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いろいろレビュー(旧サイト)

本と映画とときどき日記

新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論

2014年06月29日 | マンガ

小林よしのりさんの「ゴー宣」。立ち読みしたことはあったけど、きちんと読み通したのは初めて。

今回の『戦争論』( 1 )は初刷が1998年ということで、もうかなり前の本なのだけど、その主張内容は古びている印象はない。というより、最近の中国、韓国との敵対感情とかを考えると、むしろ刊行当時より今のほうがより説得力を持っているのでは、という気もする。

簡単に言ってしまうと、大東亜戦争(太平洋戦争)を肯定する立場の本書。しかし、では右翼的かというといわゆる純粋な右翼ではなく、愛国心や武力行使を極端に否定する(本書で言うところのカタカナ書きでの)「サヨク」を真っ向否定するというのが基本姿勢。要するに、戦後民主主義のゆるーい左翼的な雰囲気が嫌いなんですね。

ただし、膨大な資料に基づく豊富な知識と、「(自分が)悪人と言われても祖父たちを守る」という強い意思表示には確かな説得力があったと思う。当時の戦場の場面なんかはマンガならではの迫力とおもしろさで描かれていて、そのひとつひとつにも感動を覚えるものがある。

祖父たちが命をかけて戦った戦争には「正義」や「物語」があったわけで、それは軽々に否定してよいものではない。このメッセージは大きく響いた。

ちなみに、今日のニュースでは集団的自衛権に対する公明党合意の動き、さらには新宿駅南口で集団的自衛権に抗議する男性が焼身自殺を図るという事件が報じられた。この是非についてはともかく、アメリカを守るために命を落とすかもしれない自衛隊員に対して国(というか我々)がどのような物語を用意してるのか? そこに関する議論はほとんど聞こえてこない気がする。

3月のライオン

2014年06月17日 | マンガ

久しぶりのマンガレビューは、羽海野チカさんの将棋マンガ『3月のライオン』。

男性読者としては、はじめはちょっと少女マンガ風なタッチの絵に敬遠しがちだったのですが、読んでみるとこれがなかなかおもしろい。

ぶっちゃけ将棋なんて駒の動き方以外まったくわからない私ですが、それでも棋士の日常や対局の内容、棋譜の細かいところまで、かなり調べて描かれているんだなということはなんとなくわかりました。あと先崎学さんのコラムもけっこうおもしろく、将棋の魅力を素人向けに丁寧に落とし込んでいる印象です。

そういえば、むかーし『ヒカルの碁』を途中まで読んでいたんだけど、あれももう一度読み直したらおもしろいんだろうか??

まぁそれはさておき本作について言うと、対局の積み重ねによって登場人物が成長する、というせいかもしれませんが、読み出すとけっこう続きの展開が気になってしまう……。特に後半まで読み進めると、ますますおもしろくなってくるという感じで、とりあえず最新刊の9巻までは読了してしまいました(ちなみに、現在は作者の体調不良とかで休載中らしく、10巻が出るのはもう少し先になりそうですね)。

いろんなタイプの棋士がでてきてキャラ的にもそれぞれおもしろいのですが、個人的には島田ファンです(このあたりは自分がおっさん化してきたせいかもしれませんが、桐山くん含め若手棋士にはそこまで共感がわかない)。特に8巻の「焼野が原」(柳原棋匠vs.挑戦者島田の棋匠戦)はいい勝負でした。

きょうの猫村さん

2013年10月17日 | マンガ
1日1コマずつ更新されているウェブコミック。
まだ完結はしていないんですが、1~6巻を一気に読みしました。

元がウェブコミックってことでまぁ当然なんでしょうが、コマ割りが均等(1ページに2コマ)。いわゆるヘタウマな絵でトーンやベタ貼りもなく、セリフも手書き。ストーリーも急に2時間ドラマの妄想的な話になったりして、脱線しまくりのフリーダムさ。

そんな手作りクオリティのマンガなんですが、だからこその温かみが沁みる。シュールだけどたまにホロリとくる場面やせりふもあったりして(特に村田家政婦紹介所での雑談なんかは、微妙な含蓄があって好き)、不思議なほどの愛着を覚えます。

