goo blog サービス終了のお知らせ 

いろいろレビュー(旧サイト)

本と映画とときどき日記

ジョジョリオン

2012年05月06日 | マンガ

中・高生のときに全巻そろえていた『ジョジョの奇妙な冒険』。
「第五部 ジョルノ・ジョバァーナ」の途中から何となくついていけなくなり、しかも自身のマンガ離れもあって、しばらく遠ざかっていました。

ところが先日、ビレバンで「第八部 ジョジョリオン」なる新シリーズを発見。
個人的に、過去シリーズの中では「第四部 東方仗助」がダントツに好きだったのですが、
その「杜王町」が再び舞台になっていて、思わず1、2巻を即買い!

謎に満ちたサスペンス性、気持ち悪い絵、適度な残虐性、痺れるセリフ。久しぶりの感覚に興奮しました。
これはシリーズ買い続けること必至…。この歳でふたたび荒木ワールドに戻ってくるとは。

ちなみに、杜王町があるのはS市紅葉区ってことで、どうやら仙台市青葉区がモデルらしいとう新発見もありました。

あの日からのマンガ

2011年08月07日 | マンガ

知り合いの方のおすすめで読んでみました。震災をテーマにした、しりあがり寿さんのマンガ。
笑える4コマ漫画から、ちょっとシリアスで予言的なものまで、
あいかわず適当っぽいけど味のある絵と、独特の世界観で描かれています。

「『たとえ間違えているとしても、今、描こう』と思いました」という帯の言葉どおり、
「今、このタイミング」ということが大切なのかなぁという気がしました。
まだ熱いうちに、懸命に鉄を打つような、
震災後の気持ちが少しでも風化するまえに、そこにあるものを形にしたという印象です。

4コマの「地球防衛家のヒトビト」は、一見すると笑っちゃうんだけど、
実は震災直後の人々の混乱ぶりをかなり鋭くついている気がしました。
何かしなくちゃいけないと思うけど、何していいかわからないし、
経済よくしなきゃって思う反面、自粛モードが広まっちゃったり・・。
冷静に思い返すとほんとに右往左往してたよなぁと。

また、「海辺の村」ほかのストーリーもののほうも、
うまく言葉にできず、持っていく場所のない思いを代弁してくれてるような感じです。

30分くらいでさらっと読めるので、
震災関連で気持ちがモヤモヤしてる人は、ためしに一読してみるといいんじゃないでしょうか。

ソラニン

2010年11月12日 | マンガ

映画で一気に知名度が上がった『ソラニン』。
今回は漫画の方を読みました。

浅野いにおさん、いいですね。
とりあえず絵がうまい、というか好きです。
緻密だけど、どこか幻想的な背景画とか、ワンパターンっぽいけど感情豊かな人物の表情とか。
そしてセリフも、さらっとしてるけど、けっこう印象に残るものがあるし。

今回の『ソラニン』は、大学でバンドを通じて知り合った二人が、卒業して同棲するという設定。

浅野作品で、以前に『おやすみプンプン』というのを読んだことがあったのですが、
あのヘビーな感じに比べると、今回はかなりさわやか路線という感じでした。

ただなんというか、やっぱりセンチメンタルな気分になります。
ひとつには、話の中の「学生から社会人くらい」という時期の特別さがそうさせるのかもしれませんが、
そういう「余韻」みたいなものがあとにも残る感じでした。

ちなみに、今回『ソラニン』を貸してくれた人は、「これ読んで仕事辞めようと思った」って言ってましたけど、
確かにそういう感情をかきたてられるような気がします・・。

あと個人的に理不尽な後悔ですが、「学生のときにバンドやりたかったなぁー」と思いました。
演奏シーンがとても美しかったです。

風の谷のナウシカ

2010年08月09日 | マンガ

映画ではそれこそセリフを覚えるくらい何度となく見た『風の谷のナウシカ』。
以前から原作の漫画を読んでみたかったのですが、ようやく実現しました。
(貸してくれた同僚の方、ありがとうございました)

いやぁ宮崎駿、やっぱりすごい。
あれだけの話を具体化する想像力、改めて圧倒されましたよほんと。

漫画版と映画版の大きな違いは、なんといってもボリュームです。
映画の内容というのは、実は漫画のなかでは1/5程度で、
実はそのあとにかなり壮絶な話が残されていました。

また、映画ではクライマックスを盛り上げた巨神兵なんかも、
漫画ではかなり違う形で登場したりして、いろいろと変わってるところがあります。
逆に言えば、映画版ではよくあそこでまとめたなぁという感じで、その手法に感心します。

それから、登場人物についてもいろいろと新たな人たち出てくるんですが、
映画に比べてひときわ存在感があったという意味では、クシャナが印象的でした。

トルメキアの将軍として風の谷に乗り込んでくるクシャナですが、
映画では結局、そのバックグラウンドについてはよくわからないままでした。
漫画では、クシャナには国王である父と三人の兄がいることや、
その間には母の死を背景に複雑な確執があることなどが明かされます。
また、死んでいく兵士たちに対する悲痛な感情とかも描かれていて、
これまでの怜悧な女将軍というイメージとは違う一面に惹かれました。

あとついでに言っておくと、クシャナに参謀役として仕えるクロトワもけっこういい味出してました。
ちょっとかっこいいシーンとかあるんですよね。

ナウシカの魅力についてはもやは言葉がありません。
とにかく永遠のヒロインです

夕凪の街 桜の国

2010年05月30日 | マンガ

数年前に映画のほうを観に行ったんですが、
原作がこういう漫画だったとは全然知りませんでした。

テーマは原爆。
投下直後の惨劇についてはほとんど触れていませんが、
その後の長きにわたって影響を与え続けてきた原爆の問題を
しみじみと考えさせるような内容です。
瞬間的な凄惨さだけではなく、そこにいた人たちの人生を実感するという意味では、
やはりこうしたストーリーものに説得力がある気がします。

著者はこうの史代さんという方。
やわらかいタッチの絵で、特に背景画が印象的でした。
広島市生まれだけど、ヒロシマについては「よその家の事情」として、
それまであまり踏み込んではいけない領域だと思ってきたそうで、
そのへんの作品への思いが「あとがき」に書かれています。

ちなみに、今回、『夕凪の街 桜の国』を貸してくれた方からは、
ほかにも同じくこうの史代さんの『この世界の片隅に』というのを借りました。
戦時中の軍港町・呉を舞台にした全3巻の作品で、こちらもかなりよかったです。