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いろいろレビュー(旧サイト)

本と映画とときどき日記

STAND BY ME ドラえもん

2014年08月16日 | 映画(アニメ)

『STAND BY ME ドラえもん』を劇場鑑賞。

新宿ピカデリーにて3D上映版のほうを見たんだけど、これは400円高くても絶対に3Dのほうがおすすめ! 以前に『ホビット 竜に奪われた王国』の3Dも見たけど、やはりアニメのほうが作りこみが精巧なのか、遠近感がよりくっきり、動きもスムーズで、映像は驚くほどのクオリティだった。

とはいえ、内容的にはやはりドラえもん。

原作に基づいて、大人向けにも見られるストーリーにしているのだろうけど、アニメの演出などがどうしても子ども向けで幼稚に見えてしまうところは否めない。公開ポスターや、「いっしょに、ドラ泣きしません?」のコピーからにじみ出るように、感動押しの意図がありありで、じーんとくるシーンもある一方、頭の片隅ではどこか興ざめしてしまう感覚だった。

あと内容には関係ないけど、未来の町にタイムスリップしたときの、トヨタやパナソニックの広告が目を引く。妻夫木も声優で入っていたし、やはりスポンサーの影響力は偉大。(ちなみにあの場面は1970年代から20年くらいしか経っていないはずなんだけど、どうみても近未来すぎでは??)


言の葉の庭

2014年03月30日 | 映画(アニメ)

新海誠監督の『言の葉の庭』。ほんとは映画館で観たかったけど、機を逃してDVD鑑賞になりました。

50分に満たない短い映画でしたが、とてもよかったです。前作の『星を追う子ども』では、これまでと違うテイストでちょっと期待外れだったんですが、やっぱり新海作品はここういうのがいい!

高層ビルが立ち並ぶ新宿駅周辺のすぐ隣にある広大な新宿御苑。その片隅のひっそりとした場所で雨の日にだけ行われる、高校生と大人の女性の逢瀬。

「ありそうでやっぱりないだろう~」というシチュエーションですが、このどうしようもなく妄想的でセンチメンタルな恋愛劇こそ、やっぱりファンが求めている新海作品の定番のような気がします。

そして毎度のことですが、今回も映像面は文句なしの美しさ。

新宿駅のホーム、沿線の雑居ビル、甲州街道など、人が飲み込まれそうな感覚になる雑然とした新宿の街と、それを鳥瞰するようなNTTドコモ代々木ビル(代々木方面にあるエンパイアステートビルみたいなの)からの景色。そしてその一方で、雨が降る平日の新宿御苑は静寂に満ちていて、そこだけが街から隔離された二人だけの世界のようになっている……。

現実の世界に限りなく近いんだけど、単に写実的なわけではない。この感覚はやっぱりアニメならでは。
あとエンディングテーマの「Rain」(秦基博)もいいチョイスでしたね。

ちなみに新海誠ホームページを初めて見たんだけど、企業CM用のアニメ作品とかもけっこう作ってるんですね(大成建設のは見たことあったけど)。


風立ちぬ

2013年07月27日 | 映画(アニメ)
『風立ちぬ』を劇場鑑賞。

高畑勲ではなく、宮崎駿が監督として真正面から戦時を題材にした映画を撮るというのはこれまでになかったことだと思います。『風の谷のナウシカ』をはじめ、人間と自然の共生を描くなどして社会的な側面を取り上げてきた経緯はありますが、史実に基づくストーリーとして、これまでのファンタジー系とは一線を画す作品でした。

実在の人物である主人公の堀越次郎。本作では飛行機を作ることに対する素朴な憧れと誠実な情熱を持った青年として描かれています。年月を経て敏腕エンジニアになってもまるで子どものような人でしたが、そこには宮崎監督の姿も投影されているとか。