読後、今も連載中の「猫村.jp」で購読の登録をしました。最新のコマはNo. 3650、コツコツ続いてるんですねぇ。

黄金の風 ―『ジョジョの奇妙な冒険』 第5部

2012年12月02日 | マンガ

先日『ジョジョ展』に行ってきたあとで過去作品が読みたくなり、途中まで読んでいてやめていた「第5部」を一気に読みました。

イタリアのギャング組織をテーマにした第5部「黄金の風」は、外国を舞台にしたロードムービー的な構成という点で言うと、直前の第4部「ダイヤモンドは砕けない」よりも第3部「スターダストクルセイダース」に近い印象です。
ただ、第3部のようなワクワクした冒険的な雰囲気とは異なり、今回のは登場人物がそれぞれに暗い過去を背負う哀しい話でした。

とはいえ、敵スタンドの特異な能力やそこで繰り広げられる頭脳戦、そしてストーリーのサスペンス性などは相変わらずめちゃめちゃおもしろくて、盛り上がることはこのうえなし。
何より、単行本の「あとがき」でも書かれていたように、登場人物がそれぞれの「運命」や「宿命」から脱出するのではなく、その状況の中で「正義の心」を貫く姿には感動を覚えます。
特に、主人公のジョルノ・ジョバーナの強い意志(「このジョルノ・ジョバーナには夢がある!」のセリフも単純ながらグッとくる)と大胆な行動力、そしてチームのリーダーであるブローノ・ブチャラティの信念と覚悟には心を打たれました。
こういう熱い気持ちは、やはり映画や小説とはまた違った種類のものですね。
久々に味わうことができた気がします。

ちなみに、このまえ雑誌のインタビュー記事で読んだのですが、作者の荒木飛呂彦さんは執筆するときにまず「キャラクターの身上調査書」を準備するそうです。
その設定を緻密にすることで、キャラクターがどんどん立体的で生き生きした存在になってくるんだとか。
その点、今回の第5部でも、主要登場人物(ジョルノ、ブチャラティ、アバッキオ、ミスタ、ナランチャ、フーゴ、そしてトリッシュ)の過去エピソードと、詳細なプロフィールが挿入されていました。
これらを深く知ると、たしかに個々のキャラクターが実体あるものとして、いっそう愛着がわいてくる気がします。

なかでも今回、個人的に好きだったのがナランチャ。
頭悪くて子どもっぽいんだけど、どうにも憎めない感じなんですよね。
でも土壇場での気迫と爆発力はすごくて、特に「クラッシュ」と「トーキング・ヘッド」との戦闘では前半と後半のギャップがかっこよかったです。


変人偏屈列伝

2012年08月21日 | マンガ

ビレバンで見かけて買っちゃいました。

よく考えると『ジョジョ』以外で荒木飛呂彦ものを読むのはこれが初めてかも。
(といっても、実は今回のは荒木飛呂彦と鬼窪浩久という人の共作なんですが)

タイトルどおり、偏屈な変人たちの人生を漫画化した本作。
誰もが知っているような有名人とかではなく、むしろ「こんな人たちが世の中にいたのか」という、(自分にとっては、)ややマイナーな人たちを取り上げているところがおもしろかったんですが、その人選にもやはりこだわりというか、荒木哲学のようなものがあるようです。

「前書き」の『なぜ変人偏屈列伝なのか』で述べられていた、本作で取り上げる人物の選考基準を引用すると、

ハードル1
変人偏屈な人は、その行為が人々に「希望」と「安心」を与える魅力がなくてはならない。(たとえば犯罪者だとかはダメである)

ハードル2
変人偏屈な人は、その行為を、一生やり続けていなくてはならない(一時の目立とう精神や、人生の途中でやめた人は本物ではなくニセ奇人なので、尊敬に値しない)。つまり彼(彼女)たちは自然体なのだ。

ハードル3
変人偏屈な人は、敵に勝利している。(勝利にはいろいろな解釈があるけれど、とにかく敵に勝っている事)


とのこと。

なるほど、この条件を満たす本物の「変人偏屈」というのは、たしかにかなり稀有な存在かも。
(少なくとも自分はあてはまらないし、自分の周囲にいる人々も、せいぜい「ニセ奇人」くらいかと)

ちなみに、今回の全6編の原作・構成はすべて荒木氏ですが、作画は半分以上を鬼窪氏が手掛けています。
鬼窪氏は、原哲夫・荒木飛呂彦らのアシスタントをしていた方ということで、雰囲気的には似ているものがあったんですが、やはり並べてみると、荒木飛呂彦の作画には一線を画すものがあるなと改めて感じました。

たとえば、『腸チフスのメアリー』の冒頭でリンゴをむくシーン。
リンゴと手しか描かれていないんですが、それを見てるだけで何だかゾクゾクと引き込まれてしまう異様さ…。
やはり荒木ワールドですね。

ともあれ、おもしろい企画ものでした。続編出てほしいです。