Sky+Awards+?openDocument#past

**********************************************************

(今回のブログは2006年1月9日登録分の改訂版である)

Copyright © 2006-2010 芦田勝(Masaru Ashida).All Rights Reserved.No reduction or republication without permission.








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

英国高等法院が公正取引庁の要請を受けてねずみ講業者への「仮差止命令」を下す

2010-10-24 19:05:16 | 消費者保護法制


 Last Updated: March 30,2021

 英国高等法院(High Court of Justice)(注1)は、2005年12月13日に公正取引庁(OFT)(注1-2)の要請を受けてVIP Club(注2)の経営者(ガーディープ・シン氏:Mr Gurdeep Singh)に対し、ねずみ講ビジネスを行ったとして、関係法令に基づき、その仮差止命令(interim injunction)を下した。その手口はわが国でもよく見られるものであるが、多くの被害者がアジア人であることから警告の意味で今回取り上げた。

 英国高等法院は「2002年企業法(Enterprise Act 2002)」 (注3)にもとづくOFTの要請により仮差止め命令を下したのであるが、適用する法律としては「2003年不実広告規制規則(Control of Misleading Advertisements (Amendment) Regulations 2003) 、「1976年宝くじ及び娯楽に関する法律(Lotteries and Amusements Act 1976)」(注4)および「1987年消費者保護規則(営業所以外で締結した契約の取消に関する規則:Cancellation of Contracts Concluded away from Business Premises 1987)(Doorstep Regulation)1998年改正法が施行(注5)が根拠となる。

 シン氏は以前にOMI Clubを個人経営していたものであるが、OFTは内々法律違反を犯していると睨んでいた。OMI及びVIP Clubに関するクレームは次のような強引な商法に対して行われた。

 まず、1,695ポンド(約33万6千円)の会費を納めると、旅行やレジャーサービスの大幅割引が受けられ、また新たな会員を集めると10か月以上にわたり99,900ポンド(約1,980万円)の手数料収入が得られるというものである。

 勧誘行為は英国内の一流ホテルで6時間にわたり高圧的なセールス説明が行われた。その内容は英国内に約1万人の会員を確保しつつあり、新規に1,700万人の新規会員から会費が払い込まれるというものである。

 OFTは本件を裁判に付すに当たり、シン氏の営業活動は「ねずみ講」であり、多くの会員にリスクを負わせ、また前記の法律に抵触すると強く求めるとともに、各自治体が設置する取引基準局(Trading Standards Services)や貿易産業省(DTI:2010年現在はビジネス・イノベーション・技能改革省(Department for Business, Innovation and Skills :BIS) )と内密理に証拠固めを行っていた。

**********************************************************************************************
(注1)英国の高等法院は女王座部(Queen’s Bench division)、家事部(Family division)、大法官部(Chancery division)の3部からなる。民事事件の第一審であるとともに下級裁判所(Subordinate court:下級判事裁判所(Magistrates’ courts)、郡裁判所(County court)からなり、前者は陪審制をとっていない)の刑事事件の控訴審を扱う。

(https://www.judiciary.uk/you-and-the-judiciary/going-to-court/high-court/)

(注1-2) 2014.4.1 1973年~2014年4月1日までのOFTの機能は分解され次の機関に移管された。

① 消費者の権利保護関係(Consumer rights)

企業の非競争的行為及びそれらに関する市場部門の問題(Anti-competitive behaviour and issues with market sectors)

  • Competition and Markets Authority (CMA) 競争・市場庁(競争・市場庁は,2013年企業規制改革法により2013年10月1日に設立され,2014年4月1日,同法により公正取引庁及び競争委員会が廃止されたことに伴い,それら機関の機能及び権限の大部分を受け継いだ独立の非大臣庁)関連:
    • anti-competitive practices (eg price fixing and bid rigging)
    • a market not working well
    • unfair terms in a contract
    • any issues related to poor competition
  •  avoid and report anti-competitive behaviour
  •  avoid unfair terms in sales contracts