ドイツでの工場見学シーンをはじめ、飛行機の設計や部品などへの細かい描写はかなり念入りで、宮崎監督の航空技術への思い入れと造詣がうかがわれます。『ナウシカ』や『ラピュタ』に出てくる飛行船や戦闘機、『紅の豚』の飛行艇などもそうでしたが、空への憧れというのは昔からずっと一貫していますね。ただ、それが単純な夢ばかりでなく、兵器にもなることの悲劇というのは、やはり本作で際立っていました。

それと、この映画でもうひとつ重要なのが里見菜穂子との純愛の行方。
これについても、宮崎監督の作品でここまで大人の恋愛をストレートに描いたのは初めてでしょう。
特に後半は恋愛映画と言ってもよいくらい。『耳を澄ませば』の大人版という感じで、結婚の祝儀を交わすシーンをはじめ、淡々とした中にもグッとくるような名場面が多々あります。

そしてエンディングは新井由美の「ひこうき雲」。流れるエンドロールとともに、映画館も心地良い余韻に包まれていました。


おおかみこどもの雨と雪

2012年09月12日 | 映画(アニメ)

細田守監督の最新作。
公開直後は混みそうだからとタイミングをねらっていましたが、本日代休だったので劇場鑑賞してきました。

「おおかみおとこ」と恋に落ちて、結婚し、子どもができ、女手一つで育てる主人公の「花」。
そして、「おおかみこども」として生まれてきた「雨」と「雪」。
母と子のそれぞれの成長を描いたストーリーです。

公式サイトのインタビューで細田監督が、「今回、13年間という長い時間を2時間の映画の中で描ききるというのは、自分にとって大きな試みでした」と語っていましたが、そこに挑んだからこそ得られる新しい感動があったんじゃないでしょうか。
全2作の『時をかける少女』『サマーウォーズ』もすばらしかったですが、本作もそれに引けを取らない内容だったと思います。

特に、むかしのままのおもかげとやさしさを持ち続けながらも、花が「少女」から「女性」、そして「母」へと変化していく様子には心を打たれます。
声優・宮崎あおいの、やしいけれど凛とした声も、その姿によく合っていました。
はじめ19歳の大学生だった花が最終的には32歳になるわけなんですが、たどり着く年齢がちょうど今の自分と同じくらいということもあり、その時間の経過には何だか感慨深いものがありました。
子持ちのお母さんなんかだと、さらに共感がわくのかもしれませんね。

また映像面では、特に自然描写の美しさが目を引きます。
今回は背景画に動きをつけるという新しい試みもあったようですが、ひとつひとつのシーンがすごく進化してる印象でした。
たとえば、冒頭で花が揺れるところから始まる場面では、その美しさだけでアニメーションの世界に没入してしまいそうになります。
『魔女の宅急便』での、草が風にそよぐシーンから始まるオープニングが大好きなのですが、なんだか雰囲気的にもそれを彷彿とさせる感覚でした。

星を追う子ども

2012年05月22日 | 映画(アニメ)

楽しみにしていた新海誠作品でしたが、正直やや残念な感じでした。

大方のレビューで言われているように、「宮崎駿作品のオマージュ」要素が多分にあり、それ自体は特に悪いとは思わないんですが、少なくともそれが奏功しているようには見えませんでした。
雰囲気で言えば『ラピュタ』と『もののけ姫』を足して2で割ったような感じだけど、どうにも盛り上がりきらないところは『ゲド戦記』あたりに似ている気がします。
冒頭だけ見るとそれこそ等身大の少女の物語のようにも思えるのですが、それがあれよあれよと言う間に一転して超絶ファンタジーに…。
大仰すぎるストーリーと無理な展開に、最後まで馴染むことができませんでした。
いろいろ詰め込みすぎなんですかね??

逆に考えると、『秒速5センチメートル』『雲のむこう、約束の場所』の抜けるような感動がそれだけ貴重なものだったのかも。
ただ、映像美は相変わらず現実を忘れさせるようなすばらしさでした。
次回作に期待したいです。