(注2)VIP clubの商号は「Leisure Marketing International Limited」である。

(注3)「2002年企業法」は2003年6月20日に施行されたもので、①不実広告、②富くじ、③商品・サービスの提供、④取引についての記述、⑤不正なオークション(mock auction)、⑥不公正な消費者契約、⑦「time-share:リゾートのホテルやコンドミニアムの部屋を設定された期間使用できる権利を購入する制度またはその物件」、⑧訪問販売、⑨隔地者販売、⑩消費者信用、等につき、OFT等法執行機関に法的な権限や裁判所命令を得る権限を定めたものである。

(注4) 同法は、国による宝くじを除いて、すべての宝くじや富くじを違法とするものである。

(注5) 1988年不実広告規制規則(Control of Misleading Advertisements Regulations 1988)は、2003年に改正された(2003年12月29日施行)。

(注6)同規則は、訪問販売を規制する規則であり、7日間の取消権を保証するクーリングオフ期間ならびにその方法(取消の様式)について事業者は書面通知しなければならない(消費者は必ずしもその書面を使う必要はない)。これに違反した場合、契約の履行は強制されず、また犯罪行為となる。

************************************************************

(今回のブログは2005年12月26日登録分の改訂版である)

Copyright © 2005-2010 芦田勝(Masaru Ashida ).All Rights Reserved.No reduction or republication without permission.









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

EU委員会が加盟国の越境の消費者契約の適用法に関する近代化ルールの規則草案を公表

2010-10-24 17:16:38 | 消費者保護法制


 Last Updated:March 30,021


 EUにおける越境する(cross-border)契約における適用法について、EU委員会は2005年12月15日に1980年6月15日施行の「契約債務の準拠法に関するローマ条約(The Rome Convention on the Law Applicable to Contractual Obligation)」 (注1)の内容の更新・変更を規則草案(注2)公表した。(注3)

 同草案は、家族関係、仲裁契約(arbitration agreement)、会社法によるべき紛争は対象外である。委員会はEUにおける国際私法としてローマ条約がEU加盟国にとって好ましくないと考えており、その近代化を強く望んでいた。さらに、現状、EU司法裁判所の裁判権は署名国が裁判権を与えなければ及ばないという問題もある。委員会は、①加盟国が要件協定(requisite protocol)を批准するのに25年かかったこと、②司法裁判所の判決はすべての加盟国に対し拘束力がないこと、③一方、各国の裁判所はその点について義務を負っていないということを問題視していた。

 今回の新規則は、ROMEⅠの中核部分の補強―ビジネスの世界における相互関係に適応して適用法を選ぶ原則―の補強を狙ったものである。すなわち、その国の法律、国際協定、国際的な商品販売に係るウイーン条約のような国際的に認められ私的に法典化されたものなどの適用、選択を可能とするものである。当事者の法的な期待や効果は、売り手、サービス提供者、運送業者、仲介業者等が扱うサービスの特性に応じて行なわれるべきであるとする考えに基づいている。

********************************************************************************************
(注1)契約債務の準拠法に関するローマ条約(ROMEⅠ)本文:http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=CELEX:41998A0126(02):EN:HTML

(注2)「Proposal for a Regulation of the European Parliament and the Council on the law applicable to contractual obligations (ROME Ⅰ)」(https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A52005PC0650)

(注3)2003年1月14日にEU委員会は1980年ローマ条約(ROME Ⅰ)はEU指令や規則というものに変更すべきか否かを問うとともにその内容の近代化の求める「グリーンペーパー」(https://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=COM:2002:0654:FIN:EN:PDF)をまとめ公表している。今回の計画内容は、それに即したものである。
 また、この問題と区別しなければならないのは、2003年7月22日、EU委員会が提案した
「ROME Ⅱ規則最終(案)」(注4)である。2007年7月11日に欧州議会と理事会規則「ROME Ⅱ規則」を採択した。これは、非契約的な状況下での規則案であり、名誉毀損(defamation)、広告、知的財産、製造物責任を含む請求時の適用法問題を定めたものである。同意規則は2009 年1 月11 日に発効した。
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=COM:2003:0427:FIN:EN:PDF

(注4) 片岡雅世「ローマⅡ規則における不当利得準拠法について――EU 国際私法統一の一局面として―」
***********************************************************************************

(今回のブログは2005年12月25日登録分の改訂版である)

Copyright © 2005-2010 芦田勝(Masaru Ashida ). All Rights Reserved.



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする